技研製作所(6289) 23/8Q1決算メモ Q1は資材高など影響し増収ながら2ケタ減益
23/8期5.3%増収8.4%営利増予想も資材高等で減額懸念、インプラント革命には時間要す
株価2805円(1/13) 時価総額790億円 発行済株28115千株
PER(22/8期DO予:26.4X)PBR(1.9X)配当(22/8予)70円 配当利回り:2.3%
要約
・23/8Q1は4.5%増収ながら18.8%営利減と資材高、中古建機販売不振で2ケタ減益
・23/8期5.3%増収8.4%営利増と国内防災関連一巡で緩やかな拡大想定も資材高で減額懸念
・新中計は長期ビジョン達成のための種まき期で高収益体制復帰には時間要す
23/8Q1は4.5%増収ながら18.8%営利減と資材高、中古建機販売不振で2ケタ減益
22/8Q1決算が1/11に発表された。23/8Q1は売上高74.82億円(4.5%増)ながら営利11.23億円(18.8%減)、経常利益11.80億円(16.8%減)とコスト高が影響し増収減益で着地した。
部門別では建機事業が売上高50.26億円(7.5%減)、営利13.35億円(26.7%減)に。汎用機販売が入替需要で堅調に推移、大型特殊機も900mm幅ハット形鋼矢板への移行で堅調に推移。しかし収益性の高い中古製品の販売が減少し国内が54.32億円(4.0%減)に。海外は大型案件が無く1.96億円(51.4%減)。利益面では資材高、中古機減少もあり減収減益に。
一方、圧入工事は売上高24.55億円(42.0%増)、営利4.19億円(3.3倍)と、災害復旧、防災等の工事が一部先送りされたものも加わり国内が18.33億円(68.8%増)となり、大幅な収益回復となった。
23/8期5.3%増収8.4%営利増と国内防災関連一巡で緩やかな拡大想定も資材高で減額懸念
23/8期会社予想に変更はなく、売上高320億円(5.3%増)営利50億円(8.4%増)予想。部門別では建機事業236億円(13.2%増)、圧入工事84億円(11.8%減)予想。建機事業にではユーザー拡大のために西尾レントール(国内営業拠点250カ所)と同社グループ会社のシーアイテックが開発した杭精度管理システムのユーザー向けレンタルを9月より開始、リース会社と提携で売上拡大が見込まれる。一方、圧入工事では豪州大型事業が一巡する影響が大きい。
現状、令和5年度予算で国土交通省の公共事業関係費は横ばいの5.25兆円に止まった。「流域治水」の本格的実践等で5406億円(1%増)、土砂災害対策の加速化・強化900億円(1%増)、防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援8313億円(2%増)などとなっており、概算要求では20%近い要求だったものが大きく減額されている。海外案件はオランダ世界遺産の運河護岸改修で発注者であるアムステルダム市と実証施工契約を締結、圧入施工を11月から開始したが実証施工であり、利益拡大には結びつかないとみられる。
このように、全体として国内は公共事業予算の伸び悩み、景気減速による買い替え需要の減退、海外は先行投資的な要素も多く、Q1で上期会社予想に対し、売上進捗率47.9%、営利は進捗率38%となっており、23/8期会社計画に対し収益未達の懸念がある。
新中計は長期ビジョン達成のための種まき期で高収益体制復帰には時間要す
同社は新中期経営計画を発表、24/8期に売上高350億円(21/8比26.7%増)、営利55億円(同37.6%増)、内訳は国内250億円(21/8比12.8%増)、海外100億円(83.1%増)、事業別では建設機械250億円(30.7%増)、圧入工事100億円展望に掲げた。また31/8期に売上高1000億円を目指し、世界に「インプラント工法」を普及させ、インプラント工法革命を興すとしている。但し新中計での営業利益は24/8期予想が19/8期比82%水準にとどまり、工法普及のため人員増、経費増が嵩む時期とみている。また国内でも行政の壁は厚く既成工法の維持を崩すには時間を要すとみられ、足元の景気減退懸念の中でのコスト高もあり、高収益体制復帰にはかなり時間がかかるとみられる。
(H.Mirai)
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