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日本アビオニクス(6946) 24/3Q2決算メモ ポジティブ継続

24/3期情報システムの収益拡大で増額修正含み、25/3期防衛費増で中計目標の上振れ期待

株価(11/9)6520円   時価総額218億円   発行済株3353千株

PER(24/3DO予9.5X)PBR(1.7X) 配当(24/3予)30円  配当利回り:0.5%

 

要約

・24/3Q2は10.1%増収16.3%営利増、受注70.3%増と情報システムの寄与で収益拡大

・24/3期12.6%増収、5.0%営利増予想に変更無く、情報システムの利益率向上で増額期待

・中計目標の25/3期売上高220億円、営利26億円は上振れ達成期待

 

24/3Q2は10.1%増収16.3%営利増、受注70.3%増と情報システムの寄与で収益拡大

 

 24/3Q2は売上高50.64億円(10.1%増)、営利6.35億円(16.3%増)、経常利益6.28億円(16.5%増)、税引利益6.16億円(4.4%増)、受注73.04億円(70.3%増)、受注残高133.38億円(19.3%増)と受注拡大が寄与、収益の改善も進んだ。

 

 セグメント別では情報システムが売上高40.64億円(42.8%増)、営利6.93億円(77.2%増)、受注69.46億円(2.2倍)、受注残127.38億円(32.9%増)。防衛予算の増加を受け、受注が拡大、売上は主力の艦船搭載情報表示装置の大型受注残などの消化が進み大幅増収に。増収効果に加え人員再配置、QDC改善などプロセス改善が進み収益性改善の寄与も大きく、営業利益率が17.1%と3.4ポイント改善した。なお受注残高は23/3期末比でも29.2%増と積み上がった。

 

 一方、電子機器は売上高10.00億円(43.0%減)、営業損失0.58億円(2.1億円悪化し赤字転落)、受注7.29億円(34.3%減)、受注残5.99億円(62.5%減)と厳しい。受注面では接合機器がスマホ・PCの不振、5G基地局投資の狭間などで低迷、赤外線機器もコロナ需要が一巡している。売上面は輸出が4.19億円(63.9%減)、国内5.82億円(1.9%減)と特に輸出が大幅減。主力の接合機器が売上高6.18億円(54.4%減)と落ち込み、特に中国1.85億円(71.9%減)、スマホの不振、5G基地局向けの反動減が大きかった模様。また台湾が主力と見られるアジアも1.97億円(54.1%減)と水晶振動子向けなどがスマホ・PC等の低迷で大幅減に。なお国内中心トップシェアを持つ赤外線機器は3.82億円(4.0%減)とコロナ特需減から多少落ち着きを見せた。利益面では減収影響が赤字転落を余儀なくされたが、Q1比較では1.56億円赤字縮小となっており、利益面ではボトムを脱したとみられる。

 

 全体として、Q2業績もほぼ会社想定通りに推移した模様で、日本産業パートナーズ傘下のNAJHDによる経営により、赤字体質だった電子機器事業が収益部門に変貌したことが大きい。

 

24/3期12.6%増収、5.0%営利増予想に変更無く、情報システムの利益率向上で増額期待

 

 24/3期会社予想に変更はなく、売上高200億円(12.6%増)、営利20.5億円(5.0%増)、経常利益20億円(3.9%増)、税引利益19億円(4.4%増)予想を据え置いた。Q2累計での24/3期会社予想に対する進捗率は売上高で43.3%、営利で44.4%となっている。

 

 部門別では情報システム140億円(13%増)、Q2累計進捗率は50.1%、電子機器60億円(11%増)予想、Q2累計進捗率27.6%となっている。情報システムはNEC、富士通などを通じ、防衛庁向けに納入されるため、Q4に売上が偏重となる。このため、受注が大幅増でも有り、下期売上が拡大、会社計画を大きく上回るとみられる。しかも各種の効率化が進み収益力も高まっており、利益も上振れが期待される。

 

