錫価格が8か月ぶり安値 ミャンマー生産懸念和らぎ供給増、中国需要は弱め
錫価格が下落している。国際価格はロンドン金属取引所で現物価格が11月28日に2万2975ドル/tonと3月中旬以来およそ8か月ぶりの安値を付けた。錫は2023年、ミャンマーのWA州政府が8月に操業を停止し、供給不足への警戒で一時高騰した。ただ、同地での生産が秋以降に再開したと伝わり、徐々に供給が増えてきたとみられる。
■ミャンマー生産、9月初旬に順次再開か
過去1年間のLME錫価格の推移(US$/ton)
上海先物取引所(SHFE)での錫価格も11月28日に19万5040元/tonと5月下旬以来の安値に下落している。
過去1年間のSHFE錫価格の推移(RMB/ton)
WA州政府は2023年8月に同地域での錫生産を停止した。ただ、その後は関連企業とWA州経済委員会との交渉があり、9月初旬日から順次生産が再開していると伝わっていた。資源メディアのmining.comは11月28日、「主なミャンマー産錫の輸出先である中国のデータによると、中国の錫輸入は10月に2万5000トン程度と9月の3.5倍に増加し、前年同月に比べても2倍強増えた」と伝えた。ミャンマー産錫は世界の錫生産全体の約10%を占める
世界の錫生産シェア
(JOGMECデータベース)
■中国の工業企業は減益続く
供給が回復する一方で、錫の需要は弱めだ。中国を中心に世界の景気減速が長引いている。中国国家統計局が11月27日に発表した同国の2023年1-10月の鉱業企業利益は前年同期比7.8%減と減少率は1-9月の9.0%から縮小したものの、前年割れが続く。10月単月では前年同月比2.7増で、3ヶ月連続の増加となったが、増加ピッチは9月の11.9%から鈍化した。
中国の工業企業利益の推移
(出所:中国国家統計局)
関連記事: ミャンマーWA州の錫鉱山はいつ操業を再開しますか? | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
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