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株式会社HIKKY :地方創生の鍵はバーチャルにあり

2023年9月6日、東京都渋谷区にある株式会社HIKKYにて同社の今後の事業展開を伺った。
先日開催されたバーチャルマーケット2023リアルinアキバの開催も相まって加熱するリアルとバーチャルの融合の先をひた走る同社の今後を記載していく。

 

 

VRにおける接客事業とより身近にする工夫
 

 Webブラウザ上で動作するメタバース空間開発エンジンのVket Cloudについて、今年ソフトウェアパッケージ化を行い一般の方でも利用できるようにリリースした。
現在はフリープランとビジネスプランという企業向けの2本柱で運営している。今後も用途に応じてプランは増えていく予定であるという。
プランに応じて段階的に使える機能等が増えていく仕組みであり、接客などのサービスの充実度をどんどんと上げていく形となっている。

 今回このVket Cloudに注力しているのは、VRに対する一般層への浸透度がどれだけあるかという点に尽きるとのことだ。
高価なVRゴーグルを被るバーチャル・リアリティ体験は圧倒的な没入感があるが、そこに至る為にはやることが非常に多く、人によっては面倒に感じてしまう事もある。
もちろんデバイスの進化によってよりアクセスしやすくなるように期待をしているものの、もっと一般層がアクセスしやすく広めやすいツールとしてVket Cloudを提供していきたいとの事であった。

 




 

 

 これを下地にした今回のバーチャルマーケット2023リアルinアキバへと話は移る。
このイベントについては去年から企画は進んでおり、2023年の夏の時点でVR対応SNSサービスであるVRChatで開催されるバーチャルマーケットは開催10回目を迎え、初回開催から5周年で節目の年であるという意識があったという。
VRの中に経済圏を作るという目的でスタートさせた取り組みは、多くの企業やクリエイターの方の協賛やメタバースブームが後押しとなって「バーチャルで生きていく」という経済圏の確立が出来る様になった。
身体的、精神的、様々な理由で働きにくい人に対して働ける経済圏を構築していく次の段階として、VR(メタバース空間)とリアル(現実空間)を繋げる事で、そのどちらもより豊かにしたいという発想が出てきたと語る。
現にメタバースブームという火はあったにしても、まだそのコンテンツに対して未体験であるという人の数は多い。

 そういった中で「このイベントに来れば、VR系コンテンツをやったことがない人でも気軽に体験できる」というVRに興味がある方もあまりよく知らないという方も、あらゆる方々が参加できるイベントにしたいという事で企画が固まっていった。
VR側からのリアルに対するアプローチとして絶対成し遂げたい要素として「アバターの姿のまま現実に飛び出せる」ことを掲げ、これを叶えるために各団体やクリエイターからのサポートもいただいた。
「バーチャルの事を知らない人が手ぶらで参加でき、バーチャル側の人もリアルの人と手軽に交流ができる事」が主軸として決まり、結果的に会場全体で提示するコンテンツはそういった方向性が強いものへと固まっていった。


 実際同社で開催するイベントとしてはこのような大規模なリアルイベントは初めての試みであり、チームを立ち上げて少人数で手探りしながら構築していったという。

 

 もちろん秋葉原という地域性もあるものの、当初は来場者数は1万人程来てくれたら御の字という見込みであった。
蓋を開けてみれば2日間の来場者数は述べ4万人という当初見込みの4倍へと膨れ上がり、会場を貸したベルサール秋葉原側も驚きの好感触であった。
会場が通りに面した開けた構造であり、遠くから目立つデザインと配置にしたのも集客効果を高めていたとの事だ。お年寄りや子供を始め、海外からの観光客等も来場し、それぞれに各展示を楽しんでいった。
リアルの物販販売も行い、これも当初の予想をいい意味で裏切る盛況ぶりで完売御礼になったアイテムも多かったという。

 




写真の三人のうち右側が筆者である。中央はお好み焼きレストラン「どんどん亭」の担当者
 

 


 今回このイベントに出展・協賛した企業はこの様子を見て「マーケティング面での納得感」を持つ事が出来たと言っても良い程である。
個人でこういったイベントを小規模で開催する事はあっても、企業が目的を設定した上で大規模にメタバースのイベントを行い成功に終わることが出来たのは稀な事例である。
VRChatの様なVRコンテンツはその多くがコミュニティレベルで発展していっているが、例えば今回リアルイベントで展開したアバターと一緒にスイカ割りをするコンテンツであれば、リアル側とVR側で混ざって盛り上がる事が出来る。
こういったリアルとVRを融合させるコンテンツを出せた事で、今後は個人規模で楽しめるコンテンツ、リアルとVR間が交流し皆が楽しめるコンテンツ、オンライン上で協力して大規模コミュニティを形成するという三方向に伸びる進化を促していきたいという。

