5月の銅の概況及び6月の見通し 橋本アルミ(株)橋本健一郎
予想レンジ
LMEセツル 8000-9000ドル →
建値 113万-130万円 →
為替 135~140円 (1か月間TTM) 変わらず
■国際概況
前半、4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が4.9%と市場予想の5.0%を下回ったなどのプラス材料もあったが米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が年内の利下げ転換に否定的な見解を再び示したこともあり、金融引き締めが長引くとの警戒感が広がったこと、4月の米雇用統計 結果 25.3万人 予想 17.9万人ことを嫌気しDOWN
5月15日時点で8240ドル(セツル)と月初価格より333ドルDOWNの締め。
後半は米債務上限問題を巡り、バイデン政権と野党共和党との合意に向けた期待感が広がった。などのプラス材料あったが4月の中国鉱工業生産指数が事前予想を下回ったこと、米連邦準備理事会(FRB)高官による金融引き締め継続に前向きな発言が相次ぎ、景気悪化への警戒が広がったことを嫌気しDOWN
月末日 後半スタート価格から165ドルDOWNの8122ドル。
6月スタート建値は118万円。
■前月の経済指標
◆月間のドル/円レート (TTS)
137.84 → 140.77(円)
出典 MIRU
【国内指標】
【自動車生産】
生産動態統計によると4月の自動車生産台数は前年比+24.1%の68万375台
輸出は前年同月比+19.4%の34万7445台
◆自動車販売台数
日本自動車販売協会連合会によると5月月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+28.1%の20万6663台
自動車生産台数
出典 生産動態統計
自動車販売台数推移
出典 日本自動車販売協会連合会
【住宅着工戸数】
4月の新設住宅着工は,持家,貸家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比11.9%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比12.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 67,250 戸。
・前年同月比 11.9%減, 3か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 5,283千㎡。
・前年同月比 13.9%減, 3か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 771千戸。
・前月比 12.1%減, 先月の増加から再びの減少。
出典 国土交通省統計
◆貿易関連指標
【輸出】
電気銅 +11%の4万4370t
スクラップ +8%の3万206t
輸出推移
【輸入】
電気銅 -44.5 %の237t
スクラップ -22.1%の9910t
輸入推移
出典 財務省 貿易統計
■前月の国内指標
【伸銅品生産】
4月伸銅品生産量の速報値は5万4,350トン、前年同月比17.6%減少し、16か月連続のマイナスとなった。特に青銅板条の4月生産量は、1982年以来、41年ぶりの低水準となった。
出典 日本伸銅協会
【日本電線工業会発の出荷速報(推定)】
前年比-4%の4万9800t
うち 国内-3.8% 輸出が -21.5%
出典 日本電線工業会
■国内概況まとめ
【自動車】
【自動車生産】
生産動態統計によると4月の自動車生産台数は前年比+24.1%の68万375台
輸出は前年同月比+19.4%の34万7445台
【自動車販売】
日本自動車販売協会連合会によると5月の自動車販売台数(軽除く)は前年比+28.1%の20万6663台
内 乗用車 +31.8%
貨物 +6.8%
バス +28.1%
【住宅着工戸数】
4月の新設住宅着工は,持家,貸家及び分譲住宅が減少したため,全体で前年同月比11.9%の減少となった。また,季節調整済年率換算値では前月比12.1%の減少となった。
○新設住宅着工戸数は 67,250 戸。
・前年同月比 11.9%減, 3か月連続の減少。
○新設住宅着工床面積は 5,283千㎡。
・前年同月比 13.9%減, 3か月連続の減少。
○季節調整済年率換算値では 771千戸。
・前月比 12.1%減, 先月の増加から再びの減少。
【伸銅品生産】
4月伸銅品生産量の速報値は5万4,350トン、前年同月比17.6%減少し、16か月連続のマイナスとなった。特に青銅板条の4月生産量は、1982年以来、41年ぶりの低水準となった。
