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サムコ(6387)23/7期WEB決算説明会メモ ニュートラルからややポジティブへ

24/78.5%増収7.0%営利増予想、25/7期も中計予想クリアし連続最高益更新期待

 

株価(9/22):4620円、  時価総額342億円、   発行済株数8042千株

PER(24/7期DO予)26.0X PBR(3.0X)配当24/7予45円 配当利回り1.0%

 

・23/7期22.3%増収35.6%営利増で連続最高益、受注2.1%減と高原状況も受注残7.8%増

・24/7期中国向け調整見込むも化合物半導体向け需要旺盛で8.5%増収7.0%営利増予想

・中計経営計画はパワー半導体増で25/7期売上高110億円、営利26億円目標は変更せず

 

23/7期22.3%増収35.6%営利増で連続最高益、受注2.1%減と高原状況も受注残7.8%増

 

 化合物半導体、高周波電子部品向けCVD、エッチング製造装置に強みを持つ半導体製造装置メーカー。

 

  23/7期業績は売上高78.30億円(計画比1.83億円増額、23.3%増)、営業利益18.58億円(同2.38億円増額、35.6%増)、経常利益14.81億円(同3.47億円増額、30.1%増)、税引利益13.66億円(同2.86億円増額、29.7%増)。売上が2期連続、利益は3期連続営利最高益、4期連続経常最高益更新となった。受注高は半導体設備投資の減速の中で82.21億円(2.2%減)と高原状況を維持、受注残高は54.19億円(7.8%増)と積み増しとなった。

 

 品目別売上ではCVD装置が12.99億円(18.9%増)、受注12.94億円(12.3%減)、受注残11.48億円(0.5%増)に。売上についてはオプト関連のレーザダイオード(LD)、高周波デバイス向け絶縁膜、保護膜精製用などが好調。エッチング装置は売上高39.57億円(34.8%増)、受注47.42億円(19.7%増)、受注残34.62億円(29.3%増)と伸長した。高周波電子デバイス、各種センサ、LD、シリコン分野の欠陥解析向けに伸長した。洗浄装置は売上高8.33億円(65.1%増)、受注7.56億円(8.8%減)、受注残3.25億円(19.2%減)と、製品売上拡大に対応、受注に手が回らない状況があったと見られる。

 

 用途別では生産用が32.16億円(56.7%増)、研究開発用が28.73億円(15.8%増)、部品メンテナンスは17.40億円(6.9%減)で、生産用ではLD、高周波フィルタ、各種センサ向けが伸長、研究開発用ではオープンラボやLD、光センサ、量子デバイス、パワーデバイス、バイオセンサ向け等が増加した。さらに用途別を分野で細分すると、オプトエレクトロニクス向けが売上高17.45億円(37.9%増)と、通信用LD、LED向けが売上を牽引、電子部品・MEMS分野も売上高24.11億円(23.5%増)と高周波フィルタ、高周波デバイス、パワーデバイス、量子デバイス向けが堅調な伸びを示した。

 

 地域別では国内が51.45億円(24.3%増)と研究用や電子デバイス製造のエッチング工程の量産機の初号などの納入などで増加、海外は中国が20.5%増、韓国47.5%増、台湾45.0%増など高い伸びに。

 

 利益面では部材コスト高が継続、生産実績では83.73億円(23.4%増)と操業度効果等でカバー、総利益率は0.4ポイント悪化の49.4%と高水準を維持、増収効果で販管費比率が2.7ポイント改善し、営業利益率が2.3ポイント向上し23.7%となり、大幅営業増益に。

 

24/7期中国向け調整見込むも化合物半導体向け需要旺盛で8.5%増収7.0%営利増予想

 

 24/7期会社予想は売上高85億円(8.5%増)、売上総利益41.25億円(6.6%増)、営利19.90億円(7.1%増)、経常利益20.10億円(4.3%増)、税引利益13.70億円(0.3%増)予想と、中国向け調整見込むも化合物半導体向け需要旺盛で引続き過去最高更新予想となっている。なお利益面では増収幅が小さいことから、利益の伸びは小さいとみている。

 

