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クラッソーネ「社会問題化する空き家に対し、今必要な施策」セミナー開催

 解体工事の一括見積もりWebサービス「くらそうね」を運営する株式会社クラッソーネ(愛知県名古屋市、代表取締役:川口哲平)は、行政・自治体職員と事業者向けに、「社会問題化する空き家に対し、今必要な施策」について解説する無料オンラインセミナーを開催した。

 

 

【セミナー概要】

■開催日時

 2021年5月25日 13:30~14:30

 

■主催

 ・株式会社ジェクトワン(東京都渋谷区、代表取締役:大河幹男、以下「ジェクトワン」)首都圏を中心に地域貢献型空き家活用サービス「アキサポ」を展開

 ・株式会社クラッソーネ(愛知県名古屋市、代表取締役:川口哲平、以下「当社」)解体工事の一括見積もりWebサービス「くらそうね」を運営

 

■登壇者

 ・株式会社ジェクトワン 代表取締役 大河幹男 氏

 ・株式会社クラッソーネ 取締役COO 堀口晃司

 ・墨田区安全支援課 空き家対策係 都市計画部危機管理担当 係長 川口吉昭 氏 (トークセッションゲスト)

 

■参加者

 自治体職員、事業者など100名

 

1)セミナー開催の背景

【社会問題化する空き家、上方修正された住生活基本計画、空き家問題解決の鍵は公民連携】

 総務省が令和元年9月30日に発表した平成30年住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家は848万戸、全住宅に占める空き家の割合は13.6%となり、過去最高となっている。さらに、2038年には国内の空き家率は現在の2倍強の30.5%(※1)になるとも言われ、「空き家問題」として社会課題に挙げられている。

 政府は令和3年3月19日に新たな住生活基本計画を閣議決定し、「社会環境の変化」「居住者・コミュニティ」「住宅ストック・産業」の3つの視点から8つの目標が掲げられた。

 「住宅ストック・産業」視点の目標の1つとして「空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進」が明記され、加えて市区町村の取組により除却等がなされた管理不全空き家数の成果指標は従来の9万物件から20万物件へと上方修正された。この計画により、行政・自治体はこれまで以上に空き家問題へ取り組むことが求められる。

 

 上方修正された成果指標の達成、空き家問題解決を促進させるためには、行政・自治体だけではなく、民間も含めて空き家問題へ取組むことが重要になるが、それらの取り組みには課題が多く、対策が進みにくい現状。そこで、空き家解体を通じて空き家問題に取り組む同社と、空き家活用事業を手掛けるジェクトワンが、「空き家施策における公民連携」をテーマとしたセミナーを実施した。

 

(※1)『2040年の住宅市場と課題~長期的展望と新型コロナウイルスによる短期的影響の分析~』野村総合研究所より

    https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2020/cc/mediaforum/forum287

 

 

2)空き家所有者の実態

【空き家所有者が希望する理想の空き家対応は二極化、啓蒙活動や支援策・補助金などで空き家対応を促進】

 クラッソーネが実施した空き家所有者の意識調査(※2)によると、約6割が空き家や土地を活用/処分したいと思う、約4割が活用/処分したいと思わない、または分からないと回答しており、空き家に対する意識が二極化していることが明らかになった。

 行政における対策は、空き家所有者の意識に応じて施策を変える必要があり、意識が低い所有者に対しては「放置空き家のリスク等の啓発」、既に対策を検討している所有者に対しては、支援策・補助金などの自治体施策と共に、活用方法などを相談する窓口の設置、空き家活用マップの活用(※3)などが重要。

 

【空き家活用検討時、公的機関へ相談する空き家所有者は約1割。そのうち約8割は公的機関の対応に不満】

 ジェクトワンが実施した東京都の空き家所有者の実態調査(※4)では、空き家対策特別措置法の認知度は施行から5年経った現在も約4割にとどまること、空き家活用検討時に公的機関へ相談する空き家所有者は約1割と少なく、加えて、公的機関に相談した約8割が対応に不満を感じているといった行政・自治体の課題を明らかにした。

 一方で、民間企業の空き家事業サービスについて約7割が「知っているものはない」と回答し、認知度の低さが課題であることを明らかにしている。

 

(※2)空き家所有者の意識調査

   https://www.crassone.co.jp/news/chosa_release-5/

(※3)国内初、空き家活用の選択肢が一覧でわかる「空き家活用マップ」を発表 住まいの対応を決めている人は1割、遅れる住まいの終活を推進

   https://www.crassone.co.jp/news/release19/

(※4)東京都の空き家所有者の実態調査

   https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000039551.html

 

3)空き家問題に対する公民連携の事例

 ジェクトワン代表取締役の大河氏は、アンケート結果から浮き彫りになった行政・民間双方の課題をふまえ、行政、自治体だけで、もしくは、民間事業者だけで空き家対策を頑張っても、効果的な空き家問題解決には至らず、行政・自治体と民間企業が共同で取り組む公民連携によって、空き家所有者も含めた三方良しの体制をつくり、対策を行うことが重要であると提言した。