 

バーチャルな推し活のススメ


 株式会社HIKKYが新たに提供するメタバースサービスである「MyVket(マイブイケット)」は、Webブラウザ上で簡単にアバターが作れ、自分だけのバーチャルの部屋を構築し、他のユーザーと交流できるサービスである。
今回のイベントでは多くの参加者にコンテンツを提示すると共に、企業に関してはマネタイズの仕方をアピール出来たという。
その一環としてリアルのイベントやコンテンツと連動する企画を押し出していきたいとの事だ。
根底にあるのは「推し活」であると語る。


 例えば興味のあるアイドルのライブイベントが盛り上がった後の、その余韻を楽しむ為のコンテンツは必要とされている。
しかし現実にあるライブをVR環境に置き換えるとどうしても種々の制限等から劣化した項目になりがちであるので、そういった方向ではなくファン向けに盛り上げられて“推しを推し続けられる”様にというビジョンで新しいコンテンツを開発できないかと検討していった。

 

 

 そのような中で今回行われた「カナヘイの小動物」とのコラボルーム展開や、アーティスト「MIYAVI」によるメタバースファンミーティング開催など、実際に企業がどんどんとサービスを利用、コラボレーションしていく事で盛り上がっていく場を創生していくというのがMy Vketのあり方となっていくのだろうと担当者は語る。





 

 

機器需要と地方創生の今後


 話はVR関連機器、あるいはネットワークトラフィックといったハードウェアや地域交流事業へと進んでいった。
今後VRコンテンツを支える上で、100%ハイテク機器の需要は増えると担当者は語る。
実際に今回リアルイベントを開催した事で、多くの企業が似たような形で後追いをするとなれば関連機材の需要はどうあっても伸びていく事になる。
もちろんハイスペック機器を活用するクリエイターは元からそういった製品の需要家でもあるため、そこに企業として後押しをしていく仕組みが必要になっていくとも語っていた。

 

 

 また、株式会社HIKKYには自治体からの問い合わせが増加している。
Vket Cloudを活用した新しい活用事業を必要としているのは、都市圏よりは地方が多い状況だという。
実際にどういった形態で活性化させるかはコストの問題などもあるため、そこは株式会社HIKKYがソリューションを上手く提供出来る様にしていきたいとの事であった。


 次回のVketリアルの開催は原宿から渋谷まで、広い範囲を覆うコンテンツとして出していくという話であり、このイベントが成功裏に終わればそのノウハウを活かして地方でもイベントを行っていきたいという。


 現在地方に横たわる大きな問題として、少子化問題と高齢化問題、あるいは若年層を始めとした労働力人口の不足といった点が挙げられる。
一方でバーチャルな空間であれば、ユーザーの年齢も場所も関係なくその才能や技術を活かす事が出来る。
そこで鍵となってくるのは、地方に点在するメタバースとは一見関係のなさそうな企業である。
そういった多くの企業がVR側のコンテンツに存在するパワーを使って、地域を活性化していく可能性を見出す事が出来るのだ。
勿論これは今までであったら画餅と一笑されたものであるが、今回のイベントを見れば一つの手段として取り得る価値がある成功例と見なせるだろう。

 






 

 


 株式会社HIKKYがどういう事をやろうとしているかというと、一貫して「挑戦、チャレンジ」に終止している。
その旗印であるバーチャルマーケットは毎回展示会場やテーマが変わる上に、各会場を一から制作するとなるとコストも掛かる。
そういった要素があるからこそ、ユーザーは毎回出展したいと思ってくれるので、それこそビジネス的なやり方とは真逆の方針であるものの、付いてきてくれるユーザーが主役になるようにしているとの事だ。
今回実際にリアルイベントや物販という形でバーチャルとリアルを巻き込んでイベントを行った実績を元に、より生活に近いものを巻き込んでいくと社会への影響が大きくなるという。
将来的に利用を検討している自治体や企業に対して、コンサルティングによるサポートを行って文化そのものを下支えしていきたいとの事であった。


(IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

 

 

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