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タカノ(7885)24/3上期WEB説明会、セミコン取材  ポジティブからややポジティブ

24/3期12.4%増収25.1%営利増予想に変更無く、25/3期半導体検査装置で収益上伸期待

株価983円(1/5) 時価総額155億円    発行済株15,721千株      

PER(24/3DO予:15.7X)PBR(0.48X) 配当予20.00円   配当利回り:2.0%

 

要約

・24/3期上期1.3%増収12.6%営利減と部材調達難、低採算検査機売上増など響き計画未達

・下期期ずれ分補い24/3期12.4%増収25.1%営利増予想に変更無く半導体検査装置が牽引

・現業技術と医療機関との連携で体外診断用医薬品市場へ新規参入、2023年11月販売開始

・25/3期検査計測で半導体検査やバッテリー検査装置などの拡大で収益拡大期待

 

24/3期上期1.3%増収12.6%営利減と部材調達難、低採算検査機売上増など響き計画未達


 事務用椅子のコクヨ向けOEM主体のオフィス家具と、液晶・半導体製造用画像検査装置を主体とする検査計測機器事業を2本柱に事業展開。24/3期上期業績は売上高115.68億円(期初計画比6.32億円未達、13.2%増)、営業利益0.69億円(同2.31億円未達、65.5%減)、経常利益1.66億円(同2.34億円未達、40.4%減)、税引利益2.55億円(同0.45億円未達、41.3%増)、受注高106.47億円(10.6%減)、受注残84.24億円(20.3%減)となった。

 

 部門別では検査計測機器が売上高37.40億円(前年同期比23.6%増)も、営利0.15億円(同92.5%減)、受注25.23億円(38.4%減)、受注残69.54億円(25.1%減)に。単体の売上では半導体11.58億円(同期比5.3%減)、フィルム6.09億円(同2.5%増)、FPD17.66億円(68.7%増)となった。また地域別では国内が11.24億円(0.7%減)に対し中国向けが12.43億円(40.5%増)とFPD,半導体向けが拡大、台湾も9.32億円(43.8%増)と半導体関連、欧米も1.88億円(新規)と半導体検査装置が拡大している。なお受注残高が25%減となっているが、23/3H1では先行発注分の残高が含まれており、現状は通常状態にあるとのこと。今回、売上、営利でタカノ、その他野別で収益開示が有り、タカノ単体で売上高35.63億円(24.0%増)、営業損失0.22億円(1.73億円悪化し赤字転落)となった。利益面では低採算のFPD事業の拡大、半導体では開発等の固定費の伸びがあり赤字転落に。ただし検査計測機器全体では内部調整で0.43億円プラストなり調整後営利ではなんとか黒字を維持した。

 

 住生活環境関連は売上高49.56億円(同5.7%増)、営業損失3.06億円(同0.66億円悪化し赤字拡大)に。オフィス家具全体は需要回復が見られたものの、WEB会議室などは需要一巡感もあり伸び悩み、利益面では円安影響で輸入材料高騰等が影響し赤字に。

 

 産業機器は売上高16.13億円(同19.0%増)、営利3.03億円(同40.8%増)に。半導体製造装置向け電磁アクチュエータがHORIBA向けに拡大、能力増強投資の成果が実り増収効果で収益性も向上した。

 

 全体を通じ、売上面では積み残しされていたFPD向け売上の計上、オフィス家具の回復、電磁アクチュエータの拡大と半導体向けの一服、利益面ではMIX悪化、円安による輸入部材調高騰などで利益が圧迫され、会社計画未達に。達難による納期遅延等から会社計画未達成で、受注残高が残る結果に。

 

 

下期期ずれ分補い24/3期12.4%増収25.1%営利増予想に変更無く半導体検査装置が牽引

 

 24/3期会社予想に変更はなく、売上高259億円(12.4%増)、営業利益12.5億円(25.1%増)、経常利益14億円(20.6%増)、税引利益10億円(20.6%増)を据え置いた。

 

