「2023NEW環境展/2023年地球温暖化防止展」 ハンドヘルド材料識別装置特集
2023年5月24日~26日に東京ビッグサイトで開催された第32回:2023NEW環境展/第15回:2023年地球温暖化防止展」が閉幕した。二日目25日までの累計訪問者数は6万人を超えた。
アイアールユニバースでは初日から取材をしてきたが、筆者は2日目にハンドヘルドの材料識別装置を取材した。
金属系識別であれば蛍光X線・発光による元素分析、樹脂識別であれば、近赤外線を照射して反射した近赤外線スペクトルパターンによる識別と、原理的に大きな変化はないものの、価格はかなり手頃となってきているようである。レーザー励起による装置も300万円程度で購入できるようであり、特に樹脂では消費税込みで100万円を切った。これはパーテーションに使われていた樹脂の識別需要があるうちに、顧客を取り込もうとする考えもあるようだ。
これらの装置は、使用者が自分達の取り扱う材料に適用するためにデータベースのチューニングを行なえば有用であろう。
初日の取材の様子はこちらをご覧ください。
2023NEW環境展/2023年地球温暖化防止展開幕――資源循環の色合いが濃い展示会に | MIRU (iru-miru.com)
2023NEW環境展・バッテリー重機本格化・AIロボットも現る | MIRU (iru-miru.com)
展示会主催の日報ビジネスによる、紙面でみる展示会特集号が参考になります。
<フジトク株式会社>
フジトク株式会社は正規販売代理店となっている、VELAINSTRUMENTS社(米国)製カーボン検出レーザー元素分析装置及びリチウム検出レーザー元素分析装置を紹介した。蛍光X線による金属識別では軽元素[水素、ヘリウム、リチウム(Li)、ベリリウム、ボロン、酸素、炭素(C:カーボン)、窒素、フッ素、ネオン]の測定ができないので、これらの問題点を解決できる装置として紹介。
一方、蛍光X線は非破壊であるが、レーザー励起ブレークダウン法(LIBS)は、非破壊ではないこと及びアルゴンガスを必要とすること等、に注意する必要がある。価格は消費税抜きで300万円程度とのこと。
検出器については、詳細にはご説明いただけなかったが、リチウムは長波長側で検出されるので、近赤外域に感度を広げたマルチアルカリ光電面の光電子増倍管(フォトマル)を用いていると推定した。半導体検出器では無いので、分析精度を期待できる。
フジトクのブースでは、炭素(C)の検出により、ステンレスのSUS304とSUS304Lが識別できることを紹介していたが、微量分析(高感度)用と、通常タイプの2台の購入が必要なのかもしれない。興味のある方があれば、確認しますのでご連絡ください。
<山本製作所 ソリューション事業部>
山本製作所は、発砲スチロール減容器の新シリーズとして、インゴットをブロック状に成形するRGシリーズと、近赤外線分光法(近赤外線を照射し、樹脂から反射するスペクトル形状により、樹脂を識別する。)によるハンディータイプのプラスチック材料判別装置「ぷらしる」を出展した。
山本製作所は、本社は山形であり、そもそもは、お米の乾燥機から始まったが、顧客から発砲スチロールの処理作業の相談を受け、熱で融解する装置を開発したことを手掛かりとして、その後環境事業部に発展。融解したインゴットは積上げるとかなりの重量となるため、今回の展示では、細粒化を取り入れ、フレコンで直接エア搬送できる装置へ進化させた。
プラスチック判別装置も、顧客から相談を受けて、独自開発した。お気づきであろうか?コードで繋がっている点が少し残念である。ハンディーで、透明なものの場合は、反射板を置いて測定する。この方法は、反射を利用しているので、黒いものには適用できない。緑や青も苦手のようだ。あくまでの識別装置であり、分析装置ではない。
<RICOH>
RICOHもハンディのプラスチック識別装置を展示した。近赤外線分光方式であり、こちらも100万を切るが、スマートフォンは別売り。山本製作所とは異なり、ワイヤレスであるので、距離がはなれたところからの情報も受信できる。
資源ゴミ自動選別AI認識システムも参考出展した。資源ゴミは、びん(茶色、透明、他色)、PETボトルの識別である。複合照明技術と特徴融合認識技術を用いて、選別対象と非選別対象を分離する。
その他
ジャパンマシナリー:サーモフィッシャー社製のアスベストアナライザー、ブルッカー社製の蛍光X線分析装置。いずれも米国製。
エビデント:エビデントは、2022年オリンパス科学事業が分社した会社。ハンドヘルド蛍光X線分析装置「VANTA」
浦野商事:日立製X線金属分析器エックスメット及びレーザー分析器バルカンを展示。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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