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グッドイナフ先生100歳天寿全う、吉野彰先生とのLiBは世界を照らす

 日本の吉野彰先生(旭化成名誉フェロー)と一緒に2019年にノーベル化学賞を受賞したジョン・グッドイナフJohn Goodenough先生が6月25日、日曜日に白寿を全うした。グッドイナフ先生は1922年ドイツで米国人の両親の下で誕生した。育った場所はコネティカット州ニューヘーブンNew Havenでエール大学の近郊で、父はエール大学で宗教学を教えていた。12歳でラテン語やギリシャ語を学び、エール大学のスカラーシップを得て数学を学んだ。

 

 

 その後第二次世界大戦に突入する。先生は数学のテューターの勧めで前線へ行くよりも気象学者の途を選択し、米空軍に3年間勤務した。空軍から戻った際にエール大学の数学のテューターの勧めで大学卒業後のシカゴ大学のスカラーシップで物理学の分野を選択した。

 

 当時先端的な物理学が盛んで当時マンハッタン計画を支援していた。マンハッタン計画は原爆の研究であった。先端的な物理学はエンリコ・フェルミEnrico Fermi先生が指導的な立場にあった。筆者はグッドイナフ先生の25年後輩であるが、大学4年生の時にフェルミ理論を独学した事を思い出した。

 

 グッドイナフ先生は、金属の中に入れた非金属元素の電子の挙動を研究する固体物理学を卒論として提出した。この研究中に歴史学の卒業生のイレーヌ・ワイズマンIrene Wisemanさんと出会い結婚し、2016年彼女が亡くなるまで一緒に生活した。物理学の博士号を取得後、米国防省が基金を提供するマサテューセッツ工科大学のリンカーン研究所に24年間勤務した。

 

 先生は1950年代と1960年代は、コンピューターで短時間のメモリーの機能を果たす、金属と酸素の化合物のランダム・アクセス・メモリーRAMの研究に従事した。

 

 リンカーン研究所の基金が1976年枯渇した時に、先生は一時イランの国王が700万ドルの基金を提供した太陽光発電の仕事を一時携わったが、オックスフォード大学の無機化学のヘッドの仕事を探した。しかし彼は大学で化学を学んだ後に化学の研究には携わっていなかった。1973年石油危機があった後に先生はバッテリーに関心を持ち、新たなエネルギーの形態に大きな関心を下事となった。

 

 1970代初期にエクソンの研究者スタンレー・ウイッチンガムStanley Whittinghamがリチウムを使ったバッテリーを開発した。ウイッチンガムバッテリーは、陰極にリチウム金属を陽極にチタン硫化物を使い、理想的なエネルギー蓄積を目指したが、しかし発火した。

 

 グッドイナフ先生は、RAM研究の間に安全性を考慮した化合物を二人の卒業生と研究し、コバルト酸化物が理想的な陽極となるとの成果を挙げた。しかしオックスフォード大学はグッドイナフ先生の特許を認めなかった。その為この発明を英国原子力エージェンシーへ商業化が実現すると考え、特許を放棄した。

 

 後に日本の化学者の吉野彰先生は、陰極に黒鉛を使う事でより安全で長寿命となることを発見した。グッドイナフ先生と吉野彰先生の共同の成果は1991年その後ソニーのLiB商業化に繋がった。2019年、グッドイナフ先生はウイッチンガム先生と吉野先生とノーベル化学賞を受賞した。

 

 1986年オックスフォードを去った後、グッドイナフ先生はオースチンのテキサス大学でバッテリー研究を継続し新たな陽極材料のリン酸鉄リチウムを開発し、A123Systems LLC社により商業化された。

 

 これまでLiB開発の歴史的な経緯は、必ずしも筆者には不明であったが、現在の地球を救っている大発明の陰には沢山の研究者の探求する姿勢があった。グッドイナフ先生は長命であった為、ノーベル化学賞で過去の研究成果も世界に認められる事となり、白寿を全うした。吉野先生にもまだまだ後輩研究者に刺激を与えて頂きたいと願う。

 

 

(IRUNIVERSE/MIRUcom Katagiri)

 

 

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