REIA年次総会②レアアースとエネルギー転換の関係検証、EVも議題に

ベルギー拠点のレアアース業界団体であるグローバルレアアース産業協会(The Global Rare Earth Industry Association :以下REIA)は、6月21-23日にスペイン・バルセロナで2023年の年次総会を開催した。3日間の開催期間中に7回のパネルディスカッションと12回の講演があった。主なものを抜粋して紹介する。
■鉱物学の視点からパネルディスカッション
6月22日に開かれた第1パネルディスカッションの議題は「鉱物資源はエネルギー転換需要を満たしうるか――鉱物資源発展に向けた挑戦と推進過程」。オーストリア・ウィーン大学リサーチフェローであるエリカ・フェイゲン氏が司会を務め、ピーク・レアアース社のアンドレア・コーンウェル市場調査部長らが参加した。
リンクトインの6月23日報道によると、議論では鉱物学の観点からレアアース資源や産業の資本効率を高めるための政府の役割が話し合われた。また、国際協力における民間部門の役割が指摘されたほか、関連国の政府が自国の利益ではなく相互に利益を得るためのパートナーシップを重視する必要性について議論した。
パネルディスカッションの様子
(出所: リンクトイン)
■EV関連の持続可能性を検証
一方、同日行われた第4講演は、注目の電気自動車(EV)の議題だった。「論証:EVにおける持続可能性の査定とレアアース鉱物の追跡調査」のタイトルで、REIAと英ミンバイロ社、オランダ・サーキュライズ社、デンマークのグルンドフォス社などが共同で説明した。
リンクトインによると、このうちサーキュライズは、電子台帳(ブロックチェーン)の仕組みを利用した追跡と循環システムを開発した。この仕組みを通じて、重要鉱物やレアアースを含むサプライチェーンの透明性と持続可能性を高めることを目指していると話したと伝わった。
また、REIAとミンバイロは、レアアースのサプライチェーン向け環境負荷算定ルール(Product Category Rule、PCR)について、欧州の環境保護製品規格である環境製品宣言(EPD)認証に申請した。EPDは9月にPCRを公開する予定で、査定過程はREIAのホームページ上で公表する予定という。
関連記事:REIA年次総会①ポンペオ元米国務長官「鉱物資源への持続可能なアクセスを」 | MIRU (iru-miru.com)
REIA年次総会の登壇スケジュールはこちら: » 2023 REIA Annual Conference and General Assembly REIA - Rare Earth Industry Association (global-reia.org)
英語サイトはこちら
(IR Universe Kure)
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