 接合機器はスマホ、PCなどの低迷が長引く見通し。但しEVバッテリー向け合金タブ溶接、モーター用コイル線接合(フュージング)、ハーネス向け銅・アルミ異種金属溶接など自動車向けは増加が見込める。なお低迷の続く水晶デバイス向けは、5G対応などが一服、載搭載増加が見込まれるも24/3期中は低迷が続こう。サーモグラフィーは非発熱向けで、ネットワーク監視サーモカメラの拡大、加えて医用サーモカメラ発売等でボトム脱出が見込まれる。全体としてQ1ボトムに新製品寄与もあり下期は受注の緩やかな回復、利益も黒字化が見込める。

 

 全体として情報システムの収益上振れ、電子機器の収益ボトム確認で収益の上振れが期待される。

 

中計目標の25/3期売上高220億円、営利26億円は上振れ達成期待

 

 同社は中期経営目標として25/3期に売上高220億円、営利26億円を掲げた。中計策定当時は情報システム126億円(横ばい)、電子機器94億円(接合装置67億円、赤外センシング27億円と推定)と、電子機器の伸びを成長の中心としていた。しかし状況が大きく変化、特に防衛費の大幅な拡大政策を受け、情報システムを150億円に変更した。現状、24/3期において、大幅な受注増もあり既に売上高150億円超えが視野に入る状況となっている。情報システムは1年前倒し達成が期待される。電子機器は減額すると70億円と22/3期の80億円を下回る計画となる。しかし電子機器は、特に接合装置において、4つの接合機方式を持つ他社にない総合接合機メーカーという強味がある。特に同社が高いシェアを有するシーム溶接機は、水晶振動子の真空封止として利用されるが、今後、ミリ波対応の5Gスマホでは「高速大容量」、「高信頼性、低遅延」、「多数同時接続」が必要要件で、スマホ搭載個数で4G対比2倍、基地局も10倍規模のスモールセル基地局が必要と言われ、需要が大きく伸びよう。また水晶振動子は自動運転などのタイミングデバイスとして重要で、1台当たりの使用数量が10倍程度に膨らむ見通しもある。25/3期後半には水晶デバイスの需要回復が見込まれ、再度水晶振動子の設備投資も高まるとみられ、光デバイスなど用途拡大も加わり高単価のシーム溶接機の需要増が期待される。またインバータ式抵抗溶接機は2次電池のタブ溶接、EVモーターの端子溶接等での利用が期待される。さらに超音波金属溶接機は放熱部材のベイバーチャンバ封止、アルミ・銅の異種金属接合など低い接合温度を必要とする需要の広がりが期待される。加えてFRP等と金属の異種素材の接合に対し、機械的接合の代替として小型情報機器や小型精密部品での熱可塑性CFRPと金属接合が可能で、量産部品製造での採用もありえる。レーザー溶接は高い非接触接合で、金属ケースの高気密に優れ、2次電池ケース等の接合に利用が見込まれる。いずれにしても、最適な接合方式を提案できる強味を持ち、25/3期は需要急回復が見込まれる。

 

 赤外サーモは医用サーモカメラでは国内唯一の医療機器として、糖尿病や振動障害などの検査への活用が期待出来る。センシング分野ではドローン搭載型サーモカメラを開発中で、橋梁や建物の老朽化などの遠隔点検も視野に建築基準法第12条に基づく定期調査報告制度にも適応するIoT機器として拡大期待がある。このため電子機器は25/3期売上高70億円予想はクリアできよう。

 

 全体として情報システムの更なる増額、電子機器は修正計画並みと見られ、中計の上振れ達成が期待される。

 

  株価は24/3期会社予想EPS594円に対しPER11.0倍と、東証スタンダード電機平均PER12.3倍に対し多少割安感があるが、適正税率では14.9倍程度で割安感はなくなる。但し、今期営業利益は上場来連続最高額更新見通しのほか、増額修正が期待され、防衛予算の積み増しなどで25/3期は中計の上振れ達成、適正税率でみてもPERの割安感がでてくるなどでポジティブ継続とする。

  

 

 

(H.Mirai)

 

 

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