三菱重工、バッテンフォール、シェル、ハンブルク熱供給公社の4社が独ハンブルクの水素プロジェクト推進で基本合意

三菱重工業、スウェーデンの総合エネルギー会社であるバッテンフォール、石油大手のロイヤル・ダッチ・シェル、ハンブルク熱供給公社の4社で構成するコンソーシアムは1月22日、ドイツのハンブルク港近くにあるモーアブルクで閉鎖予定の石炭火力発電所跡地を活用して、再生可能エネルギー由来の電気を利用して水電解装置で水素を製造する、グリーン水素を製造・供給・利用する事業の実現可能性を共同で検討することについて合意したことを明らかにした。100メガワット(MW)規模の水電解プラントを建設することに加え、将来の拡張も視野に入れ、同拠点を二酸化炭素(CO2)排出などの環境負荷が少ないクリーンエネルギーの中心地(グリーンエネルギーハブ)として発展させていくとしている。(写真はグリーンエネルギーハブのイメージ図=ニュースリリースから転載)
また、洋上風力などの再生可能エネルギー電源をベースに、将来的にどの程度のクリーンエネルギーを生産・供給できるかについても検討するほか、必要な水素の供給網整備や貯蔵能力などについてもさらなる検討を実施する予定だ。現時点で、水素製造プラントの完成と運転開始を2025年頃と見込んでいる。
パートナー4社は、欧州の公的な枠組みである「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト」(IPCEI)に基づく公的補助の申請を2021年上半期に行う。モーアブルクの同拠点は380kVと110kVの送電網に接続されていること、その周辺港湾では海外の船舶が停泊することから船舶向けの水素・アンモニア燃料供給の需要が見込めるなど、ハンブルクを含めたドイツ北部は水素製造に理想的な立地という。
現地のガス供給公社であるGasnetz Hamburgは10年以内に港湾内に水素ネットワークを構築する計画で、すでに必要な流通インフラの整備に着手している。また、モーアブルクにはグリーン水素の潜在的需要者が多く存在することから、モーアブルクの拠点近郊は生産・貯蔵・輸送などに至る包括的な水素バリューチェーン構築についても適地とみている。
モーアブルクには長年にわたりハンブルク電力会社(Hamburg Electricitäts-Werke)のガス火力発電所が稼働している。2015年からはバッテンフォールの石炭火力発電所が稼働していたが、ドイツの全国的な石炭火力発電所の廃止に向けた流れのなか、20年12月にこの石炭火力発電所は商業運転を停止した。
今回のプロジェクトで、三菱重工は欧州における各種産業用・発電プラント供給実績と水電解式水素製造技術に関する知見を生かし、水素製造に関する技術・エンジニアリング分野を担当するほか、需給をより最適化するためデジタル技術を活用したメンテナンス・サービスの提供を検討している。さらに、産業顧客の水素活用プロセス最適化や地域暖房インフラへの水素製造設備のインテグレーションなども担当する見通しだ。
(IRuniverse)
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