豪黒鉛シラー・リソーシズ、中国輸出規制で声明 中国外製品の重要性拡大、価格落ち着き
オーストラリアのグラファイト(黒鉛)メーカーであるシラー・リソーシズ(Syrah resources)は10月26日、オーストラリア株式市場(ASX)で、中国当局が10月20日に発表した黒鉛輸出規制に関する声明を発表した。同社はこの規制により、中国以外からの黒鉛供給の重要性が高まると予測。同社にとって恩恵になるとの期待を示唆した。
■中国外製品の需要増で恩恵か
シラーはアフリカ・モザンビークなどで黒鉛を生産し、米電気自動車(EV)のテスラなどに供給している。米政府系基金から開発支援も受けており、黒鉛価格が上昇すれば恩恵を受けることになる。
同社は発表で、中国の輸出規制について「規制対象となった黒鉛材料の輸出供給の不確実性、管理上の障壁、および遅延をもたらす」と指摘。「特にリチウムイオン電池のサプライチェーン(供給網)に関し、中国以外からの供給の重要性を高める」とした。
また、短期的には「顧客が高価格の代替品を求めるため、貿易フローと製品セグメントが混乱する」と予想。中長期的には、「裁量的な輸出許可プロセスの導入により、中国政府が中国以外の顧客に対し、中国産黒鉛の供給を管理する結果になる」との見通しを示した。
一方、10月26日のロイター通信の報道によれば、シラーは足元の関係各社の動きについて、「バイヤーは顧客やアナリストからのフィードバックに基づき、短期的な供給混乱のリスクを減らすために黒鉛を備蓄しようとしている」とコメントしたという。同社は、中国の輸出規制に伴う不確実性は2024年まで続くとも予想したと伝わった。
■足元の黒鉛価格は落ち着き
10月26日までの黒鉛価格は落ち着いている。金属サイトのAsian Metalsのデータによると、土状黒鉛が発表前の10月20日に比べて4.3%値上がりしたほかは、球状黒鉛の中国国内価格は横ばい。鱗片状黒鉛の国際価格は小幅に値下がりしている。
日本の市場関係者の間では「今回の措置は、一部黒鉛製品で輸出を許可制にした一方、別の製品ではこれまでの規制を撤廃しており、やみくもな規制強化とは言えない」との冷静な声も聞かれた。
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(IR Universe Kure)
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