パナソニックエナジー、米カンザス州にてリチウムイオン電池新工場を開所
7月14日、パナソニック エナジー株式会社(本社:大阪府守口市、社長執行役員:只信一生)は、米国カンザス州デソトで建設を進めていた電気自動車(EV)向け円筒形リチウムイオン電池の新工場を開所し、同日に開所式を執り行ったと発表。同社の北米第二工場となるカンザス工場において、このたび 2170 セルの量産を開始し、将来的には年間約 32GWh の生産体制の構築を目指していくとの事だ。
カンザス工場は、約 120 万㎡の広大な敷地を有し、その面積は東京ドーム約 26 個分に相当する。モビリティの電動化を推進する顧客の需要に対応するため、「日米(日本・北米)2 軸」での車載事業の拡大を進めており、既存の米国ネバダ州の工場に続き、北米第二工場となるカンザス工場は、その戦略の一翼を担う拠点として重要な役割を果たすと見られている。2017 年から稼働しているネバダ工場は年間約 41GWhの生産能力を有しており、カンザス工場のフルスケール生産時には、合計約 73GWh に及ぶ米国製電池の生産体制の構築を目指していく。
日本で車載電池の生産を開始した同社は、その後、北米市場においても業界に先駆けて高性能・高品質な円筒形リチウムイオン電池の生産を拡大展開し、EV 市場形成に貢献してきた。リチウムイオン電池の生産開始から約 30 年、そして約 8 年にわたるネバダ工場での生産で蓄積された技術やノウハウを生かし、カンザス工場ではさらに進化したモノづくりと早期の安定生産の実現を目指していくという。省人化ラインの導入などによりネバダ工場と比較して生産性を約 20%向上させ、今後はセル容量を約 5%向上する新材料を用いた製品の投入も計画している。
カンザス州史上最大の経済開発プロジェクトである本工場の建設によって、工場での最大 4,000 人の新規雇用のほか、サプライヤーなど関連企業を含めると、直接・間接雇用あわせて約 8,000 人の新規雇用を創出することが期待されている。また、将来にわたる持続的なハイテク人材の雇用機会創出と産業振興のため、カンザス大学など地域の高等教育機関とも技術開発や専門人材育成の連携を進めるなど産学連携の取り組みも推進しており、デソト地域およびカンザス州周辺の経済圏のみならず、米国の経済や製造業の活性化にも貢献するとしている。
パナソニック エナジー社長執行役員の只信一生は、「カンザス工場の開所は、先進的な米国製電池の生産拡大に向けた同社の取り組みにおいて重要な節目となります。この達成は、地域のパートナーの皆さまのご支援なくしては成し得ませんでした。今後は、ローカルサプライチェーンの強化や次世代の専門人材の育成を通じて、電動化の発展に大きく貢献していきます。本工場は、米国および地域における製造基盤の強化や雇用創出に対する当社のコミットメントであり、長期的な協力関係とイノベーションの礎となると確信しています」と語っている。
パナソニック エナジー株式会社の高容量リチウムイオン電池は、優れた電池性能に加え、EV への搭載実績に裏打ちされた高い安全性と信頼性を備えているという。2025 年 3 月時点で、EV 約 370 万台分に相当する約 190 億個のセルを供給しており、同社製電池に起因する車両リコールは発生していないとの事だ。これまで培ってきた信頼と実績をもとに、お客様の期待に応え、EV の普及を通じた CO₂排出量削減に貢献していくと意気込んでいる。
カンザス工場の概要
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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