 クラッソーネCOOの堀口氏は、公民連携の事例として、令和3年3月より神戸市と当社が協働している、空き家対策強化に向けた実証実験事業(※5)を紹介した。本事業は、神戸市外の空き家所有者や忙しい現役世代が、契約や工事状況の確認のわずらわしさから解体に踏み切れない状況を受けて、ITを活用し、WEB上ですべてが完結できる当社のサービスを神戸市内で重点的に展開し、神戸市内の老朽空き家等の解体促進に貢献しようという取り組みだ。

 

(※5)クラッソーネ×スタートアップ提案型実証実験事業「Urban Innovation KOBE+P」 ~テクノロジーで市内の空き家所有者を支援!~

    https://www.crassone.co.jp/news/release21/

 

4)トークセッション:「空き家対策における行政と民間が連携することへの課題と方向性について」

 墨田区安全支援課空き家対策係の川口氏を招き、今後公民連携を進めていく上での課題感について堀口氏、大川氏と共に三者でトークセッションを行った。

 

 a)空き家対策における自治体の課題:「情報発信力」と「市場性の低い物件活用の方法」

 川口氏は、空き家対策における自治体の課題として二点挙げた。一つ目の課題として挙げられたのは「情報の発信力」。空き家所有者の過半数が市区町村外に空き家を所有しており、各自治体の発信では自治体外の所有者への認知が難しいのが現状。

 この課題に対し堀口氏は「全国展開をする民間の発信力を活用できるのではないか」と神戸市との公民連携の事例を紹介した。この事例では、神戸市の空き家相談窓口の役割を担うサイト上に当社サービスのバナーリンクを掲載し、神戸市外の空き家所有者に対してのアプローチを促進している。

 

 二つ目の課題として、「市場性の低い物件の活用」が挙げられた。未接道・再建築不可物件や狭小物件、立地の悪い物件など市場性が低い空き家の所有者は売り手や貸し手が見つかりづらく、所有者本人も空き家の活用・処分に頭を悩ませている。これに対し、大河氏は空き家活用サービス 『アキサポ』の事例から物件の捉え方を変えることで再生できるケースもあるのではないかと話した。

 具体例として、倉庫兼事務所になっていた物件を、バイク好きの人が多い地域ということからバイク置き場として再生させた事例を紹介した。

 

 b)公民連携を進める上での課題:「事業スキーム」、「信頼関係」、「公平性」

 空き家問題の解決に向けて行政と民間の連携が求められる一方、積極的に取り組む自治体は多くない現状について、川口氏は自治体の立場から民間事業者へのアドバイスとして「自治体の傾向として、特定の民間の利益が上がることを好まない」とし、「事業スキームが誰の方を向いて誰に利益があるかが大切」であり、「空き家所有者の利益となり、問題解決に寄与できるサービスであることが自治体に伝わり、信頼関係を築くことで公民連携が実現するのではないか」と提言した。

 一方で堀口氏は民間の立場から、公民連携に取り組みにくい要素として、「すでに他社と提携済み」「公平性からのハードル」の2点を挙げ、大河氏もこの2点が主な理由で自治体に話を聞いてもらえなかった経験があると明かした。

 これに対し川口氏は「いくつも出口を用意し空き家所有者が判断できることが理想であり、私自身は広く多くの事業者の話を聞きたい」と私見を述べた。

 墨田区のように公民連携に前向きな自治体との事例を増やしていくことで、取り組みが他の自治体に広がっていくことが考えられるため、今回のセミナーのように自治体への事例共有など地道な取り組みが必要ではないかと、三者の意見が一致した。

 

5)参加人数、参加者の声

 a.参加人数

100名超(うち自治体が約3割、事業者が約4割)

 

 b.参加者の声

・行政側は民間との連携の実績、民間側は行政も巻き込んだビジネスモデルの構築が必要である一方、基準等を作ることは難しく状況に合わせた対応が必要であるという矛盾点が課題だと思った。

・行政と民間のコラボには「ビジネスモデル・利益」という点でどちら側も課題があると感じた。課題を踏まえた上で、いかに持続的なビジネスモデルを公民連携で作り上げていくかが重要だと思った。

・典型的なスキームはあるものの、空き家対策は個別課題が多く個別対応が必要なため、手間がかかる。自治体側にもそれだけの経験と人員配置が求められることが課題だと思う。

 

 c.参加者の満足度

今回参加した約100名のうち40名からアンケートの回答を得た。

その結果、「大変満足(32.5%)」または「やや満足(65.0%)」と回答した参加者は97.5%となった。

 

 

(IRuniverse.jp)

 

 

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