パナソニック北米のLiB開発カンサス州第2工場も2170円筒型LiB
暫く大きなニュースの無かったパナソニックの最新状況が判ってきた。パナソニック北米の第2の工場の建設がカンサス州De Sotoで開始される事が11月2日明らかになった。生産開始が2025年3月と明らかにされた。
その詳細は不透明であったが、生産量は30GWh規模で生産するバッテリーセルが従来の円筒形2170タイプである事が判明した。2170型セルはネバダ州のSparksのテスラとのJV工場で既に生産されており、2170型の累計生産量が60億個に達した事も明らかされた。
一方ネバダ州Sparkesのギガプラントの現在の生産能力は、既に年間39GWhに達している。生産を管理するのはPanasonic Energy North America(PENA)社で当初の生産規模は30GWhとなっていたので、その生産能力が当初生産能力を9GWhも超えるまで順調に生産が遂行されている。
これらの状況から2番目の工場建設計画が第2工場の建設に繋がったと推測される。一方で、バッテリー情報筋はカンサス州の第2工場で従来型の円筒形2170タイプの生産を予測していなかった。テスラが目指す高能力LiBの4680タイプがパナソニック第2工場では生産されると予測していた事が理由であった。
LiBバッテリーの生産では、テスラの工場の場合でも生産が当初能力に達するまで生産効率が70%から80%とバッテリー生産の生産効率が低い為、多くの工場スクラップが発生する難しい生産プロセスが指摘されている。その点でも第一ギガプラントの生産能力が30GWhから39GWhまで拡大されている事実は、生産効率も80%以上に達して、生産技術が向上していると想像される。
しかし自動車メーカーの側にたてば、小さなセルを多数パッケージに入れるよりも大きいセルでパッケージ化する方が、バッテリーパッケージの小型化が図れると想像される。EVバッテリーの製造は、高い製造工程の管理能力を有する日本のトップ企業でも非常にリスクの高いビジネスと思われる。
パナソニックは第一工場と同じセルで生産能力も30GWhの第2工場を早期に建設する事で、北米市場の競争で生産上の優位を保つ事を優先する戦略かも知れない。生産効率の向上に数年を要すると思われる難しいLiB生産の側面が見えてくる。
(IRUNIVERSE Katagiri)
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