太平洋セメント「新リン回収システムによる下水道の資源化に関する実証事業」に採択
令和5年度下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)に採択
今回国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト※1)にお いて、太平洋セメント株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:不死原正文 メタウォーター株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 賢二、以 下、メタウォーター)および東京都下水道局(本庁:東京都新宿区、東京都公営企業管理者 下水道局長: 奥山 宏二)からなる共同研究体が提案した、「新たなリン回収システムによ る下水道の資源化に関する実証事業」(以下、本提案)が、令和5年度実施事業として採択された。
2015 年の下水道法改正に伴い、下水道管理者には、発生する汚泥の燃料化や肥料化の努力義務が 課された。これまでもコンポスト(堆肥)化による有効利用が進められてきたが、その割合 は国内で約1割にとどまっている。また、2022 年 12 月 27 日に公表された「食料安定供給・農林 水産業 基盤強化本部」の政策大綱には、堆肥・下水汚泥資源の利用拡大や、2030 年まで国内資源化 率の向上などが謳われている。
こうした状況を踏まえ、同提案は、汚泥等の下水道資源の活用を進めるため、リン回収資材を用 いて下水汚泥脱水分離液*2から効率よくリンを回収し、安定的なリン資源とすることで有効利用を 実現する。
1.提案の特長
・吸着性と沈降性を併せ持つリン回収資材により、他の薬品を使用せずに、効率的に脱水分離液からリンを回収。
・リン回収物が肥料の品質の確保等に関する法律に定める「副産肥料」の公定規格を満たすよう、脱水分離液のリン濃度に追従したリン回収資材の添加について、最適制御を実現する。
・四季を通して安定したリン回収物の品質を確保し、安定供給。
2.提案の効果
・下水道資源を有効活用。
・肥料国産化・安定供給に寄与。
3.事業概要
・事業実施者 :太平洋セメント(株)・メタウォーター(株)・東京都下水道局共同研究体 ・実証フィールド:東京都下水道局砂町水再生センター(東部スラッジプラント) ・事業実施期間 :契約締結日の翌日から2024 年 3 月 31 日(予定)
・役割分担
当社 全体統括・リン回収に関わるデータ収集・リン回収物の肥料化検討
メタウォーター プラントの建設・運転全般
東京都下水道局 実証フィールドの提供・研究開発等に係わるノウハウの提供
※1 新技術の研究開発および実用化を加速することにより、下水道事業におけるコスト縮減や再 生可能エネルギー創出等を実現し、併せて、本邦企業による水ビジネスの海外展開を支援す るために国土交通省が実施している実証事業
Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project の略
※2 汚泥の脱水過程で発生する高濃度のリンを含んだ排水
同社連結子会社の事業停止に関して
同社は、2023年2月28日開催の取締役会において、同社の連結子会社である江南-小野田水泥有限公司(以下、江南小野田)の中国江蘇省南京市におけるセメント製造販売事業を停止することとした。
1.事業停止の理由
同社連結子会社である江南小野田は、1993 年に中国江蘇省南京市に設立し、省エネ環境配慮型の模範的な工場として長年にわたりセメント製造販売を行い、顧客から高い信頼・評価を得てきた。 また、高品質のセメントを米国に輸出し当社グループ米国事業の安定ソースとして貢献してきた。
同社グループでは、2021 年5月に策定した「23中期経営計画」における海外事業の基本方針として、「アジア域での新・事業ポートフォリオ構築」を掲げ、特に東南アジアエリアでの事業拡大と最適物流ネットワークの構築を推進するとともに、当社グループのポートフォリオの組替の検討を進めてきた。一方、中国国内については、現地資本の技術力向上や規模拡大等を背景に競争環境が厳し くなる中、更に成長が期待できる他地域へ注力していくことが、同社グループの企業価値向上にとって望ましい方針と判断し、今回江南小野田の事業を停止することとした。
2.事業停止の期日
同社取締役会決議日 2023 年2月 28 日
3.今後の見通し
これによる今期業績に与える影響は精査中。また、今後開示すべき事項を決定した場合には速やかに公表する。
(IR universe rr)
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