2023年4月の伸銅品は、14品目中13品目において前年同月実績を下回り、1品目銅線だけ上回った。
伸銅品の需要は、車載向けの半導体好調続くが、それ以外の半導体や電子部品が在庫消化を継続している。エアコンは、機器の生産が順調になってきたが、エアコンを取り付けるための新規住宅着工件数が伸びず、また大型の商業施設やビルの建設工事が遅れている
銅条
同比8ヶ月連続マイナス。2020年の生産量を下回った。車載向け半導体向けが引き続き好調だが、民生用のデジタル家電などの在庫消化が続いている。自動車は部品レベルの生産回復が見られる。自動車の端子は、在庫消化が続いているが、そろそろ底打ち感も出てきた。
黄銅棒
同比16ヶ月連続マイナス。2020年を下回っている。4月としては、リーマンショックの2009年以来の低水準となった。自動車向けの在庫消化が進まない。民生用は在庫分だけで賄えている。
【電線】
前年比-4%の4万9800t
うち 国内-3.8% 輸出が -21.5%
●銅輸出入概況
日本からの銅スクラップ輸出は、昨年大きく減らしたが、2023年に入ってゆっくりと増加基調へ転じてきた。中国向けの輸出が堅調なことと、韓国や台湾など輸出量が比較的少ないところも堅調に伸びている。またここに来てベトナム向け輸出が急増している
2023年4月の日本からの銅スクラップ輸出量は3万206トン、2か月続けての3万トンを超えとなった。このところ銅スクラップの輸出量はやや低調で、3万トンを超える月が少なかった。2か月続けて超えたのは、2021年6月以来、2年ふりのことである。また前年同月比8.0%増加し、2か月続けてのプラスとなった。
日本から銅スクラップ輸出は、2017年まで中国向けの輸出の割合が大きく、同輸出量全体の9割以上を占めていた。しかし、2018年以降、中国向けの輸出の割合が低下し、代わってマレーシア向けの輸出が大きく増えた。その後、マレーシア向けの輸出量の割合が低下し、再び中国向けの割合が大きくなってきている。
一方、中国とマレーシアを除くところで主要な輸出先を見ると、2023年はタイとフィリピン向けを除き、輸出量が増えている。特にベトナム向けの輸出量が大きく増えている。ベトナム向けの輸出は、2018年から20年に増えたが、2021年以降大きく減らしていた。また、シンガポール向けの輸出も昨年に続き多い。今後もベトナムとシンガポール向けの輸出の推移に注目したい。台湾や韓国向けも堅調に推移している。
- 銅
【輸出】
電気銅 +11%の4万4370t
スクラップ +8%の3万206t
【輸入】
電気銅 -44.5 %の237t
スクラップ -22.1%の9910t
【見通し】
【自動車】
4月の自動車生産が+24.1%。5月国内販売台数が前年比+28.1%
4か月連続 生産,販売 共に回復の兆しあり今後に期待
【伸銅品生産】
4月伸銅品生産量の速報値は5万4,350トン、前年同月比17.6%減少し、16か月連続のマイナスとなった。特に青銅板条の4月生産量は、1982年以来、41年ぶりの低水準となった。
銅品の需要は、車載向けの半導体好調続くが、それ以外の半導体や電子部品が在庫消化を継続している。エアコンは、機器の生産が順調になってきたが、エアコンを取り付けるための新規住宅着工件数が伸びず、また大型の商業施設やビルの建設工事が遅れている
【電線】
前年比-4%の4万9800t
うち 国内-3.8% 輸出が -21.5%
前月に続き中国スマートフォンやデジタル家電の低調の為 来月も期待薄
【スクラップ景況予想】
流通【一次問屋】今月銅建値が121万から一時126万そして119万と下落傾向だった
前月にプラス在庫はスマホ需要やエアコン需要低迷からの生産減 発生減から在庫薄
需要面に関しては今月も自動車生産販売の回復から一定の需要は出るが スマホ。エアコン需要の回復が遅れているため需給は緩む
【LME・為替予想】
今月は以下の項目に左右される
1、米債務上限問題解決後の金融政策
2、中国景気回復の動向
1、に関しては
6月利上げ停止→様子見→必要であれば7月利上げの可能性もなくはないが米経済指標や失業率を見る限り利上げ停止の材料は見当たらない。
2、に関して
中国の4月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことをから考えると一方的な回復はないとの見解
これらを踏まえた5月の銅価格は 8000-9000ドル(セツル)との予想。
ドル円値は135円~140円(TTM)台を予測。
銅建値に関しては112万-130万円程度と予測している。
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