チャイナモリブデン、コンゴ鉱山の権益問題でジェカミンと和解 コバルト価格下押しか
中国レアメタル採掘の中国洛陽栾川モリブデン(チャイナモリブデン、CMOC)は4月19日、ロイヤルティー紛争が続いていたコンゴのテンケ・フングルーメ鉱山(TFM)について、「4月18日にコンゴ国営のジェカミンと和解した」と発表した。和解に伴う生産再開で市場に出回るコバルトの量が増えれば、価格の下押し要因になる可能性がある。
TFMの権益はチャイナモリブデンが80%、ジェカミンが20%をそれぞれ保有するが、チャイナモリブデンがロイヤルティーの支払いを減少させるために埋蔵量を過少報告していたとの疑惑が浮上し、2021年にコンゴ政府が調査に乗り出す事態になっていた。チャイナモリブデンは発表資料中で、今後はジェカミン側との協力関係を一段と強め、コンゴの経済発展と民生や福祉に尽力した上で、中国とコンゴの友好関係にも貢献すると述べた。
チャイナモリブデンは2月に発表した2022年決算資料で、TFMのコバルト生産量を2万1000トン~2万4000トンと見積もっていた。同社は2021年にTFMへの投資を始め、4月19日に別資料で発表したところでは、TFM鉱山への投資総額は25億1000万ドル。年産560万トンと350万トンの2本の混合鉱と、330万トンの酸化鉱の3本の生産ラインがあり、当初は銅を年平均20万トン、コバルトは1万7000トン生産すると計画していた。
一方、4月19日付の英経済紙フィナンシャル・タイムズは、今回の和解に伴い、チャイナモリブデンが紛争中に備蓄していたコバルト約9か月分が市場に放出されることになると指摘。コバルト価格の下押し要因になると予測した。
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(IR universe Kure)
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