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高品質アルミの陰にいる問題児、ドロスをどうするか本気で考えなきゃ

 長く関係者の間では、その処理を今後どうするのか、道筋を考えなければならないと、話し合われながらも、なんとはなくなおざりにされてきた「アルミドロス」。しかしいま、その扱いを本気で考えなければならないと、一部の業界関係者・研究者は警笛を鳴らす。

 

 

アルミの不純物を取り除いた残渣がドロス

 アルミドロスは、アルミ製品を製造する溶解工程での溶湯の表面(空気接触面)に発生するもので、溶滓とも呼ばれるが、金属アルミを6080%含んでいるので、他の成分(酸化物などの不純物)と分離して、さらに金属アルミ分を回収する。その絞り切った残渣を「アルミ灰」というが、これは産業廃棄物として埋立処分されるか、かろうじて製鉄工程での利用が可能なことから、有価で流通している。

 

 アルミ製品は、多くがその製造工程での除滓・脱ガス・不必要成分除去などを目的に「フラックス」というフッ化物・塩化物などを主とする化学薬品を用いる。この薬品により、高品質アルミ製品を製造するのに必須となる高品質溶湯が作られるのだが、この成分であるいわゆるハロゲン化物は、最終的に金属アルミを絞り切ったドロスの灰中に残存する。

 

 この残灰は、放置すると自然発火の可能性があるほか、灰に含まれた窒化アルミが水分と反応するとアンモニアなどの有害ガスを発生する。また、フッ素、塩素も濃化された状態であることから、人体への影響も懸念される。後述の鉄鋼でのドロス利用においても、その最終残渣であるスラグにハロゲン成分は残るため、この有効利用先となる路盤材もことによっては管理しなければならない。

 

 高品質アルミ製品を製造する上では、フラックスの使用は不可欠となるが、しかしこの工程がドロス(ここではアルミ灰をドロスとする)のリサイクル(再利用or有効利用)を難しくしているのだ。こうした事実に対し、もっと社会的な認知を高めていくべきなのだが、しかしそういった事柄が定量的に表され示されていないというところに問題がある。

 

アルミリサイクルの加速から、ドロスは一層発生する

 また前記もしたが、ドロスは製鉄においても利用され高炉では脱酸剤、製銑工程で皮膜となることから保温剤として用いられる。電炉においても保温効果を発揮し、それにより使用電気量を削減することができる。

 

 だが、現状鉄鋼は減産の一途を辿っており、その生産が減れば自ずとドロスの使用も減ることになる。つまり埋立て比率が高まるということだ。そして、現状中国向けに「脱酸剤」の名目でドロス(アルミ灰=実は産廃)は輸出も行われているが、これが本当に製鉄において使われているのか、わからない部分もある。ある筋からは、広大な砂漠に投棄され、悪臭(アンモニア)を放ち続けているともいう。

 

 資源を再生し、循環させようというこれからの世の中、アルミはリサイクルの優等生といわれるとうり、一層再生利用が加速されることだろう。そうなると溶解が必要となるリサイクル工程から(もちろん製造においても)、ドロスはさらに発生を増すことになる。つまり更なる受け皿が必要となるのだが、前述の通り、鉄鋼業での需要減であるいま、ドロスは行き先を失い、ダブつくことになる。

 

 また、ある筋からは使い物にならない(売り物にならない)ドロスに対して、わざわざ金属アルミニュウムの成分を添加し、ある程度の利用価値を「添加」して、鉄鋼メーカーに供しているという話もある。

 

 優等生の名に傷が付きそうな話だが、これもかれも、アルミ産業が宿命として抱えた厄介者「ドロス」の「処遇」に対し、なんとなくそっぽを向いていた「処理さえできてしまえばいい」という、業界の無責任さが一因ともいえる。

 

 ドロス利用の新たなアプリケーション探しに、業界はもっと前向きさを示すべきだろう。

 

 

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