要興業(6566)23/3期WEB説明会 ややポジティブ継続
23/3期資源価高、コロナ禍からの需要回復で9.2%増収35.1%営利増と連続最高益更新
株価762円(6/2) 時価総額123億円 発行済株15,871千株
PER(24/3期DO予:9.4X)PBR(0.7X) 配当DO予24円 配当利回り:3.1%
要約
・23/3期9.2%増収35.1%営利増と資源価格上昇、コロナ禍からの需要回復で上振れ着地
・24/3期3.1%増収0.2%営利増予想とリサイクル事業の市況軟化織込むも増額期待
・中期経営計画で25/3期売上高136.5億円、営利18億円はほぼ1年前倒しで増額見直しへ
23/3期9.2%増収35.1%営利増と資源価格上昇、コロナ禍からの需要回復で上振れ着地
1972年創業の一般・産業廃棄物の収集運搬、処理、リサイクル大手。23/3期決算説明会が5/31に開催された。23/3期は売上高130.29億円(11/14増額修正予想比3.51億円増額、9.2%増)、営業利益17.39億円(同2.13億円増額、35.1%増)、経常利益17.86億円(同2.15億円増額、36.7%増)、税引利益12.60億円(同1.99億円増額、44.4%増)と上振れ着地した。これで2期連続最高収益更新となり、配当も計画比3円増配の23円に。
事業別に収集運搬事業が86.46億円(同2.25億円増額、7.3%増)。顧客数が順調に拡大、より短い距離でより多くの廃棄物を運ぶ「路線化政策」の推進で効率的な収集運搬で順調に売上を伸ばした。収集拠点は8029現場(0.7%減)となったが、これはコロナ影響による飲食業の閉店、コンビニなども店舗見直しなどが影響している。但し顧客数は3579社(92社増加、2.6%増)となっており着実に増加、顧客売上構成比は上位10社合計で26%となっており、各々の構成比は22/3期と変化なし。なお収集運搬車は単体で317台(7台増、2.3%増)となっている。
リサイクル事業は売上高16.06億円(同1.22億円増額、27.9%増)と、資源相場の上昇で大幅増収に。主力の段ボールベールや4月に施行されたプラスチック資源循環促進法によりペットベールなどの回収が増加、価格高騰(廃PETボトルが同期比2.5倍)も寄与し大幅な売上増に。
行政受託事業も売上高27.65億円(同0.05億円増額、6.1%増)と堅調な伸びに。子会社のヨドセイが行うゴミ収集事業で家庭用ゴミの需要増で取扱量の増加が寄与、要興業が行うリサイクルセンターで行う選別圧縮・選別資源化も高水準を保っている。
利益面では増収効果に加え。主力の運搬収集・処分事業の効率化、リサイクル事業の資源相場上昇などが寄与、売上総利益率が2.3ポイント向上し、大幅増益となった。
24/3期3.1%増収0.2%営利増予想とリサイクル事業の市況軟化織込むも中計上回る予想
24/3期会社予想は売上高134.35億円(3.1%増)、営利17.43億円(0.2%増)、経常利益17.90億円(0.2%増)、税引利益12.13億円(3.7%減)と、リサイクル事業での市況下落、また東京都が10月より燃えるゴミの処分価格が上がる事で、処理費の増加が見込まれる前提で増収、利益横ばい予想とした。なお2022年12月に策定した中期経営計画比較で売上高3.36億円、営業利益1.47億円増額予想となっている。
事業別では収集運搬・処分事業が4.8%増、リサイクル事業は10.2%減、行政受託事業5.1%増予想。リサイクル事業では数量は減少しないものの価格下落などから減収もその他事業は緩やかな拡大を見込む。
現状、コロナ影響が一巡、収集運搬・処分事業は小売り、鉄道等のユーザーも多く、会社計画を上回る伸びが期待される。行政受託事業は不燃物資源化事業等で従来の6区以外でも要請があるとのことで増額が見込まれる。リサイクル事業では鹿浜リサイクルセンターの稼働が順調に推移、全体の数量が減少するとは考えにくく、こちらも収集・処分事業、行政受託事業の増額が寄与し増量が見込まれる。全体として会社計画に対し上振れが期待される。
中期経営計画で25/3期売上高136.5億円、営利18億円はほぼ1年前倒しで増額見直しへ
2022年12月に中期経営計画を発表。創業50周年を期に、25/3期に売上高136.54億円、営業利益18.08億円を中期目標の数字とした。但し24/3期予想が1年前倒し達成の数字に近く、改めて中計の増額見直しを策定する計画。同社は中計とは別枠で同社業務に資する企業連携を検討、他社との協業による規模拡大、処分先取込みによるサービス品質の向上を図り、業務提携、資本参加、M&Aも含め売上150億円達成を目指す。実際、安全対策、防災対策、加えて同業界では零細企業もあり情報化投資が遅れている企業も多く、顧客のSDGs対応などで同社のようなISO26000(組織の社会的責任に関する国際規格)取得企業への発注が増すとみられ、25/3期にもこの達成が可能となってこよう。
同社株価は24/3期予想EPS76.49円に対し、PER10.1倍はダイセキ21.1倍、大栄環境19.8倍、イボキン11.1倍、エンビプロ12.5倍と比較し、大手2社に対して割安、その他は同水準にある。但し同社は24/3期増額期待もあり、連続最高益更新が持続すると見られややポジティブを継続したい。
(H.Mirai)
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