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エンプラス(6961) 24/3H1WEB決算会メモ 減額予想で急落、ニュートラル継続

                                                                                                                                                                                                  24/3期光通信レンズ伸長も半導体不振で6.5%減収38.8%営利減予想に大幅減額

株価8020円(10/30) 時価総額780億円 発行済株9732千株

PER(24/3DO予:16.9X)PBR(1.41X) 配当60.00円  配当利回り:0.7%

 

要約

・24/3H1は9.0%減収、39.9%営業減益と光通信向けレンズ好調も半導体部門の低迷が響く

・24/3期半導体の回復遅れ6.5%減収、33.8%営利減予想に減額修正

・25/3期はデータセンタ向けの拡大が半導体、光通信デバイスの需要を押し上げ収益回復へ

 

24/3H1は9.0%減収、39.9%営業減益と光通信向けレンズ好調も半導体部門の低迷が響く

 

 24/3H1決算が10/27に開示され、同日WEB説明会説明会が実施された。24/3H1は売上高192.0億円(期初計画比3億円未達、9.0%減)、営業利益26.16億円(同0.84億円未達、39.9%減)、経常利益30.95億円(同3.95億円増額、31.3%減)、税引利益17.98億円(同1.02億円未達、2.1%増)に。光通信向けレンズ好調も半導体不振が影響し、営業利益が未達、経常利益は円安影響で増額、税引利益は特損計上で減額となった。

 

 部門別では半導体事業が売上高86.88億円(期初計画比31.12億円減額、7/28修正予想比3.12億円減額、同25.4%減)、営利12.50億円(60.0%減)と、車載用途は好調も、サーバー、モバイル用途が月を追う毎に低迷、減収効果から大幅収益悪化に。

 

 ライフサイエンスは売上高12.60億円(同1.40億円減額、同1.40億円減額、27.7%減)、営業損失6.81億円(同期比5.16億円悪化)。遺伝子検査用製品がユーザーの在庫調整で売上が低迷、先行投資負担で販管費が増加し赤字拡大に。

 

 エナジーセービング事業は売上高62.79億円(同5.21億円減額、同1.79億円増額、7.1%増)、営利4.05億円(37.9%減)と自動車生産の回復で売上増も、試作関連金型製品特需が減少、材料高、MIX悪化などで大幅減益に。

 

 一方、デジタルコミュニケーション事業は売上高29.72億円(同0.28億円未達、同0.28億円未達、7.1%増)、営利16.43億円(同期比2.2倍)と収益伸長に。部門別でLED用拡散レンズは8.10億円(3.6%減)とLCDTVの低迷継続で減少が継続、これをAI用途用の等のハイエンド光通信用トランシーバ光学レンズ中心に光通信関連製品の売上21.50億円(同期比2.3倍)で補い、大幅に収益を伸ばした。

 

 全体として経常利益では14.1億円の減益となったが、売上減影響が12.3億円、販管費増6.2億円(人件費増3.1億円、旅費交通費0.9億円増、研究開発費増0.5億円など)の減益要因を原価率改善1.2億円、営業外の増加3.2億円(持分損失減3.46億円など)で埋められない形に。なお期中レートが141.31円と計画比11.31円円安となっており、半期では3.48億円為替差益(前上期は4.46億円)を受けている。なお為替感応度は1円円安で売上高約2億円/年、営業利益約1.5億円/年となっており、実質的にはより厳しい実態だったと見られる。

 

24/3期半導体の回復遅れ6.5%減収、33.8%営利減予想に減額修正

 

 24/3期会社予想は半導体の回復が遅れる見通しから売上高395億円(期初計画比30億円減額、7.6%減)、営業利益54億円(同16億円減額、38.8%減)、経常利益60億円(同10億円減額、31.7%減)、税引利益42億円(同8億円減額、9.1%減)と、増収予想から一転減収予想、営利も大幅減予想とした。

 

 部門別に半導体事業が売上高208億円(期初計画比51億円減額、7/28修正予想比33億円減額、25.3%減)、車載用途は堅調も、サーバー、モバイル用途が下期も回復せず回復は来期にずれると判断した。エナジーセービング事業は売上高130億円(同2億円増額、同1億円増額、8.1%増)と自動車生産の回復で売上増、円安もあり多少増額。ライフサイエンスは売上高28億円(同5億円減額、9.4%減)と、引き続き在庫調整が長引き減額、今後、デバイス供給に軸足を置く形で損益分岐点を引き下げる方針を明言した。

 

 一方、デジタルコミュニケーション事業は売上高62億円(同24億円増額、同2億円増額、64%増)と大幅増額に。部門別でLED用拡散レンズは低迷続くが、増額分はほぼ光通信用デバイスで47億円(2.1倍)程度を見込む。AI用途は高付加価値でシェアも高く、特定ユーザー向けが大きく伸びているが、増産体制も引き続き実行中で売上拡大に対応できるとしている。

 

 現状、半導体向けなどは会社想定通り回復が遅れるとみられ、ライフサイエンスの赤字が減らない状況も、為替が円安に推移(通期で1$=140円想定、1円で年間1.5億円の営業利益増額要因)しており、全体として会社減額修正並みの収益が見込まれる。

 

25/3期はデータセンタ向けの拡大が半導体、光通信デバイスの需要を押し上げ収益回復へ

 

 25/3期は半導体機器がロジック向けの回復、車載向けの順調な拡大に加え、生成AI向けなどのGPU向けなどでも新規需要が期待され、半導体事業が同社収益の回復を牽引しよう。加えてデジタルコミュニケーション事業は引き続き光通信用光学デバイスの伸長が続く見通しで、LCD用拡散レンズの伸び悩みの中で同事業の収益性がMIX良化で収益寄与が高まろう。

 

 エナジーセービング事業はEV向けにエンプラギアの拡大で収益性の改善が多少進むとみられる。ライフサイエンスはソリューション事業を見直し、デバイス供給に軸足を移し、営業黒字を目指すも、具体案が明示されておらず黒字転換は26/3期以降にずれ込もう。

 

 全体として25/3期は半導体事業の回復、デジタルコミュニケーションの拡大から、収益の回復が期待され、26/3期には会社側が標榜するエッセンシャル領域の事業に注力した成果が表れ、15/3期の営業利益107.8億円が射程に入ってこよう。

 

 株価は減額修正を受けて10/30はストップ安の1500円安の8020円となり、現在多少反発している。同社は生成AI向けに光通信デバイスの伸長が見込めるとの発言で7/28決算発表後、生成AIの話題だけで5080円から株価が暴騰、9/11には11990円(PER21.1倍)まで駆け上り、その後値を下げ、今回の減額修正で安値模索の展開となっている。現状、会社減額修正予想EPS475.91円に対しPER16.9倍はプライム電機平均PER19.8倍に対し多少割高感がある。但し業績的には悪材料を織込んだとみられ、25/3期に収益回復、26/3期には14/3期の営業利益123.4億円を目指す動きを期待でき、当面ニュートラル継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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