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技研製作所(6289) 23/8期WEB決算説明メモ 中計減額でネガティブ継続

23/8期3.6%減収35.3%営利減と低迷、24/8期中計も売上高300億円、営利33億円に

株価1963円(10/19) 時価総額556億円  発行済株28194千株

PER(24/8期DO予:24.4X)PBR(1.36X)配当(24/8予)40円  配当利回り:2.0%

 

要約

・23/8期3.6%減収35.3%営利減、税引利益は豪州合弁解消で73.8%減と低迷

・24/8期2.5%増収10.6%営利増予想も中計を大幅減額、海外戦略大きく後退

・世界的にインプラント工法普及で防災インフラ革命進める意向も現実は厳しく低成長続く

 

 

23/8期3.6%減収35.3%営利減、税引利益は豪州合弁解消で73.8%減と低迷

 

 23/8期決算が10/11に開示され、WEB説明動画同日開示された。23/8期は売上高292.78億円(5/19再減額修正予想比8.72億円増額、3.6%減)、営利29.83億円(同2.17億円未達、35.3%減)、経常利益30.60億円(同1.90億円未達、36.7%減)と利益で若干下振れて着地した。また税引利益は8.46億円(同1.76億円上乗せ、73.8%減)と、5/19に豪州合弁解消に伴う特別損失13.67億円計上が影響し大幅減益となった。

 

 部門別では建機事業が売上高207.52億円(同3.52億円上振れ、0.5%減)、営利46.68億円(同5.23億円未達、23.1%減)に。内訳は仮設構造物の構築増で汎用機販売が66.62億円(55.0%増)と好調に推移、一方大型特殊機は本設工事用杭材が900mm幅ハット形鋼矢板への移行一巡で32.66億円(52.5%減)と大幅に減少した。なお国内186.9億円(0.9%減)、海外20.53億円(3.3%増)と、海外はアジア地区が好調だった。利益面では売上横ばいで原材料、好採算の大型機の売上減などが影響、利益率が低下し大幅減益に。

 

 圧入工事は売上高85.19億円(同5.19億円増額、10.6%減)、営利8.75億円(同2.71億円増額、7.7%減)に。国内が売上高64.80億円(16.8%増)復興事業や災害復旧等への工法採用が増加し堅調に推移、一方海外は大型案件の終了で20.38億円(48.8%減)と大幅減少となった。利益面では採算の低い海外比率が減少、減収ながら営利率は0.3ポイント改善し、利益減少幅が小さかった。

 

 なお全体として、海外での事業拡大が軌道に乗らず、豪州などの見直しもあり、期初会社計画に対し大幅な減額を余儀なくされた。

 

24/8期2.5%増収10.6%営利増予想と従来中計計画比売上で50億円、営利22億円減額

 

 24/8期会社予想は売上高300億円(中計計画比50億円減額、2.5%増)、営利33億円(同22億円減額、10.6%増)予想と、中計計画を減額した。基本的に豪州での合弁解消や海外での新規案件の見通し難などが影響している。

 

 部門別では建機事業が売上高225億円(8.4%増)、営利50.21億円(7.6%増)予想。国内における一般機の入れ替え需要やフライホイール式パイルオーガを標準搭載した新型機「F112」等の販売増、海外は欧州、アジア地域で増加を見込む。利益面では人件費増、海外戦略の再構築費用増などを増収効果で補い営利率横ばいを見込むが、国内より海外の伸びを高く見ており、会社計画の未達が懸念される。

 


 圧入工事は売上高75億円(12.0%減)、営利7.07億円(19.2%減)予想。豪州合弁解消で海外を3.42億円(83.2%減)と見込み、この減少を国内向け71.57億円(10.4%増)でカバーする計画。利益面では採算の低い海外の比率が減少し、営利率の低下は0.7ポイントの低下で収まるとみている。但し、こちらも国内の圧入工事が2ケタ増までは届かないとみられ、同事業も多少下振れが懸念される。

 

 

世界的にインプラント工法普及で防災インフラ革命進める意向も現実は厳しく低成長続く

 

 同社はインプラント工法で世界の建設を変える「工法革命」の認知を望むが、海外では日本以上に新工法採用に対し保守的と言われており、世界的にインフレ加速で工事原価が上昇する環境でもあり、課題は多い。同社は海外での市場形成が軌道に乗りつつある地域として欧州、アジア地域を挙げているものの、インプラント工法導入の成果が出るには、インプラント工法の教育から始める必要があり、かなりの時間を要しよう。また国内においては従来の市場に加え様々な方面で圧入市場の拡大が可能としているが、建設市場全体が大きく伸びるとは考えにくい。

 

 

 今回、24/8期収益を大幅減額修正したものの、2031年に売上高1000億円目標については変更しておらず、変更しない理由が明確ではない。現状、具体性に欠ける計画で社内目標的な要素が多く、同社収益は現在の延長線の収益拡大に止まるとみられる。

 

 

 株価は想定通り理想と現実の収益の乖離の中で2年間一貫して下落を続け、2018年7月安値の2021円も割り込んだ後、2000円前後で推移している。24/8期会社予想EPS89.69円に対しPER21.9倍はプライム機械セクター平均16.3倍に対して割高感があり、建機のコマツ11.9倍、日立建機10.7倍、最高益更新となっている竹内製作所8.9倍などと比較してさらに割高感がある。成長神話が揺らいだ中で単なる建機メーカーに止まるとの評価が定着すれば、更なる下落もあり得るため、ネガティブ継続とする。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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