 セグメント別予想の開示はないが、分野別ではオプトデバイス分野でVCSEL(面発光レーザ)用途向け、光学部品向けが堅調、電子部品分野はパワーデバイス用途が拡大見通し。現状、豊富な受注残も有り、下期には再度受注が拡大する局面に入るとみられ、受注残の消化が進み、円安効果もあり、会社想定を若干上回る収益が期待される。

 

中計経営計画はパワー半導体増で25/7期売上高110億円、営利26億円目標は変更せず

 

 同社は昨年、中期経営目標として25/7期に売上高110億円、営利26億円を目標数字として掲げた。今回中計での24/7期予想(売上高92億円、営利20.5億円)を多少引き下げたが、中計最終年度目標の25/7期目標は変更しなかった。

 

 現状、経済産業省が23年6月に「半導体デジタル戦略」の改定を行った中で、経済安全保障推進法に基づき、2022年12月に特定重要物資として半導体を指定し、従来型半導体及び、半導体のサプライチェーンを構成する製造装置・部素材・原料の製造能力の強化等を図ることで、各種半導体の国内生産能力を維持・強化するとした。そしてパワー半導体については、市場が大きく拡大予想のSiCパワー半導体を中心に、国際競争力を将来にわたり維持するために必要と考えられる相当規模の投資(3000億円以上)に対して、集中的に支援を実施していくとした。世界的にも代表的なパワー半導体のSiC市場ではプロジェクトが急増している。具体的にはSiCの世界シェアが高いロームが24年末に宮崎県でSiCパワー半導体の新工場を稼働、SiC全体に5100億円を投じ、28年3月期にSiC製パワー半導体売上高を23年3月期比9倍の2700億円に増やす。また東芝への出資で更なる拡大もあり得る。パワー半導体国内最大手の三菱電機も約1000億円を投じ26年に熊本県菊池市に新工場を設け、SiCの生産能力を27年3月期までの4年間で5倍にする。そのほか、富士電機、ルネサスなども大型投資を計画している。同社はSiC半導体製造プロセスの大半で対応製品を持っており、今後の国内での設備投資本格化で同部門の生産用製造装置、検査装置の大幅拡大が見込める。加えてGAN、Ga2O3、ダイヤモンドなどパワー半導体新材料基板研究開発用も盛んに行われており、GaNなども量産化の動きが出ているほか、産学官で様々な研究開発が実行されており、研究開発用機器の拡大も続こう。

 

 

 そのほかでは光通信分野で大容量通信のためのLD、NTTの「IOWN」構想に伴い、波長可変光源、光導波路、量子ドット、フォトニック結晶(屈折率が周期的に変化する構造を半導体微細加工で作製し、光を小さな領域に閉じ込め、光と物質の相互作用を高め、光を操作する構造体)などの研究開発などが促進される。IOTの普及においてはGaAsを中心とする各種高周波デバイスやセンサの需要が高まろう。また次世代FPDとしてのマイクロLED向けなどは中国向け等に量産装置の成約もあるなど、化合物半導体の事業領域が大きく拡大する局面にある。25/7期には生産用装置の拡大も加わり、売上の伸び率が拡大、会社新中計通り順調な収益拡大が見込めよう。

 


 同社株価は23/7Q3決算で他の半導体製造装置メーカーが収益減額見通しとなる中で最高益更新見通しとなっていることが評価され、6/13には6930円の高値を付けた。ただその後は材料出尽くし感もあり株価が継続して下落、9/11発表の23/7決算発表で23/7期は増額着地も、24/7期が中計計画比で減額としたことで、最高益更新予想ながら伸び悩みとの判断で株価がさらに下落し、6/13高値6930円から4割弱下落した水準にある。現状、24/7期会社予想EPS170.56円に対しPER25.0倍は東証プライム機械平均PER16.7倍に対し割高となっている。但し同社は化合物半導体関連銘柄の代表的な企業であり、25/7期には会社中計を多少上回る収益が見込まれ、その後も化合物半導体の設備投資拡大継続で収益の中期的な拡大も続くとみられ、悪材料を織込んだと判断、ニュートラルからややポジティブに変更したい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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