泰和電気工業 脱炭素時代にマッチしたカスタムメードの電気設備機器が絶好調

昭和31年創業の保護継電器・各種配電盤製造企業である泰和電気工業株式会社(本社:東京都港区浜松町)。主力の配電盤事業に加えて2017年に新設されたリサイクル事業部は、常務取締役の高橋秀晴氏が立ち上げた。高橋氏は前社長の高橋敦夫会長の次男である。
(関連記事)泰和電気工業 配電盤製造とリサイクルのシナジーで新たな企業モデルをつくる
サーキュラーエコノミーを実践する泰和電気工業② リサイクル工場編その2
泰和電気工業の前年度売上高は35億円でうちリサイクル事業部は12億円である。
現在の電力不足やサーキュラーエコノミーなど時代の潮流から太陽光パネルの導入が活発化しており保護継電器事業及び配電盤事業は好調だ。太陽光発電に欠かせないシステムコンポーネントおよびそれに付随する電気機器需要は急増。工場や一般家庭でも自家消費型太陽光発電の設置が広がるなか、泰和電気工業への逆潮流・漏電防止装置の発注は引きもきらない。システムコンポーネントの大手企業からの発注が急増している状況だ。受注は増え続けているが半導体不足で一時期出荷は遅れがちだったという(現在は生産キャパを増強し改善)。また、泰和電気工業では太陽光メーカーとの提携もおこなっているという。
また、EVの普及による急速充電や蓄電池の需要が高まっており、泰和電気工業を巡る経営環境は順風、といって良い。さらに昨今の半導体不足の影響により、大手メーカーが対応出来ない案件が同社へきているという。
この本業と連携しているのが同社のリサイクル事業部である。
前職での経験を活かし、主にレアメタル系のスクラップを月間150トン前後取り扱っている。2018年に群馬県にリサイクルヤードとして工場を立ち上げ、現在は5人体制で受け入れから検収・出荷(輸出・輸入含む)までをおこなっている。現在は、現場のキャパシティが一杯の為、問い合わせ、紹介以外の新規営業は殆どしていない。
※群馬工場外観
また仕入れについても、スクラップ業者から購入するものもあれば、本業である泰和電気の製造部門のお客様からのスクラップあるいは処理に困る各種スクラップも引き受けているという。主に使用済キュービクル、コンデンサ、トランス、被覆線、低濃度PCB処理依頼など、産廃処理が煩雑なアイテムを引き受けているため、持ち込みも多い。EVなどの電池も回収をしているという。
※回収されたスクラップ
泰和電気工業のスクラップ事業は、製造部門が好調であれば金属相場による適正価格で購入している分には販売するタイミングを見ることが出来る事が強み。また月間の固定費も少ない為、結果的にリサイクルでの利益率はかなり高くなっている。
リサイクル事業部は今期の前半でリサイクル事業部の必要な年間コストを達成しており、業績は好調。入荷量も十分にあることから、群馬工場の拡大も検討している。拡大後の面積は、1,800坪(工場面積725坪)程度になる見通しだ。
工場が拡大すれば新たに人員を採用し、育成も必要になる。現在は高橋常務が教育をおこなっているが、技術力・知見を全員が同じ水準で持ち続けることが課題だという。
泰和電気工業は本業である製造事業とリサイクル事業を連携させることでサーキュラーエコノミーを実現している。今後も新たな取り組みを続ける同社に注目していきたい。
(iruniverse rk)
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