 部門別予想の開示はないが、単独の検査計測収部門の売上を74.54億円(期初計画比0.25億円増額、26.9%増)と見込んでいる。同分野の内訳はFPD26.09億円(同0.69億円増額、81%増)、半導体29.82億円(同1.59億円減額、18%増)、フィルム17.89億円(同1.36億円増額、7%減)予想。FPDについては3年前に受注した案件が漸く納入されることで売上が拡大も、利益寄与は赤字に止まるとみられる。半導体向けは中心となるWMシリーズが牽引しよう。

 

 

 具体的にWMシリーズは23/3期に半導体向けの約3/4を占めたとみられるが、24/3期には80%まで構成比がアップする見通し。従来は国内中心で、22/3期は国内が88%、23/3期も65%が国内向けとみられ、国内ではほぼ寡占状況にある。しかしここにきて海外向けが伸長、24/3H1では48%まで拡大している。この要因は海外で圧倒的なシェアを持つKLAテンコール社が300mmなどに注力し、200mm以下の検査装置の新製品投入、開発を行なわずレガシー半導体の需要が急拡大、KLA中古製品が世界中で供給不足、特にパワー半導体向けの需要拡大で検査ニーズが高まっている。同社は2018年にトプコンからウエハ表面検査装置(WMシリーズ)、プロキシミティ露光装置を買収、WMシリーズは累計納入台数が約800台に及んでいる。同社は海外向けでKLA社中古製品を多く扱う米ClassOne社と22年2月に代理店契約を結び、欧米向けにWM-7SR(欧米安全規格仕様)の受注を開始し、24/3H1では欧米22%、アジアも台湾タカノが台湾、中国向けに拡販し26%まで構成比が高まった。生産能力を年間20台から2023年度中に年間60台(月産5台)を目指す。価格は300mm対応のWM10が1億円弱、200mm以下対応のWM-7Sが5000万円弱とのこと。今後、化合物半導体基板向けではSiCなど、半透明基板に対し検査波長を変えて検査可能対応の新製品の開発を図る他、高感度対応機も投入する計画。先端半導体はKLAテンコールが強くこの分野は狙わず、当面、WM-7S中心に買い替え需要や増設設備投資向けに年間100億円~150億円規模のマーケットでシェアアップを図る。またWM以外ではALTAX(高速バンプ高さ検査装置)、ThinSpector(全面膜厚ムラ検査装置)の投入も始めた。ALTAXは2.5D、3Dパッケージ基板対応に向けたもので、マイクロバンプの全数検査が可能。インテルのEMIB対応などで受注成約がある。ThinSpectorはウエハ全面の膜厚計測と膜厚ムラの検出を同時に行える検査装置で、FPD検査装置で培ったノウハウを生かし、1スキャンで全数・全面検査を可能とし、ウエハの薄化に必要不可欠な検査装置として、特にパワー半導体向けの需要拡大が期待される。さらにフィルム関連では2次電池向けのフィルム検査装置の拡大も期待される。現状はフィルム検査の10%程度に過ぎないがLiB投資拡大で売上拡大が加速しよう。また半導体向けでは次世代パッケージ基板検査、パターン検査等の需要も拡大している。なお昨年6月にはシリコンウエハ上にメッキを施すMEMSマイクロデバイスに関する革新的な表面処理技術を長野県工業技術総合センター精密・電子・航空技術部門と共同開発した。半導体ウエハに微細パターンのめっきが可能となる新たな表面処理技術。シリコンは難めっき材料でめっきパターンの微細化に限界があるが、シリコンウエハ表面上に特殊合金層を形成し、選択部分に正確にめっきする技術を開発した。この技術でシリコンの微小な立体構造物の側面にめっきすることで機械的強度を飛躍的に向上させることができる。現在話題となっている3次元デバイスでは更なる高密度化で電気信号が効率的に伝わるためや熱効率を伝導する、機械的ストレスに対する耐性を高めるなど、壁面メッキの重要性が増しており、中期的に同技術の応用も期待できよう。このよう状況で、検査計測事業は上期多少納期の遅れがあるものの、通期では会社計画並みの売上が見込まれる。

 

 

