Fe Scrap Watch2023#1 米大寒波の影響もありアジア市場ひっ迫 相場上昇中
購入価格も上昇している。日本は11月下旬から為替が円高に振れているが年明けの鉄スクラップ市場は昨年末からの米国の記録的な大寒波で鉄スクラップの供給が滞っていることもあり、アジア市場はひっ迫気味。ベトナム、台湾、韓国の鉄スクラップ、需給要因で上げ含み。来週の関東鉄源では若干の上げが予想されている。
米コンポジット価格の推移(USD/ton) 最近3か月
ベトナム&台湾の鉄スクラップ輸入価格の推移(HMS USD/ton CFR)最近3か月
国際鉄鉱石相場の推移(62%Fe USD/ton 豪州FOB)最近3か月
中国ホットコイル(熱延)価格の推移(USD/ton FOBChina)最近3か月
上グラフのように指標の国際鉄鉱石価格は120ドル近くまで上昇、伴って中国のホットコイル価格も上昇し600ドルをつけている。中国の鉄鋼生産の底堅さを示している。またベトナム、台湾の輸入スクラップ価格も上昇中。
スクラップ扱い筋によると「マクロ的にみれば、世界景気は決して良い状態ではない。欧州は昨年から悪化しており、中国はコロナ感染拡大中、そして米国もインフレ不況に入る可能性もある。ここからみると鋼材需要も伸びず、スクラップも弱い、ということになるが、足元は米の寒波でスクラップ供給が遅れていることでアジアはひっ迫。そして世界、日本でもそうだが脱炭素の流れでスクラップ利用価値が高まっている、あるいはスクラップ利用が増していることもあり、底堅い動きを続ける」とみている。
仮に下がったとしてもすぐに(電炉&高炉の)買いの手が入り反発する、という今年のスクラップ相場を予想している。それは特にうさぎ年だから、という訳ではないようだ。
世界的にスクラップ不足の折、ひとたび高炉メーカーが買いに入ればたちまちひっ迫することになる。電炉は当然のことながら主原料であるためスクラップは買い競走になりやすい。
またアジアの鋼材トレーダーは「確かにアジアのスクラップ需給はひっ迫しています。韓国も買いに走っていますので来週行われるであろう関東鉄源では年末に現代がつけた買値近くまでは上昇するのでは」とのこと。
昨年末12月27日に現代がつけた日本産スクラップの単価は、H2でトン当たり49,000円、HSで53,000円、シュレッダーで52,000円だった。
12月の関東鉄源では47,568円であったため、ここから2000円程度は上がる見込み。
(関連記事)関東鉄源12月テンダーは47,568円で底入れ CNがバックアップ
東鉄田原H2価格と三地区平均H2価格の推移(¥/ton)最近3か月
鉄スクラップは世界のカーボンニュートラルの潮流から高炉メーカーも鉄スクラップの投入量を増やすと予想され、総量として鉄スクラップ需要量は増えるため、2023年の鉄スクラップ市況はマクロ経済の動きとは必ずしも比例しない、意外にポジティブな値動きを続けていくのかもしれない。中国でもこのスクラップ利用の拡充は国家的にマストとなっている。
(関連記事)2022年~2023年 中国 鉄スクラップ産業の需給構造と今後の展望
(IRUNIVERSE YT)
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