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技研製作所(6289) 23/8Q3決算メモ ネガティブ継続からややネガティブに変更

23/8期6.5%減収30.6%営利減、税引79.3%減予想、インプラント革命の成長期待遠のく

株価1957円(7/11) 時価総額551億円  発行済株28195千株

PER(23/8期DO予:80.3X)PBR(1.37X)配当(23/8予)40円  配当利回り:1.4%

要約

・23/8Q3は4.4%減収ながら92.3%営利減と収益悪化が加速、海外合弁解消で純損失に転落

・23/8期は5/19の減額予想に変更無く6.5%減収30.6%営利減、税引79.3%減予想

・新中計の長期ビジョン達成難しく見直し必至でインプラント工法革命での成長期待遠のく

 

23/8Q3は4.4%減収ながら92.3%営利減と収益悪化が加速、海外合弁解消で純損失に転落

 

 世界に先駆けて「圧入原理」を実用化した無振動・無騒音の杭圧入工事(インプラント工法)を開発。世界の建設工事をインプラント工法で変革する事を目指す異色の建設機械、圧入工事会社。23/8Q3決算が7/7に発表された。23/8Q3は売上高62.63億円(4.4%減)、営利0.30億円(92.3%減)、経常利益0.59億円(86.9%減)、税引損失11.51億円(14.58億円悪化)と収益悪化が加速した。

 

 部門別では建機事業が売上高45.63億円(23.7%増)、営利7.35億円(9.1%増)に。国内が汎用機販売の入替需要で好調に推移、値上げ効果もあり売上高は40.09億円(23.3%増)に。輸出も円安効果などもあり5.53億円(26.5%増)。しかし収益性は原材料高等もあり利益率が低下し、利益は伸び悩んだ。

 

 一方、圧入工事は売上高17.0億円(40.6%減)、営利0億円(3.22億円減)と低迷。鋼材等の材料高騰で公共事業費の中で材料費比率が高くなり施工量が減少、国内が12.70億円(14.9%減)。海外は子会社合弁解消影響や地域再構築などで4.31億円(68.5%減)と大幅減少となった。利益面では減収効果などで収支トントンに。

 

 全体として建機販売は入れ替え需要などで増収増益を確保も、圧入工事は施工量の減少、海外再構築などで大幅な減速、また特別損失としてオーストラリア合弁解消に伴う関係会社整理損13.67億円を特損計上し、税引損失11.51億円の計上となった。

 

23/8期は5/19の減額予想に変更無く6.5%減収30.6%営利減、税引79.3%減予想

 

 23/8期会社予想は5/19の減額修正予想に変更なく、売上高284億円(6.5%減)営利32億円(30.6%減)、経常利益32.5億円(32.7%減)、税引利益6.70億円(79.3%減)予想。逆算して23/8Q4は売上高72.04億円(同期比25.0%減)、営利18.74億円(28.8%減)、経常利益9.97億円(34.3%減)、税引利益4.47億円(56.8%減)予想と厳しい見通しに。

 

 部門別では建機事業が売上高204億円(期初計画比32億円減額、2.2%減)、営利51.91億円(14.5%減)、圧入工事が売上高80億円(同4億円減額、16.0%減)、営利6.04億円(36.2%減)予想。23/8Q4では建機事業が売上高57.52億円(19.6%減)、営利18.74億円(12.8%減)、圧入工事が売上高14.52億円(40.9%減)営業損失2.27億円(2.29億円悪化し赤字転落)予想となる。建機事業は入れ替え需要が一段落し、海外ではオセアニアに加え北米、南米で予定した案件の受注が獲得できなかった等でQ4では減収となる見通し。利益も値上げ効果の浸透はあるものの、Q4では減益に転ずる見通し。圧入工事では豪州大型事業の一巡、連結解消影響、国内は工事量の減少影響が継続し、Q4では売上減影響が大きく営業損失が避けられない。

 

 現状、令和5年度予算で国土交通省の公共事業関係費は横ばいの5.25兆円に止まった。また昨今の気候変動により水災害の激甚化・頻発化を踏まえ、治水計画を将来の降雨量の増加を想定し河川整備の加速化を図る「流域治水」も期待されるが、令和4年度は2次補正予算と合計し 7,516 億円(1.41)が、令和5年度は5406億円(令和4年度当初予算比1%増)に止まっている。また地震対策としての被害の防止・軽減のための施設の耐震化等予算も1637億円(1%増)に止まるなど、総じて防災関連予算は令和5年度当初予算では横ばい状況にある。しかし最近の頻発する線状降水帯による洪水災害から、今後、補正予算がプラスされる見通しがある。しかも土砂災害発生件数が平均的には1.2倍に増加、結果として対策費の大幅増額は見込まれる。

 

 全体として国内は足元で公共事業予算の伸び悩み、鋼材価格の高止まりや建設関連の人手不足、建設費の高騰など、同社を取り巻く環境は必ずしも良好と言えない。また海外事業について北南米、アジアも再構築が必要の状況で、23/8期は会社減額修正予想が精一杯の状況と思われるものの、24/8期には補正予算も含め、新たな予算増も期待され、ほぼ悪材料が出尽くす環境となろう。

 

 

新中計の長期ビジョン達成難しく見直し必至でインプラント工法革命での成長期待遠のく

 

 同社は新中期経営計画で24/8期に売上高350億円(21/8比26.7%増)、営利55億円(同37.6%増)、内訳は国内250億円(21/8比12.8%増)、海外100億円(83.1%増)、事業別では建設機械250億円(30.7%増)、圧入工事100億円展望に掲げている。また31/8期に売上高1000億円を目指し、世界に「インプラント工法」を普及させ、インプラント工法革命を興すとしている。しかし現状、海外においては欧州で計画が進行しつつも、本格普及には時間が必要。また他地域では構想自体が頓挫しつつ有り、中計、長計の抜本的な見直しが行われるとみられる。足元の景気減退懸念の中でのコスト高もあり24/8期も苦戦が見込まれ、増収増益に転ずるものの、高収益体制復帰には時間がかかると思われるが、悪材料は中計見直しとなれば出尽くしとなろう。

 

 株価は安値更新中も23/8期会社減額修正予想EPS24.36円に対し、PER80.3倍と割高感がある。しかも特損分を考慮しない場合でもEPS80円想定に対しPER24倍と、建機メーカとして認識してコマツPER11.6倍、日立建機PER10倍、竹内製作所PER12倍と比較しても割高感が残る。従来から一貫してネガティブな判断を行って株価も半値以下となったものの、ビジネスモデルが崩れた感があり、悪材料を織込んでネガティブからややネガティブに変更、今後も下値模索の展開が続くとみられる。


 

 

(H.Mirai)

 

 

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