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アドテックプラズマテクノロジー(6668) 23/8Q1決算メモ 受注減も生産追いつかず

23/8Q1は5.1%増収6.3%営利減、受注29.2%減も受注残100億円乗せで生産追いつかず

 

株価(1/13)1775円     時価総額152億円   発行済株8,586千株

PER(23/8期DO予:6.8X) PBR(1.66X) 配当予16円 配当利回り0.9%

 

要約

・23/8Q1は5.1%増収6.3%営利減、受注29.2%減も受注残100億円乗せで生産追いつかず

・23/8期予想変更なく豊富な受注残高抱え20.0%増収13.3%営利増予想と最高益更新へ

・24/8期は半導体事業で増設効果が本格寄与、光学薄膜向けも寄与し収益拡大継続期待


 

 

23/8Q1は5.1%増収6.3%営利減、受注29.2%減も受注残100億円乗せで生産追いつかず

 

 23/8Q1決算が1/13に発表され、売上高30.36億円(5.1%増)、営業利益5.80億円(6.3%減)、受注高35.84億円(29.2%減)、受注残高108.60億円(62.4%増)と、増収ながらコストアップで営利減となった。

 

 事業別に半導体・液晶関連事業が売上高27.98億円(1.5%増)、営業利益5.49億円(12.0%減)、受注高32.73億円(32.4%減)、受注残高100.98億円(71.2%増)。

 

 四半期での地域別売上が開示され、日本は12.81億円(3.5%増)と、エッチャー向けが堅調に推移、一方でオプトラン向け(成膜装置)は不振で伸び率は低くなった。一方、米国は4.28億円(11.9%減)と、アプライドマテリアルズ(CVD装置)向けなどが一服、アジア地域は9.47億円(2.7%増)と中心となるASMシンガポール(ALD装置)向けが堅調だった模様。

 

 受注が32.4%減と大幅減少しているが、部材不足などもあり月産1600台程度の生産能力に対し前期末の1100台水準が続いている模様。結果として生産が追いつかず売上が伸びない中でBBレシオは1.17と依然1を上回り、受注残高が100億円を超えるまでに高まった。ちなみに最大ユーザーのASMは直近22/12Q3受注が6.76億€(8.2%増)、受注残は15.25億€(2.4倍)、またQ3のガイダンスでQ4の売上を従来予想の6.0~6.3億€から6.3~6.6億€へ引上げしている。

 

 IDX部門は売上高2.37億円(83.7%増)、営業利益0.13億円(0.41億円改善し黒字転換)、受注3.11億円(38.4%増)、受注残7.62億円(3.4%減)と、シリコンウエハ引上用装置向け電源売上などが堅調で黒字転換に。

 

 全体の利益面では増産効果が追いつかず、半導体・液晶関連事業の受注残高が膨らんだ状況ながらベトナムでの生産性向上などで総利益率は同期比0.1ポイント改善し43.0%となったが、人件費増、研究開発費増などで販管費が7.23億円(16.6%増)となり営業減益に。

 

23/8期予想変更なく豊富な受注残高抱え20.0%増収13.3%営利増予想と最高益更新へ

 

 23/8期会社予想に変更はなく、売上高148億円(20.0%増)、営利31億円(13.3%増)、経常利益32億円(4.9%増)、税引利益22.5億円(3.5%増)と連続最高益更新予想。企業別ではIDXを収益横ばいと想定、収益の伸びは本体の伸びを見込む。

 

 基本的に半導体製造の先端の前工程装置需要が23年は足踏みする見通しに変化も、同社最大ユーザーのASMなどはALD装置の拡大、また受注低迷からアップル向け成膜装置の受注回復が本格化したオプトラン向けの電源需要の拡大が見込まれる。現在、半導体・液晶関連事業が受注残高で100億円の大台を超える中でベトナム工場の人員増が継続、下期には受注残高の消化も進む見通しで、半導体・液晶関連事業の会社計画達成が見込まれる。