 住生活関連は、首都圏を中心に大規模オフィスの供給量の増加が見込まれる。一方大阪は2023年が低迷、2024年に9万坪(過去10年平均1.9万坪)が見込まれている。なおコロナでリモートによるテレワーク増でフレキシブルオフィス需要が拡大していたが、こちらは需要一巡している。全体として緩やかな回復に止まり、利益面では円安影響が大きく響いているが、価格転嫁もあり下期は季節的な増収効果も加わり収益が改善しよう。

 

 産業機器はマスフロコントローラー向けが半導体製造装置不振の中で健闘している。微細化で流量制御ニーズが高まっており、大手ユーザーの売上予測では拡大見通しとなっており、同社においても見通しが増額に。

 

 全体を通じ、24/3期は税引利益を除き会社計画並み(7/7に不正送金で0.7億円特損発生)の収益が見込まれる。

 

現業技術と医療機関との連携で体外診断用医薬品市場へ新規参入、2023年11月販売開始

 

 同社は新規事業として光学システム、画像システムなどシステム横断的な組み合わせと医療機関との連携によってバイオテクノロジーを融合し体外診断薬測定システムの研究・開発を行ってきた。昨年6/6に体外診断システム事業として「SiLISシリーズ:Simultaneous  Luminescence Immunoassay System」を立ち上げた。具体的には特異的IgE45項目及び非特異的IgEを同時に短時間で測定できる自動分析装置 SiLIS—100、体外診断用医薬品として特異的IgE及び非特異的IgE測定試薬の2製品の認証を受けた。同時多項目検査として利便性が高く、アレルギー疾患を始め、感染症等検査の多用化から、多項目の検査結果を15分程度とほぼリアルタイムに現場で提供することでQOL向上に貢献できる。実際に特異的IgE45項目で消費者庁が表示義務項目として食品系で示した27項目全て、また表示推奨項目として吸入系、その他の18項目の内87%について測定が可能。またその他では最近多発しているアニサキスの測定も可能となっている。測定方法は従来からあるCLEIA(化学発光酸素免疫測定法)であるが、少量の検体(40μL:血液1滴程度)で十分。既に特許として日本、欧州9ヶ国、米国で取得済み。販売も2023年11月1日より始め、まずは関係の医療機関でテスト的に導入、25/3期からの収益寄与が期待され、中長期的には新たな柱となる可能性を秘めている。

 

 

25/3期検査計測で半導体検査やバッテリー検査装置などの拡大で収益拡大期待

 

 25/3期は半導体検査装置の拡大、FPDでの赤字案件の売上計上一巡、2次電池検査装置の拡大などが見込まれ、検査計測装置の収益拡大で事業ポートフォリオの変革が行われ、収益拡大継続が期待される。

 

 検査計測事業以外では、都心の再開発事業の進展継続、関西では万博向けの進展遅れは懸念材料も2024年は拡大が見込まれ、オフィス家具も収益の下げ止まりから緩やかな拡大が期待される。また産業機器では全体の50%程度を占めるとみられる電磁アクチュエータ事業が、先端半導体での精密流量制御などでニーズが高まる見通しで能力を1.5倍に拡大見通しでこちらも成長が見込まれる。また同事業ではゴムチューブを押し挟んで流路を開閉するバルブが液溜まりせず衛生的で、薬液等の制御に適し、医療機器用ソレノイドバルブとして成長が見込める製品もある。

 

 全体を通じ、検査計測事業で低採算のFPD事業が縮小、半導体検査装置、電磁アクチュエータの拡大などで全体収益押し上げが期待され、25/3期も収益拡大が期待される。

 

 株価は半導体検査装置関連として見直し買いが入り、年明けで995円と新値更新し2018年来の高値となっている。このため24/3期会社予想EPS65.7円に対しPER15.0倍は東証スタンダードその他製品平均PER10.5倍、精密15.9倍、機械の13.5倍と比較し多少買われた感がある。今後、従来のFPD関連銘柄というイメージから半導体検査装置メーカーへ変身、しかもパワー半導体、3D半導体向けに拡大が見込まれ、さらにフィルム検査装置でLiB検査が拡大する見通しから収益性も向上するとみられる。PBR0.48倍という状況で下値不安は少ないとみられるが、5年ぶりの高値でもあり、ポジティブからややポジティブに変更したい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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