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サイクラーズ(株)設立一周年②(後半)〜品質を保証した高度リサイクルへ向けて

 9月1日をもって設立一周年を迎えたサイクラーズ株式会社(東京都大田区)。同社のこの1年を振り返る第2弾。本稿では、これからの循環型社会構築への貢献や、先進企業を目指すための福田隆社長のビジョンなどについて語って頂いた。

 

 

製造業のような品質、生産の管理が求められる

図 サイクラーズがこれから見据えていく部分があるとすれば、それはひとつ「M&A」が挙げられる。とはいっても、今後の潮流となるサーキュラーエコノミーを実践していくための、その範疇を外れるものではない。つまり、いきなり農業を始めるなどといったものではない。


 また、サイクラーズ内には新規事業部を設ける予定で、まだなにをするかは分からないが、リサイクルに関わる業界のみなさまにとって、有益な新しいサービスを今後、ご案内できる機会が増えていくかもしれない。

 

 業務提携の部分では、例えばトライシクルではBtoB向けのリユースプラットフォーム「ReSACO」を運営しているが、このサービスをより拡充させるためにはリース業、貸し倉庫業などの「サブスクリプションサービス」的な機能が必要になる。こうした企業が、ひとまず視野に入る。

 

 また、リサコはBtoB向けだが、BtoCといった商流を考えてもいい。メルカリやヤフオクなど、CtoCのマーケットは活況が続く。私たちも、ヤフオクなどに出品しているが、こうした個人向けのサービスと深いところで連携することも大いに考えられる。私たちのような規模感のある企業だからこそ、マルチチャネル化をもっと考えていいと思う。

 

 前回で、リサコで回収した商品が売れ残った場合、金属スクラップ、プラスチックなどのリサイクルを行っている東港金属が受け皿として大きな役割をしていることを書いたが、今後も同社には設備投資を積極的に行っていく。それは、クローズドループが進展するにつれ、より高度なリサイクル、すなわち高品質化が求められるからだ。

 

 それには、製造業的な発想やアプローチが必要になるだろう。製造業では、まず製品のスペックを決め、各部門で共有し、これを厳しく追及していく。そしてその結果をPDCAサイクルをまわして、またリトライする。リサイクルの品質を追求するなら、こうしたプロセスが重視されるようになるだろう。

 

写真 このような資源再生の高品質化を見据え、東港金属ではこのほど千葉工場に、ミックスメタルを再分別するプラントを導入、8月には中間処理許可を取得し、同工場内のシュレッダープラントから出た低品位なSRも再資源化している。会社利益も10~15%上昇しそうだ。

 

 「我々もクローズドループを推進するためにも、首都圏に立地するリサイクル会社として、積極的にその役割を果たしていきたい。リサイクル品質向上に向け、より精緻な仕事を行うためにも、製造業における生産技術、品質管理などに倣ったようなノウハウを社内に貯めていきたい」(福田社長)

 

 クローズドループが進むと、恐らく業者間での格差が大きく出てくるのではないかと、福田社長は語る。資金的なこともそうだが、技術面での格差が問題になるだろう。それはやはり、リサイクルの高品質化が求められるから。今後、生き残れなくなる会社も増えるのではないか。

 

 来年から施行になる「プラ新法」も、製造業とリサイクル業の連携を促進しようとしている。例えば、三菱ケミカルとリファインバース、住友化学とリバーHDなどが、業務提携を発表しているが、これまで大手を含めリサイクル会社に流れていた廃棄物の、2~3割くらいの割合が製造業との連携ラインに振り向けられるのではないかと見ている。

 

 この潮流は、かなり大きな変革の波で、前記の通りこれに乗り遅れた、特に技術力を持たないリサイクラーにとっては死活を考えなければならない事柄にもなりそうだ。

 

 

会社の信頼の証、ブランド構築を進める

写真 サーキュラーエコノミーを牽引する先進企業であるためにも、そのブランド構築には、一層力を入れようと思っている。まずは、自社とリサコの認知拡大に向けたブランドムービーを作った。

 

https://www.cyclers.co.jp/brand/

 

 このプロモーションでは、成功した点もあるが失敗した点もある。話題作りにはなったし、そのお陰で営業もしやすくなったという点がある反面、コンセプトや訴求ターゲットが絞り込めておらず、リーチ力に欠けていたのではないか?という部分もある。さまざまな課題が挙げられるが、これらは次の展開に活かしていきたい。


 社内的にも、自社ブランドという意識を浸透させるのに力を入れている。対外的なイメージは比較的変えやすいが、「会社が変わった」という社内的な意識改革は、そうそうは進まない。なかの人間が分かっていなければ、営業力にも弾みがつかない。会社組織を変え、またITを推進したことで、全社的な会計システムなども改善されてシームレス化したはずだが、ブランド意識の共有にはつながっていないようにも思う。社内啓発など、今後の課題と考えている。

 

写真 また今後の最大の課題は人材確保にある。これは作業員の確保などではなく、例えば製造業での生産管理の専門知識のある人、IT人材でもWebデザインのできる人やエンタープライズシステムに特化した人などが欲しい。社内にノウハウを貯めていくためにも、外注ではなく、内部に優れた人材を迎え入れたいと思っている。(終わり)

 

 

(IRuniverse kaneshige)

 

 

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