豪コア・リチウム、国内採掘を一部中止 価格下落で採算合わず、備蓄鉱石処理は再開
オーストラリアのリチウム開発企業であるコア・リチウム(Core Lithium)は1月5日、上場するオーストラリア証券取引所(ASX)で発表した最新の事業報告で、同国内で手掛けるリチウム採掘事業の一部を中止すると発表した。リチウム価格が世界的に下落して製品価格が下落し、生産コストに見合わなくなったため。
生産を中止するのは、同社が豪ノーザン・テリトリー(NT準州)ダーウィン近郊にあるフィニス鉱山の一部で展開していた露天掘り事業。採掘は減少させるが、備蓄鉱石の処理を再開して事業を続ける。同社は2023年末時点で28万トンのリチウム鉱石を保有している。
中止の決断の背景には深刻な製品価格の下落がある。コア・リチウムは発表資料の中で、炭酸リチウムなどの原料となる同社のスポジュメン精鉱(リシア輝石)価格は過去1年間で85%、10月からの2か月間で50%値下がりしたと指摘した。Miruのプライスデータでも、スポジュメン精鉱の1月5日価格は安値で$1080/tonと、1年前の$6000の6分の1に下落し、2021年秋以来の安値水準にある。
過去1年間のスポジュメン精鉱価格の推移(豪州産)CIFベース($/ton)
電気自動車向けバッテリーへの需要期待が剥がれ落ちる中、リチウムをはじめ期待先行で供給が拡大されてきた鉱物価格は深刻な需給バランスの崩れに見舞われている。リチウム価格の指標となる炭酸リチウム価格は2023年に8割下落し、2024年についても 「なお一段の下げ余地を残している」と見る市場関係者が多い。オーストラリア産業科学資源省の四半期リポートは、スポジュメン価格について2024年は名目ベースで1トン当たり2,567ドル(2023年予測比39%減)と推定している。
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(IR Universe Kure)
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