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ファナック(6954) 23/3Q2決算電話会議メモ 

23/3Q1での微調整増額予想をQ2に一転減額修正し9.9%増収も0.8%営利減予想に

株価20555円(10/27) 時価総額41502億円 発行済株201922千株

PER23/3期DO予(24.4X)PBR(2.52X)配当還元率60%   配当利回りDO予2.4%

 

要約

 

 

22/3Q2は23.1%増収7.3%営利増、受注6.5%増と売上、受注堅調も費用増で利益率低下

 10/27に23/3Q2決算発表、同日電話会議が開催された。23/3Q2は売上高2046億円(Q1時予想比38億円増額、23.1%増)、営業利益449億円(同19億円未達、7.3%増)、経常利益560億円(同4億円増額、12.3%増)、税引利益421億円(同12億円増額、9.7%増)、受注2170億円(6.5%増)と、ほぼ計画通りの着地となった。

 

 増収ながら材料高や物流比増、設計変更などによるコスト増、MIX悪化もあり、営業利益では伸び率鈍化に。なおQ1比較では3.3%減収、9.7%営利減、5.9%経常減、7.3%受注減と、四半期として過去最高を更新したQ1比で何れも減少した。

 

 

 地域別売上を見ると、アジア(除中国)を除き2桁増収となっており、米国が467億円(38%増)でロボットが大口売上寄与で299億円(40%増)と牽引。中国も573億円(26%増)とロックダウン影響が薄れQ1の12%減から増加、内訳はロボットが251億円(40%増)と大きく伸びた。但し全体感では好調ながら期待ほどではなくQ1比較で10%減となっており、ロボマシンなどQ1比39%減と跛行色も。日本は311億円(17%増)と、工作機械の好調でFA向け38%増が牽引した。欧州も355億円(22%増)で、サービスを除き総じて高い伸びに。アジア(除中国)は323億円(7%増)と、緩やかな伸びに止まる。

 

 製品別では全て2桁増収に。FAは639億円(23%増)と、国内が工作機械受注拡大で38%増、少ないながら米国67%増、一方で中国は19.5%増と期待値に及ばず。ロボットは812億円(30%増)で、米国299億円(40%増)、中国251億円(40%増)が牽引している。なお受注では1072億円(38%増)と2四半期連続で1000億円を突破し最高額を更新した。中国はEV、重機、建機向け、米国では一般産業向け、自動車向け、欧州も一般産業向けが好調に推移した。

 ロボマシンは309億円(11%増)とQの25%減に対し巻き返したが、絶対額はQ1比23%減に。中国が130億円(16%増)とロックダウン明けにしては伸びが低く、Q1比では39%減に。

 

 全体を通じ、利益面では資材高や物流コスト高などが嵩み、総利益率が前年同期比2.4ポイント悪化し38.7%に低下、但しQ1比では同率と総利益率の低下は一応食い止めた格好に。また2桁増収ながら運送費や研究開発費など販管費等でもコストアップ影響があり販管費比率が0.9ポイント悪化し16.8%となり、営業利益の伸びが縮まった。なお同社は受注から売上のタームが短いのが特徴であるが、部材不足などで特に購入品の比率が高いとみられるロボットでは受注額が売上を大きく上回り、売上増も生産遅延が生じたことも利益の伸び悩みの要因に。なお同社は円建てでビジネス展開しているが、経常利益では持分利益で80.26億円(22.38億円増、39%増)が寄与、経常利益は計画を若干上回った。

 

23/3期予想をQ1微調整増額予想からQ2に一転減額修正し9.9%増収も0.8%営利減予想

 

 会社側では昨今の経済環境を考慮、特にFA、ロボマシンで受注の減速が見られることから、23/3期会社予想をQ1微調整増額予想からQ2に一転減額修正した。23/3期再修正予想は売上高8257億円(Q1時予想比200億円減額、9.9%増)、営業利益1817億円(同167億円減額、0.8%減)、経常利益2170億円(同131億円減額、1.7%増)、税引利益1595億円(同74億円減額、2.7%増)予想とした。部門別、市場別予想の開示はないが、FAでは日本の高機能工作機械向け等が好調の一方、中国向けは安価な工作機械向けが多く、短期的に受注が急減しているとのこと。

 

 ロボマシンについてもIT関連の不振でこちらはQ1で減速を見越していたが、減速が継続しているとのこと。全体としてBBレシオが1を割り込んでいる。一方でロボット需要は世界的に旺盛とのこと。中国ではEV投資に関連し、2次電池向け等で活発な需要が継続、他地域でも同様な動きであり、加えて労働力不足、賃金高騰なども加わり、ロボット需要は今後も継続拡大が見込めるとのこと。但し、NC装置やサーボモータと異なり、外部購入品が多いことで、生産能力を生かしきれない状況が続き、受注残高が積み上がる形となっているとのこと。

 全体として、ロボット好調でFA,ロボマシンの減額を埋め切れず売上の減額、利益面では手離れの悪いロボットの比率が向上、MIX悪化もあり利益の減額幅が大きくなったとみられる。現状、このような状況が継続すると見られ、為替前提が1$=130円としており、円建てビジネスながら多少のプラス要素があり、営業減益は避けられ、会社減額修正を多少上回る収益が見込まれる。

 

24/3期もロボット中心に売上拡大、新生産革命の中核企業で拡大期待も利益伸び悩み懸念

 

 24/3期はサイクル的にFA、ロボマシンが伸び悩むと見られ、原価高は峠を越えたとみられるものの収益の伸びは期待しにくい。一方、ロボットは世界なEV、自動化運転等の技術革新の進展で自動車向け自動化や高度化設備投資の拡大が見込まれる。特に自動車関連はエンジン製造においてロボットの使用箇所が少ないのに対し、EVでは特にバッテリー製造でロボットが多用され、電子化では小型ロボット導入が加速する。加えて5G関連、更に協働ロボットが製造業以外で普及加速も見込まれる。

 

 同社はロボット生産能力を年産5000億円規模に拡大すべく投資を加速させている。またFA関連ではインドなどでNC化が進む見通しで、大きな落ち込みとはならないと判断される。このため24/3期はロボット中心に売上増が期待されるが、利益面は大型設備投資による償却負担増、伸びの中心がロボットとなりMIX悪化から利益の伸び率は緩やかなものに止まろう。

 

 

(H.Mirai)

 

 

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