高圧ケーブル不足はじきに解消します 電線工業会金原専務理事に聞く

昨今、巷で話題の電線不足。電線不足のなかでもビル建設用の高圧ケーブルが不足、さらに電線メーカーも新規の受注は停止、ということでNHKニュースでも取り上げられ、ネット界でもにぎわっている。
(NHKサイトより)
この電線不足の発端は、高圧ケーブル大手の矢崎エナジーシステムが今年8月に、注残が積み上がり、対応できなくなったことで他社に振り向けたところ他社も生産能力を上回る注文となりやはり新規の受注が困難になってきたところで、電気工事会社は先に注文をしておいたほうが、という不安心理にかられて高圧ケーブルメーカーにいつもよりも多めの発注をかけたところでケーブルメーカーが「新規の受注は一時見合わせ」という
フジテックエネルギー社は
「2023年の受注停止の原因は熊本の半導体工場TSMCの新設、大阪の万博、福岡市の天神ビッグバンの大型開発と言われています。高電圧ケーブルが品薄になっており、低圧ケーブルまで波及し各社対応が必要になっています。また日本の大手4社、SFCC、矢崎エナジーシステム、住電日立ケーブル、フジクラ・ダイヤケーブルも新規受注停止・納期遅延を表明しております。
高圧CVケーブルの納期遅延は2021年11月ごろにはじまり、6.6kV CV/CVTなどは特に顕著でした。2022年には落ち着きましたが2023年11月から再び発生し断続的に続いており各社対応に追われております」と高圧ケーブルの納期遅延についてHPで説明している。
日本電線工業会の金原専務理事によると
「ビルなどの建設用の需要が伸びて6kVのケーブルが不足していることは事実ですね。しかし巷でいわれているような生産が止まっているということではなく、あくまで新規の受注は止めている、ということで、大手4社はフル稼働で順調に生産、出荷は続けており、予定している納期には遅れていないはずです。建設向けは例年、下期に受注が増える傾向にあり、電気工事会社様もそれを見越して、ややパニック的な発注になったのではないでしょうか?
我々、電線工業会としても受注再開できるように対応策を検討しているところでございます。ひっ迫はじきに解消できますので、皆様落ち着きを取り戻していただきたいです」と巷の騒ぎに当の電線工業会も困惑している様子。
かつての石油ショック時のトイレットペーパー買い付け騒ぎではないが、ものは止まっていないけれど、無くなるのではないか!という不安心理が拍車をかけて過度な発注につながっての現在のプチパニックに至ったというのが今回の実状であろう。
(日本電線工業会統計 高圧ケーブルは建設電販向けが該当する)
(IRUNIVERSE YT)
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