RSテクノロジーズ(3445)23/12Q3決算、増配メモ ポジティブ継続
23/12期1.8%増収0.6%営利増予想はプライムウエハ不振も再生ウエハ増で達成期待
株価3035円(1/9) 時価総額800億円 発行済株26,301千株
PER(23/12DO予想10.8X)PBR(1.45X)配当DO予30円 配当利回り1.0%
要約
・23/12Q3は0.7%減収14.7%営利減とプライムウエハ一服で円安ながら営利減に
・23/12期1.8%増収0.6%営利増予想はプライムウエハ不振も再生ウエハ増で達成期待
・25/12期に売上高576億円、営業利益147億円、経常利益161億円目標

23/12Q3決算は売上高133.44億円(同期比0.7%減)、営業利益31.81億円(同14.7%減)、経常利益42.76億円(同11.7%減)、税引利益22.42億円(同8.6%減)とプライムウエハ一服で微減収減益となった。同期比減益はQ2に続き2四半期連続減となる。
セグメント別ではウエハ再生が売上高53.76億円(8.8%増)、営利23.66億円(11.8%増)。世界的な半導体生産の減額で国内外での需要が伸び悩むも、生産能力が日台で月産50万枚に対し張り付きフル生産が継続している。営業利益率も円安が継続し、同期比1.5ポイント向上し営利率は44.4%と過去最高水準に高まった。 今回から会社毎の収益の開示がなくなったが、300mmウエハ生産推移で見ても高止まりしている。なお23年末には日台で54万枚能力を想定しているが、ほぼ見合いの生産に達していると見られる。
一方、プライムウエハ事業は売上高45.21億円(18.8%減)、営利8.13億円(53.0%減)と、中国でのEV生産や家電等の不振で半導体生産の伸び悩み、在庫調整、市況軟化影響などがあったとみられ、収益大幅低迷に。
半導体その他事業は売上高34.21億円(17.5%増)、営利2.28億円(11.6%減)と、DGテクノロジーズ栗原新工場の本格稼働による能力増強で東京エレクトロン宮城向へのエッチング装置向け部材加工品等の増加も、新市場開拓などの先行費用増などで減益に。
全体を通じ、再生ウエハ事業がフル生産の中で増収効果、プライムウエハ事業が中国での市場軟化影響で収益悪化、その他事業が第3の柱として増収、利益面ではプライムウエハ事業の収益悪化をカバーできず2四半期営業減益に。
23/12期1.8%増収0.6%営利増予想はプライムウエハ不振も再生ウエハ増で達成期待
Q3累計での収益進捗率がほぼ計画線上にある事もあり23/12期予想に変更はなく、売上高508億円(1.8%増)、営利131億円(0.6%増)、経常利益143億円(7.7%減)予想を据え置いた。セグメント、企業別予想開示はないが、半導体生産の停滞、米中半導体摩擦激化の動きの中でも再生ウエハ関連は能力一杯なことも有り依然として高水準を保っている。但しプライムウエハはEVの一服感からパワー半導体もシリコン系が一服、家電などの不振もあり調整局面に。また第3の柱として捉えるドライエッチング装置向け石英・シリコン製消耗部品は新設の栗原工場の寄与から東京エレクトロン宮城向けに供給拡大が続いている模様も、メモリ不振によるエッチング装置の伸び悩みが影響している模様。このため同事業の伸びは期待ほどには拡大していないと見られる。
全体として上期増額分をQ3では多少食い潰した格好で進捗率から判断し、通期予想並みとなったと見られる。再生ウエハ最大ユーザーのTSMCにおいても需要伸び悩みが見られる中で、為替の円安効果が得られる事で会社計画並みを確保しよう。
25/12期に売上高576億円、営業利益147億円、経常利益161億円目標
新中計では25/12期に売上高576億円、営業利益147億円、経常利益161億円を目標としており計画に変更はない。現状、2024年は半導体生産もロジックから回復が見込まれ、生成AI用など先端デバイスを手掛ける同社最大手ユーザーのTSMCの生産拡大が寄与しよう。また台湾に加え熊本でも新工場建設などもあり、改めて能力増強を実施する。また中国では米中摩擦下で半導体自国生産の強化は揺るぎない形で進行しており、再生ウエハの需要が本格拡大するとして、新たに中国で再生ウエハ事業を実行、2022年末に月産5万枚を2025年末には倍増の月産10万枚に引上げる計画。
プライムウエハ事業も8インチの更なる能力増強を行うとともに、12インも23年10月には12インチプライムウエハ新工場の竣工式も行い、将来的には月産30万枚を目指す。なお12インチウエハのターゲット市場は、まずは中国ボリュームゾーン品質を確保し、M&A等を活用し中国シェアNo1を目指す。その後、グローバル品質を実現してウエハ再生顧客網(半導体グローバルメーカー)への販売を開始しグローバルで通用するプライムウエハメーカーを目指すとしている。
第3の柱としてのドライエッチング装置向け石英・シリコン製消耗部品は栗原工場の本格寄与が始まる。25/3期後半にはメモリの回復により東京エレクトロン宮城のエッチング装置の急回復に合わせ拡大が見込めるほか、3D化などでエッチング装置のマルチチャンバー化から台数以上の部材の伸びが見込まれ、売上が加速しよう。
さらに同社は第4の柱となる可能性を秘めた事業として、23年10月にバナジウムレドックスフロー電池(VRFB)の電解液を手掛ける「LEシステム」を設立した。VRFBは6時間以上の長時間放充電能力を持ち、PV等発電設備・装置と同等の10年超の耐久性を持つ電池として注目が増している電池である。今回設立したLE社は国内におけるVRFB用電解液製造の主力企業として業界をリードしてきたLEシステム株式会社の事業を会社分割により取得、LiBとは異なる特性でスマートシティやスマートグリッドで大きく伸びる可能性を秘めている電池であり中長期的に楽しみな事業となる可能性がある。
このような環境で、主力事業は半導体生産の拡大とともに2024年後半から収益拡大が再開、同社中計も中計見直しによる再増額の形で収益拡大が期待される。
株価は子会社上場で膨大な含み益を獲得した事で材料出尽くしとの見方で、23/12期決算が経常減益予想としたこともあり、半導体バージンウエハの冴えない動きに連動して大きく下落した。現状23/12期会社予想EPS286.18円に対しPER10.8倍はプライム金属15.3倍、化学15.5倍に対し割安感がある。またプライムウエハの信越化学21.5倍に対し割安、SUMCOコンセンサス11.9倍に対し同程度となっている。23/12期は会社計画並みの収益に止まるとみられるが、23年12月22日に未定としていた期末配当を22/12期の17.5円(記念配2.5円含)から30円に普通配として倍に引上げることをアナウンスした。従来配当性向が低いとの指摘もあり、今後、収益の拡大で増配が続く可能性もある。24/12期は再度経常最高益更新が見込まれポジティブ継続と考える。
(H.Mirai)
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