11月の銅の概況及び12月の見通し 橋本アルミ(株)橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 9000-10000ドル ↓
建値 103万-114万円 ↓
為替 110~115円 (1か月間TTM) 円高
■国際概況
前半は10月の中国生産者物価指数(PPI)、米国の消費者物価指数(CPI)の上昇を受けて景気停滞懸念が強まったこと、中国鉄鋼生産抑制で鉄鉱石安となったことなどのマイナス材料もあったが米議会下院で1兆ドル(約113兆円)規模のインフラ投資法案が可決したこと中国の輸出増加を受けての需要増加期待を好感しUP
11月15日時点で9845ドル(セツル)と月初価格より28ドルUPの締め。
後半は中国人民銀行による潤沢な流動性を維持することによる小規模企業への経済支援策、米国の雇用情勢改善期などのプラス材料もあったが南アフリカなどで新型コロナウイルスの新たなウイルスの新たな変異株が見つかったこと恒大集団に続き、新たな不動産業者のデフォルトリスクが浮上したことを嫌気しDOWN
11月末日 現在、後半スタート価格から94ドルDOWNの9751ドル。
12月スタート建値は113万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
115.09 → 114.77(円)
出典 MIRU
【国内指標】
◆自動車生産台数
生産動態統計によると10月の自動車生産台数は前年比-40.2%の48万1630台
輸出は-43.4%
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると11月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-13.4%の21万9276台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
10月の新設住宅着工は,持家,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比10.4%の増加となった。また,季節調整済
年率換算値では前月比5.6%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 78,004 戸。
・前年同月比 10.4%増, 8か月連続の増加。
○新設住宅着工床面積は 6,390千㎡。
・前年同月比 11.4%増, 7か月連続の増加。
○季節調整済年率換算値では 892千戸。
・前月比 5.6%増, 3か月ぶりの増加。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
輸出
財務省貿易統計によると輸出は前年比で電気銅が-14.9%の4万8454t、スクラップが-9.8%の3万1096t。
輸出推移
輸入
輸入は 電気銅が前年比-58.9%の491t、スクラップ -7.4%の1万608t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
日本伸銅協会が公表した2021年10月伸銅品生産動向速報値によると、10月伸銅品生産量は6万7,642トン。前年同月比13.1%増加した。2019年同月より6.9%増加し、2018年同月と比べても0.2%増だった。
出典 日本伸銅協会
日本電線工業会発の出荷速報(推定)
前年比-2.7%の5万5100t
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車生産】
生産動態統計によると10月の自動車生産台数は前年比-40.2%の48万1630台
輸出は-43.4%
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると11月の自動車販売台数(軽除く)は前年比-13.4%の21万9276台
内 乗用車 -13.8%
貨物 -10%
バス -21.7%
【住宅着工戸数】
10月の新設住宅着工は,持家,貸家及び分譲住宅が増加したため,全体で前年同月比10.4%の増加となった。また,季節調整済
年率換算値では前月比5.6%の増加となった。
○新設住宅着工戸数は 78,004 戸。
・前年同月比 10.4%増, 8か月連続の増加。
○新設住宅着工床面積は 6,390千㎡。
・前年同月比 11.4%増, 7か月連続の増加。
○季節調整済年率換算値では 892千戸。
・前月比 5.6%増, 3か月ぶりの増加。
【伸銅品生産】
日本伸銅協会が公表した2021年10月伸銅品生産動向速報値によると、10月伸銅品生産量は6万7,6420トン。前年同月比13.1%増加した。2019年同月より6.9%増加し、2018年同月と比べても0.2%増だった。
10月の国内伸銅品生産も、自動車と半導体向けの生産が好調をけん引した。
10月は、前月に続き全14品目が前年同月実績を上回った。これは、5月を加えて今年3度目のことである。ただ、2019年の同月実績と比べると、依然、半分が下回っている。
銅条
同比13ヶ月連続のプラス。東南アジアの工場がデルタ株の影響などを受けて一時生産量を減らしていたが、ここに来て再び戻し、日本からの輸出向けの銅条の生産が増加している。また巣ごもり需要の伸びが感じられないが、それでもデジタル家電向け半導体が不足している。自動車コネクタ関係も、国内の挽回生産と別に、世界的に見ても需要堅調である。
黄銅棒
同比9ヶ月連続プラス。住宅設備機器関連が緩やかな回復続き、リフォーム関連、タッチレス水洗向け、自動車向け需要も好調続く。ただ、住宅設備の樹脂不足から、関連する黄銅棒の生産が減っている。
【電線】
前年比-2.7%の5万5100t
うち 国内+4.4% 輸出が +0.5%
【輸出】
電気銅輸出が-14.9%の4万8454t。
銅スクラップが-9.8%の3万1096t。
【輸入】
電気銅が-58.9%の491t。
スクラップが-7.4%の1万608t。
【見通し】
【自動車】
10月の自動車生産が-40.2%。10月国内販売台数が前年比-13.4%
3カ月連続生産、販売共に急減少! 半導体以外の中国からの部品供給の遅れからとの事
今後に注視
【伸銅品生産】
10月伸銅品生産量は6万7,6420トン。前年同月比13.1%増加した。2019年同月より6.9%増加し、2018年同月と比べても0.2%増だった。
10月の国内伸銅品生産も、自動車と半導体向けの生産が好調をけん引した。
自動車生産の遅れの影響がでないか今後の注目
【電線】
前年比-2.7%の5万5100t
うち 国内+4.4% 輸出が +0.5%
輸出が増加率が大幅減少!
国内も微増!
・銅輸出は 電気銅、スクラップ共に内需旺盛に伴い減少
・銅輸入は 電気銅、スクラップとも世界的な原料不足から減少
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】在庫は銅建値が117万から118万と穏やかな動きであったが仕入れ値が高い在庫であることから出物が無く在庫薄。
需要面に関していまの所 前月に続き中国の部品調達の遅れからの自動車生産、販売の大幅減少傾向があるが伸銅品に関しては挽回生産に向けた在庫積み上げからか需要は旺盛。
仮に急落してもその価格での販売に躊躇する問屋も多く定期で入らないメーカーが高値買いの傾向が今月も続く
【LME・為替予想】
今月は
① コロナ 新株オミクロン感染拡大の動向
② 米中の金融政策の動向
① に関しては
欧米などで一部ロックダウンが行われるなど感染拡大傾向にあり 日本も まだ発見されたばかりであることから終息にはしばらくかかるのではないか?
② に関しては
中国に関しては 足元は緩和傾向 米国に関しては 引き締め観測もあったがコロナ新株への配慮から緩和はしばらくつづくのでは?
これらを踏まえた11月の銅価格は 9000-10000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は110円~115円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては103万-114万円程度と予測している。
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