「2023年度 表彰式・記念講演・懇親会」@日本チタン協会
一般社団法人 日本チタン協会による「2023年度表彰式・記念講演・懇親会」が、11月22日(水)に学士会館で開催された。令和5年春の褒章で紫綬褒章を受章された東京大学 生産技術研究所 所長 岡部 徹氏が「チタン研究の夢とロマン:苦労と喜び:将来展望」として特別講演された。
特別講演では、紫綬褒章伝達式の様子、最近の取り組み、チタン製品が身の回りに溢れている時代を夢見て、「チタン研究の夢とロマン:苦労と喜び:将来展望」として、チタン製の椅子のデザインなど親しみやすい内容から、研究テーマなどを分かりやすく講演された。
写真上、特別講演される岡部 徹教授(東京大学 生産技術研究所 所長 、同所 持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター 教授)
岡部教授の今月は、5回講演があり、5回講義、2回のトークセッションがあり、講演の内容はタングステンであったりモリブデンであったり、対象が地元の高校生200人向けであったりと、内容も対象も多岐にわたる中、特別講演をお引き受けいただいた。
岡部教授にとって、最近のうれしい話題として、iPhone 15 Pro/ iPhone 15 Pro Maxの筐体にチタン合金(グレード5)が使われたことを、紹介された。
これまでは、学生へのチタン製品をもっているかの問いに対して、父親が眼鏡、時計、ゴルフヘッド等を持っているとの回答はあったものの、本人たちは誰も持っていなかった。
私たちは、レアメタルに囲まれて生活しているが、その存在を知る最良の手段は、実際に体感することである。
日常的に使用するものに使われ、“軽さ”、“頑丈”を実感することで、加速度的に“チタン”が周知され、いろいろなものに使われることになる。
さらに、使用されたことに喜ぶばかりでは不十分であり、環境を害さない方法で製造することが必要であり、発生するスクラップをリサイクルして利用する技術(例えばチタンから酸素を除く)により、チタンのアップグレードリサイクルの必要性を強調した。
リサイクル後の再生チタンスクラップ(2次原料)の純度の方が、スポンジチタン(1次原料)より高くなるような新技術(革新的アップグレード)を開発し、アップグレードリサイクルという新概念をチタン製錬に導入し、世界中からチタンスクラップが日本に集まる時代が来ることを目指される。
写真上 岡部教授(株)ホリエ殿(本社・新潟燕市)が紫綬褒章受章を記念して贈呈されたチタン製の記念品とともに。
一般社団法人 日本チタン協会における協会表彰式は、1984年(昭和59年)に始まり、今回が40回目となる。2023年度は、3名が技術賞を受賞した。
技術賞を受賞した、㈱大阪チタニウムテクノロジーズ、㈱神戸製鋼所、日本製鉄㈱の3名が技術内容を講演した。
なお、技術賞を受賞された3名の講演内容は、来年4月発行の協会誌「チタン」に掲載予定である。
1.日 時 2022年11月22日(水)16:00-17:50
2.会 場 学士会館 202号室 東京都千代田区神田錦町3-28
3.表彰式・記念講演会(16:00-17:50)
司会:専務理事:村上 仁(日本チタン協会事務局長)
表彰状及び記念品の贈呈(16:00-16:20)
加藤 丈晴 副会長[(株)神戸製鋼所 執行役員]より贈呈された。
技術賞のほか、
協会事業功労賞
永年にわたり海淡・環境部会の主査として部会活動を積極的に行い、チタンの用途拡大に尽力され協会の発展に貢献されたとして
阿部 賢氏[日鉄ケミカル&マテリアル(株)]が受賞
永年技術功労賞
博多 義則氏 (株)大阪チタニウムテクノロジーズ
小野島 正氏 東邦チタニウム(株)
田中 克之氏(株)神戸製鋼所
高山 勇氏 日本製鉄(株)
成川 嘉洋氏 大同特殊鋼(株)
賛助会員功労賞(法人)
医療向けチタン材の販売、各種インプラントや手術器具などの受託っ加工及び製品開発を積極的に行い、チタン製医療機器の需要開拓並びに用途拡大に貢献されたとして、
(株)ティー・アンド・アイ(代表取締役 石丸 義之氏)が受賞。
技術賞受賞記念講演(16:30-17:50)
・荒池 忠男氏 (株)大阪チタニウムテクノロジーズ
・長田 卓氏 (株)神戸製鋼所
・水上 英夫 氏 日本製鉄(株)
参加者
正会員代表者:(株)大阪チタニウムテクノロジーズ、東邦チタニウム(株)、(株)神戸製鋼所、日本製鉄(株)、大同特殊鋼(株)、住商メタレックス(株)、アルコニックス(株)、神鋼商事(株)、日鉄物産(株)、阪和興業(株)、伊藤忠メタルズ(株)
賛助会員代表者:アズマックス(株)、アドバンストマテリアルジャパン(株)、(株)アロイ、(株)オーファ、北産業(株)、JALUX、チハラ産業(株)、トーホーテック(株)、東京ステンレス研磨工業(株)、(株)東京チタニウム、日鉄工材(株)、(株)ホリエ、森村商事(株)
研究機構、コンサルタント、報道(日本金属通信社、金属産業新聞社、ステンレスニュース社、鉄鋼新聞社、産業新聞社及びアイアールユニバース)及び事務局(三木氏及び木村氏)など、112名が参加した。
本記事では第一報として、当日の様子をご紹介する。
表彰状および記念品贈呈
日本チタン協会の村上専務理事の司会により、表彰状は山尾会長の代理として加藤 丈晴 副会長から贈呈され、感謝の言葉が述べられた。表彰受賞者は13名(奥様3名を含む)及び1社。
授賞式の様子。受賞される水上氏。後方、荒池氏(右)、長田氏(左)
後方からの受賞式のようす。
受賞者へ、チタン産業への発展に貢献及び尽力された努力への感謝の言葉を述べられる加藤副会長
副会長の言葉に聞き入る技術賞受賞者
技術賞受賞者 前席 右から、荒池 忠男氏 長田 卓氏 水上 英夫 氏
技術賞受賞記念講演
荒池 忠男氏 (株)大阪チタニウムテクノロジーズ
「講演タイトル:スポンジチタン生産技術改善」
荒池氏は、チタン製錬プロセス各工程の開発に従事し、同社の技術力並びに品質向上に寄与。高純度チタン製造技術の開発にも取り組み、安定生産に貢献された。
長田 卓氏 (株)神戸製鋼所
「講演タイトル:航空機向けチタン大型部品の鍛造技術」
チタン鍛造に関わる解析技術の高度化を図り、金型装置と工程設計により温度と歪の制御を行うことでコスト競争力の高いチタン大型鍛造品の量産に貢献された。
水上 英夫氏 日本製鉄(株)
「講演タイトル:チタン合金の溶解・凝固に関する研究」
チタン合金の低密度介在物の溶解並びに凝固挙動に優れた鋳塊製造を可能にし、また電子ビーム炉を用いた鋳塊の製造にも貢献された。
懇親会
副会長の寺井 健氏[日本製鉄(株)]の乾杯発生により、懇親会が開催された。
技術報告内容については、別報で紹介いたします。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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