中国利下げ、強まる景気不安 銅やアルミ価格下落、金にも需要減の恐れ
6月20日までの国際金属相場は総じて弱含んでいる。6月19日のLME銅の現物終値は前日比0.2%安の1kg=8.542ドルとなり、翌20日も同水準で推移している。6月20日には中国人民銀行が実質的な政策金利である最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を0.1%引き下げた。欧米などの利上げ継続姿勢と逆行した動きで、中国景気の悪化が世界の金属需要に影響するとの警戒も強まっている。
中国のLPRは1年物が3.55%、5年物が4.20%となった。引き下げはともに2022年8月以来10ヶ月ぶり。
中国の政策金利の推移
(出所 ; 中国人民銀行)
このうち5年物金利は不動産ローン金利の基準になり、同国の不動産市況がなお回復していないことがうかがえる。中国はアルミニウムなど一部金属の世界最大の消費国で、これら金属は当然、建材にも使われていることから、世界的な金属の需要懸念につながっている。
過去3か月間のLME銅価格の推移($/ton)
過去3か月間のLMEアルミ価格の推移($/ton)
利下げを待つまでもなく、6月半ばまでに発表の中国の5月の経済指標は全体に悪化傾向を示すものだった。
中国の2023年の経済指標
(注)中国当局データより作成。単位は%。固定資産投資と不動産投資は1-5月の累計。GDPは1-3月期。
こうした中国景気の低迷を受け、国際金相場も弱含み始めている。
過去3か月間のNY金価格の推移($/toz)
中国は金に関してもインドと並ぶ世界トップクラスの消費国だ。金は戦争などの危機時に安全資産として買われるため2022年以降は過去最高値圏で推移してきたが、中国景気の成長鈍化で需要が鈍るとの不安が、購入意欲を鈍らせ始めた可能性が出てきた。
(IR Universe Kure)
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