 

 これに加え、IDXは300mmウエハのグリーンフィールド投資で引上用装置向け電源の拡大が期待される。また受注面では10KW/20KWの直流バイポーラ電源の量産を始め下期には量産対応が整う予定で今期受注増が期待される。

 

 なお受注面で会社側は中国向けに日米欧の半導体製造装置メーカーの規制が強まった場合に半導体事業のミニマム受注想定を100億円(42%減)と置いており、実際Q1は32.4%減となった。同社最大ユーザーであるASMもQ3累計で売上の16%を占める中国向けについて、米国の輸出規制の影響から受注残を一部削除、Q4の中国向け受注の大幅減を見込んでいる。但しASMは中国以外のロジック向け受注が堅調とのことで大幅な受注減とはならない見通し。一方、エッチング装置向けはエッチング各社の受注が足元で急速な受注調整が生じている模様で、こちらは2023年上期について低調が継続するとみられる。同社は仮に半導体事業で100億円の受注に止まっても今期売上高148億円は十分確保できるとしている。なお足元では中国向けに大型受注の獲得があったとのことで、結果としては会社側が適切な受注残高水準としている半導体受注残高70億円(27%減)は確保できるとみられる。会社計画の為替前提は1$=140円としており為替の円安修正はあるが、ベトナム工場の生産性向上、生産増効果などで会社計画並みの収益が見込まれ、連続最高益更新が見込まれる。

 

24/8期は半導体事業で増設効果が本格寄与、光学薄膜向けも寄与し収益拡大継続期待

 

 24/8期はベトナム第2工場が完成(投資額24.5億円、23年7月予定)、稼働を始める。同工場の完成で、最大限のライン増設を行えば現有の3倍まで拡大が可能とのこと。

 

 半導体事業はASM向けの拡大が期待される。ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)は材料ガスの投入と不要な材料の排除を高速に繰り返し、数nmレベルの極薄薄膜を正確に制御し、一層ごとに堆積していく技術。成膜温度が150~400℃に抑えることが可能で、プラズマALD は100℃以下にまで引き下げが可能(一般的なCVDプロセスでは400~900℃)。ALDは、パターン寸法や密度の影響を受けず、精緻な膜厚制御と均一性が実現でき、3D化に伴い需要が加速する見通し。ASMはシェア55%のトップ企業で、HKMG(High-K Metal Gate:トランジスタ構造の微細化に伴いリーク電流を抑えるために、ハフニウム酸化膜等の高誘電率膜によるゲート絶縁膜とTi、Ru、Coなどメタルゲート材料の組み合わせたスタック構造)成膜分野で高いシェアを獲得している。市場は2025年に現在の2~2.5倍、31億ドル~37億ドルに拡大すると期待され、ASMの電源で高いシェアを持つ同社もASMの拡大に合わせ売上拡大が見込める。しかもALDについてエッチング装置同様にマルチチャンバー化が進んでおり、電源需要は台数以上に伸びが期待される。加えて光学薄膜向けではARやVR向けなど、メタバース向けに光学薄膜製造装置、ガラスよりも屈折率の高い斜め回折格子をエッチングするドライエッチング装置向けが本格拡大すると見られ、オプトラン向けも急回復が見込まれ、半導体事業全体の拡大が続こう。またIDXは政府の研究開発投資に対する支援策の拡大から研究所向け超高圧電源需要の回復が見込まれる他、民生用に直流バイオポーラ電源の量産の寄与が24/8期には本格拡大が見込まれ、IDXについても収益の本格回復が期待される。

 

 全体を通じ、先端半導体製造装置向けの拡大でエッチング装置、ALD装置、CVD装置向けの電源の拡大に加え、次世代光学薄膜製造装置向け、さらにはIDXも収益回復が進み、24/8期も収益拡大が期待される。

 

 

 

(H.Mirai)

 

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