高品質素材とフォーミュラEという舞台 ダウ・東レ/ダウ・ケミカル日本株式会社
2022年1月19日から21日までの3日間、東京都江東区有明にある東京ビッグサイトにてRX Japan株式会社主催の「第14回 オートモーティブ ワールド」が開催された。
今回の展示会は実地開催となっており、合計6種の展示イベントが同時開催されるという規模の大きいものとなっている。
今回の記事では出展者のうちダウ・東レ/ダウ・ケミカル日本株式会社の製品と取り組みについて着目する。
社名のあらましと素材開発事業
ダウ・東レ株式会社はその変わった社名の通り、2つの企業による合弁会社である。
社名のダウとはアメリカに本社を置く大手化学メーカーのザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)であり、東レは日本の東レ株式会社である。
持ち株比率はダウが65%、東レが35%となっている。
大手化学メーカー同士の合弁会社という事から分かる通り、素材開発事業に対して一日の長を持つ企業である。
今回のオートモーティブワールドでは、自動車関連企業やソリューションの展示が相次いでいるという事で、ダウ東レ株式会社もそれにまつわる素材を展示している。
例えばバッテリー延焼防止用のシリコーン材料を円筒型セルのセル間材としてポッティングした模型を展示していたり、また自社のシリコーンの加工例を出していた。
素材に関しては開発に力を入れていると語っており、今後国内メーカーのEVに対しても売り込みを掛けていくという話を伺う事ができる程である。
それ以外にも多くのEV向け素材が展示されていたが、このブースの主役はそれではない。
ブース前方に大きく場所を取った空間に鎮座しているのは、浅葱色と黒色に彩られた鋭角なフォルムを持つ車体。
今回の展示の目玉かつ最も注目を浴びていたのは、ダウが協賛と製品を提供しているスポーツ「FIA フォーミュラE世界選手権 (FIA Formula E World Championship)」の車体展示である。
新しいスポーツと課題を見せるフォーミュラE
自動車に興味があれば、一度は「F1」という言葉を聞いたことがあるはずである。
フォーミュラ1と呼ばれる、車体とドライバーがむき出しとなったフォーミュラカーを用いた自動車レースの世界選手権である。
そしてフォーミュラEとはその名前にEを冠する通り、化石燃料を使用しない電気自動車のフォーミュラーカーによるレースである。
ダウ(米国本社)はこのフォーミュラEに対して、ジャガー・レーシング(Jaguar Racing)と連携し素材面での支援提供を行っている。
これはいわゆるパフォーマンスではなく、提供する為のれっきとした理由が存在する。
フォーミュラEはF1同様に超高速の車両を操る競技であり、通常の乗用自動車が想定し得ない様な様々な状況に直面した際に、構成されたパーツが十全な性能を発揮する必要がある。
そして電気自動車の持つ性能の中でも重視される項目として、素材の導電性や絶縁性、放熱性といった物が挙げられる。
電気自動車は電気で駆動する以上、ガソリン車と比較して各所に熱が発生しやすい。また大電力を用いて車両を動かす為、漏電の危険性も抱える事となる。
ガソリン車とはまた違うリスクを抱える電気自動車の素材を、極限のパフォーマンスと負荷を両立させるフォーミュラEの環境に投入する事で素材の性能の高さを証明する。
このハイレベルな取り組みで実績を上げているからこそ、展示ブースにフォーミュラEの車両を展示する事が出来るといえるだろう。
非常に嵩いパフォーマンスをこれ以上無い形で示すダウ東レ株式会社とダウ・ケミカル日本株式会社。これからの企業の先行きに注目が集まっている。
(IRUNIVERSE ICHIMURA)
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