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長野計器(7715) 24/3期上期WEB決算メモ  ポジティブ継続

24/3期12.0%増収29.1%営利増予想は増額期待、25/3期以降も半導体向けで収益拡大

株価2031円(1/5) 時価総額395億円      発行済株19433千株

PER(24/3DO予8.2X)PBR(1.07X) 配当(24/3DO予)36円  配当利回り:1.8%

 

要約

・24/3H1は15.5%増収、営利2.1倍と計画上振れし上期として過去最高を更新

・24/3期12.0%増収29.1%営利増予想は半導体向け慎重で変更なく、円安も寄与し増額期待

・新中期経営計画として26/3期に売上高753億円、営業利益97億円は増額達成期待

 

 

24/3H1は15.5%増収、営利2.1倍と計画上振れし上期として過去最高を更新

 

 圧力計と圧力センサを2本柱として事業展開、圧力計は世界トップシェア。24/3H1は売上高343.67億円(期初計画比11.67億円増額、15.5%増)、営利37.40億円(同8.40億円増額、2.1倍)、経常利益40.38億円(同13.38億円増額、95.5%増)、税引利益26.28億円(8.28億円増額、2.1倍)と上期として売上、利益とも過去最高を更新した。

 

 セグメント別では圧力計が売上高170.97億円(12.4%増)、営利10.49億円(69.7%増)に。業種別では主力の産業機械・プロセス用が需要回復から90.42億円(14.5%増)、FA空圧向けが90.42億円(14.5%増)など好調、海外も産業機械・プロセス用など増加、円安効果も寄与した。半導体向けも18.15億円(1.1%増)と増収を確保している。利益面では増収効果に加え円安効果もあり大幅増益に。圧力センサ事業は売上高117.78億円(25.2%増)、営利23.87億円(2.5倍)に。業種別では国内では半導体向け、量産車向け等が伸長し、建機向けは多少減少、半導体向け41.13億円(59.5%増)、量産車向け10.52億円(3.0倍)、量産建機19.07億円(10.2%減)など。また米国子会社で圧力計同様に産業機械・設備向けが好調、利益面では増収効果、半導体高付加価値製品拡大によるMIX良化、円安効果も加わり大幅増益となった。計測制御機器は売上高18.72億円(15.6%減)、営利1.32億円(12.5%減)に止まった。ダイガスト事業は売上高26.09億円(27.8%増)、営利1.01億円(5.6倍)と自動車産業の回復で収益が急回復した。

 

 地域別売上では全地域で2ケタ増収となった。米国ではアッシュクロフトが好調に推移、売上高90.43億円(19.9%増)、アジアも台湾で半導体向けが好調に推移し10.52億円(22.8%増)となり、円安効果も加わり伸び率も高まった。

 

24/3期12.0%増収29.1%営利増予想は半導体向け慎重で変更なく、円安も寄与し増額期待

 

 24/3期予想は上期増額着地ながら売上高678億円(12.0%増)、営利61億円(29.1%増)、経常利益58億円(17.1%増)、税引利益40億円(17.3%増)を据え置いた。これは上期のBBレシオが0.99と僅かながら1を下回り、特に半導体向けが多い圧力センサが0.92となっており半導体向けの下期減少を勘案したため。

 

 製品別では期初計画比で増減があり、売上面では主に圧力計が333.29億円(期初計画比22.05億円増額、9.3%増)と増額、圧力センサが221.63億円(同25.22億円減額、15.4%増)、計測制御機器が44.93億円(3.68億円減額、3.4%減)と減額予想に。利益面では計測制御機器のみ減額見通しとした。製品別業種別売上動向では圧力計で産業機械・プロセス業界が176.61億円(18.19億円増額、13.2%増)予想、一方、半導体向けは34.87億円(3.20億円減額、5.7%減)など。利益面では増収効果に加え円安効果も加わり17.29億円(0.9億円増額、15.2%増)予想としている。圧力センサは売上高で産業機械・設備が61.91億円(14.61億円減額、4.9%増)、量産建機向け35.93億円(8.73億円減額、5.3%減)と減額見通しの一方で、半導体向けは76.60億円(5.52億円増額、32.9%増)予想と増額に。このため利益面では半導体向けの増額でMIX良化から利益面では37.92億円(1.25億円増額、45.2%増)予想としている。

 

 現状、半導体製造装置向けではガス用、純水・薬液用など、洗浄工程での利用が多いとみられ、圧力センサは部材不足が解消されつつ有り受注残の消化が進んだことも増加要因に。

 

 下期について受注残消化効果の一巡と半導体向けの停滞を予想しているが、洗浄装置好調のスクリーンなどは好調を持続しており、同社の半導体向けは落ち込まないとみられる。上期増額でその分下期減額予想となっており、下期は売上高334.32億円(同期比8.6%増)ながら営利23.59億円(同20.4%減)予想となる。現状、為替も想定1$=132円、1€=140円想定で有り、半導体の好調維持と円安継続で収益の増額が期待される。

 

新中期経営計画として26/3期に売上高753億円、営業利益97億円は増額達成期待

 

 同社は2023年5月に新中期経営計画を発表、26/3期に売上高753億円、営業利益97億円を経営目標とした。25/3期に売上高650億円を目指すとした。

 

 

 中計基本方針は前中計の4つの成長戦略を踏襲、既存事業の競争力強化、グローバル戦略、経営基盤強化、新たな事業領域の拡大を挙げている。既存事業の競争力強化では圧力センサ素子の生産能力増強(蒸着型圧力センサを80万個/月産から120万個/月産)、半導体産業向けの拡大(純水・薬液計測用圧力センサを1.5倍に拡大完了、特殊ガス用倍増を予定)、小型圧力計の拡充(100万個/月産に増強)、水素・アンモニア等新分野の商品開発など。グローバル戦略ではメキシコ、中国、欧州などで地産地消を推進する。また新たな事業領域では圧力校正器や精密デジタル圧力計などの開発を進める。

 

 

 特に半導体業界向けで、同社製品は主に前工程で利用されるが、昨今のTSMC、キオクシア、マイクロンなど、国内での半導体新工場建設が目白押しの中で、クリーンルーム室圧監視、ガス配管、超純水製造装置向け等、半導体工場建設に伴う各種圧力センサ、圧力計の取り込みが期待される。さらに従来、ガス用のセンサ中心から、純水、薬液用の新製品投入を強化する。さらにグローバル展開においてアシュクラフトブランドによる各種半導体向け製品の投入を実行、米国中心に本格的な拡販を行う。

 

 

 全体を通じ、25/3期は半導体向けの拡大に加え、自動車向けも圧力計測のニーズの高まり、自動車向けセンサの伸長も見込める。このため、増収に加え、半導体向け等の続伸でMIX良化も継続、中計計画25/3期売上高713億円、営利79億円を若干上回る収益が期待されるとともに、26/3期中計予想も上振れ達成が期待される。

 

 株価は23/3期業績の好調、新中計での前中計に対しての上方修正を受けて大幅な上昇を続け9/26には2796円の高値をつけていたが、11/9の上期決算発表で通期の修正がなされなかったことで下落し、11/16には一次2000円大台を割り、その後は2000円をボトムに狭いレンジで推移している。現状、24/3期会社予想EPS205.84円に対しPER9.9倍はプライム精密平均12.6倍に対し割安感があり、さらに増額期待が見込まれ、25/3期以降も最高益更新が続くとみられ、再度高値更新、大台超えも視野に入るとみられポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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