マルマエ(6264) 23/8Q2決算メモ ややネガティブ継続
23/8Q2は13.4%減収55.5%営利減、受注53.6%減で収益大幅悪化、回復は24/8期下期に
株価1690円(3/31) 時価総額220億円 発行済株13053千株
PER(23/8期DO予17.8X)PBR(2.82X)配当(23/8期予)36円 配当利回り2.1%
要約
・23/8Q2は13.4%減収55.5%営利減、受注53.6%減で収益大幅悪化
・23/8期は償却増、労務費増、下期受注低迷続き1.3%増収28.9%営利減予想は未達も
・新中計で25/8期に売上高140億円、営利42億円目指すが、受注回復遅れハードル高い
・株価は東京エレクトロンに連動で下落、PERは部材関連ではまだ割高でややネガティブ継続
23/8Q2は13.4%減収55.5%営利減、受注53.6%減で収益大幅悪化
半導体・FPD製造装置の真空部品や各種高精度部品を中心に事業展開。主力ユーザーは東京エレクトロン(TEL)宮城、TELテクノロジーソリューション、日本発条の3社で2/3を占める。 3/30に23/8Q2決算が開示された。23/8Q2は売上高17.52億円(同期比13.4%減、Q1比29.6%減)、営業利2.58億円(同55.5%減、同61.4%減)、受注高10.51億円(同53.6%減、同34.0%減)と受注急減、材料高等で大幅収益悪化に。なお期初計画比では売上で1.00億円、営利で1.47億円上振れて着地している。
セグメント別では半導体分野が売上高12.86億円(同17.1%減、同53.6%減)、受注高8.63億円(同53.6%減、同34.0%減)、受注残8.58億円(同55.9%減、同33.0%減)となった。売上はQ1までは受注残高の消化で確保も、受注は在庫調整も有り低迷継続。消耗品売上が多くQ2に売上も大幅減少に。ちなみにBBレシオは22/8Q4に0.94と1を割り込み、Q1が0.7、Q2では0.67まで低下している。FPD分野も売上高1.96億円(同52.3%減、同12.1%減)、受注1.21億円(同69.4%減、同11.0%減)、受注残2.85億円(同62.5%減、同20.8%減)に。LCD向けはOLED低調、EBW(電子ビーム溶接)関連も受注一巡、厳しさが増した。なおPV他は売上高2.29億円(同4.5倍、同32.8%減)も受注は0.67億円(同53.5%減、同81.9%減)とPV向け納入増も引合いは多いが受注は一服し低迷。
利益面では減収影響に加え、材料費高(13.3%増)減価償却費増(13.0%増)などが嵩み、労務費も0.5%増と微増となり、外注加工が18.7%減となったものの総利益率が13.6ポイント下落し24.0%となり、販管費の縮小9.9%に止まり、営利率は14.0ポイント悪化し14.7%と、19/8Q4の12.8%以来の低さとなる。
23/8期は償却増、労務費増、下期受注低迷続き1.3%増収28.9%営利減予想は未達も
23/8期会社予想に変更はなく、売上高87億円(1.3%増)、営利16.8億円(28.9%減)予想。上期の増額着地している事から、下期は期初計画比減額予想となる。現状、受注急落の状況にあり、特にメモリの不振が大きく、エッチング工程などでの使用が多い同社製品群の落ち込みは厳しいとみられ、会社を下回る懸念がある。会社側でも半導体関連の在庫調整が6月までは継続するとの判断をしており、Q3で受注ボトムもQ4でも回復は鈍く、本格回復は24/8Q1以降となる見通し。FPD分野はOLEDのG6が24/8Q1以降に低水準ながら回復見通し、OLEDのG8は24/8Q3以降に拡大見通しも、足元の状況は底バイ続く見通し。PVその他は引合い多く、FPDラインの穴埋めを一部で補うものの、大型組立工場確保が課題となるなど、FPD低迷を補うには力不足の状況にあり、全体として会社予想未達成が懸念される。
新中計で25/8期に売上高140億円、営利42億円目指すが、受注回復遅れハードル高い
同社は昨年6/3に中期事業計画「イノベーション2025」を策定、25/8期に売上高140億円、営業利益42億円を目標値とし、事業別に半導体事業110億円(既存90億円、新規20億円)を見込んだ。これに対応し製造能力を23/8期末に月産7.5億円、24/8期末9.5億円、25/8期末に10.7億円まで高める方針だったが、収益低迷で投資計画を23/8期18億円から16.5億円に抑制する方針に。
現状、半導体製造装置受注はSEMIが3/21前工程製造装置市場の予想を発表、2023年の前工程装置向けの投資額は23%減の760億ドル、2024年に在庫調整の終了、車載用及びHPC用半導体市場の拡大から、前年比21%増の920億ドルと回復に転じる見通しとしている。また中国市場については3/31に日本政府が半導体製造装置23品目の輸出規制を発表、その影響も懸念材料となる。いずれにしてもSEMIの予想に大きな違和感はなく、同社の半導体事業の回復は24/8期下期からとなろう。特に新規ユーザー向けを23/8期に4億円程度、25/8期に20億円まで見ている点は大きく減額が懸念され、24/8期は収益の下期からの回復に止まり、25/8期中計予想の達成はかなり難しいとみられる。
株価は東京エレクトロンに連動で下落、PERは部材関連で割高からややネガティブ継続
株価は東京エレクトロンの影響が大きく、東京エレクトロンの株価下落とともに下落を続け、昨年末には1396円の安値を付け、多少戻っていたが、今回Q2で増額着地も受注が厳しく下期は期初計画に対し未達懸念がある。現状23/8期会社予想EPS95.03円に対しPER17.8倍は東京エレクトロン比で同じ水準と割高感があり、半導体関連部品各社のPER10倍以下と比較し割高感が強い。Q2決算発表を受け、3/31には前日比170円安の1690円となっているが、受注低迷で再度下値模索が続こう。反転は東京エレクトロン次第とみられ、ややネガティブ継続としたい。
*東京エレクトロンとTELにエッチング装置向けRF電源の納入が多いダイヘン(6622)とエレクトロン売上比50%のアバールデータ(6918)との比較
(H.Mirai)
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