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技研製作所(6289) 24/8Q1決算メモ ネガティブからややポジティブに変更

24/8期2.5%増収10.6%営利増予想は震災特需等で増額もインプラント革命には時間要す

株価1907円(1/10) 時価総額537億円  発行済株28115千株

PER(24/8期DO予:19.7X)PBR(1.3X)配当(24/8DO予)48円  配当利回り:2.5%

 

要約

・24/8Q1は0.9%減収ながら6.7%営利増と建機事業の好調で材料高止まりの中で減益回避

・24/8期2.5%増収10.6%営利増予想に変更ないも、能登大震災復興需要で増額も

・世界的にインプラント工法普及で防災インフラ革命進める意向も足元は国内中心に拡大へ

 

 

24/8Q1は0.9%減収ながら6.7%営利増と建機事業の好調で材料高止まりの中で減益回避

 

 24/8Q1決算が1/10に開示された。24/8Q1は売上高74.18億円(0.9%減)ながら営利11.98億円(6.7%増)、経常利益12.65億円(7.2%増)と建機事業の好調で材料高止まりの中で微減収も5四半期ぶりに営業増益に転じた。

 

 部門別では建機事業が売上高50.28億円(5.1%減)、営利15.18億円(13.7%増)に。国内は汎用機販売が入替需要継続で堅調に推移も建設次第高騰等で大型特殊機が不振で44.13億円(8.6%減)、一方海外はブラジルやシンガポールなどで売上が伸び8.66億円(4.7倍)に。利益面では原材料値上がり前に製造した大型特殊機売上、円安も有り増益に。

 

 一方、圧入工事は売上高21.37億円(13.0%減)、営利2.99億円(28.6%減)に。国内は災害復旧、防災等の工事が拡大し20.61億円(2.4%増)も、海外は豪州の連結解消影響で0.76億円(87.8%減)と大幅減、利益面では減収影響に加え国内が利益率の高い案件の減少、人件費増などが響き大幅減益に。

 

 全体を通じ、建機部門は売上で堅調も利益は一過性のプラス、圧入工事は豪州影響が大きく、利益面でも採算が厳しく、まだ収益改善が進んだとは言えない状況にある。

 

24/8期2.5%増収10.6%営利増予想に変更ないも、能登大震災復興需要で増額も

 

 24/8期会社予想は売上高300億円(2.5%増)、営利33億円(10.6%増)予想に変更なし。基本的に豪州での合弁解消や海外での新規案件の見通し難などが影響し、従来中計を売上高で50億円、営業利益を22億円減額したままの数字となっている。

 



 部門別では建機事業が売上高225億円(8.4%増)、営利50.21億円(7.6%増)予想。国内における一般機の入れ替え需要やフライホイール式パイルオーガを標準搭載した硬質地盤に対する掘削能力・施工能力を高めた新型機「F112」等の販売増、海外はブラジル、アジア地域で増加を見込む。利益面では人件費増、海外戦略の再構築費用増などを増収効果で補い営利率横ばいを見込む。

 

 圧入工事は売上高75億円(12.0%減)、営利7.07億円(19.2%減)予想。豪州合弁解消で海外を3.42億円(83.2%減)と見込み、国内向け71.57億円(10.4%増)でカバーする計画。利益面では採算の低い海外の比率が減少し、営利率の低下は0.7ポイントの低下で収まるとみている。

 

 現状、同社の24/8Q1発表は1/10であるものの、1/1発生した今回の能登大震災について短信での言及はない。しかし同社グループは復旧、復興支援体制の強化と防災・減災に向けた新技術の提供を目的に「国土防衛技術本部」を設置しており、特に今回は地盤の隆起による護岸の崩壊、津波被害、液状化による崩壊などが顕著であり、今後のインプラント工法による防災工事への受注が大きく増加する可能性がある。足元では復旧工事が急がれるが、同社のインプラント工法は短時間での対応に優れる面も有り、24/8Q4には同社収益に大きく寄与すると思われる。

 


 

世界的にインプラント工法普及で防災インフラ革命進める意向も足元は国内中心に拡大へ

 

 同社はインプラント工法で世界の建設を変える「工法革命」の認知を望むが、海外では日本以上に新工法採用に対し保守的と言われ、世界的にインフレ加速で工事原価が上昇する環境でもあり課題は多い。同社は海外市場形成が軌道に乗りつつある地域として欧州、アジア地域を挙げるが、インプラント工法導入には教育から始める必要があり、多くの時間を要しよう。一方、国内は従来の市場に加え様々な方面で圧入市場拡大が可能としている。特に今回、津波や液状化、急斜面での道路崩落などに対し、建設市場全体が大きく伸びないと見られる中で、国土強靱化対策が再強化され同社収益は改めて急改善が見込まれる。

 

 株価はインプラント工法の理想と現実の収益の乖離の中で2021年5月の高値5310円から2年半一貫して下落を続け、2023年12月14日には1688円の安値をつけ、現在も2000円割れが続いている。現状24/8期会社予想EPS89.69円に対しPER21.3倍はプライム機械セクター平均17.8倍に対して割高感があり、建機のコマツ10.7倍、日立建機8.4倍、最高益更新となっている竹内製作所9.0倍などと比較してさらに割高感がある。これまで成長神話が揺らいだ中で単なる建機メーカーに止まるとの評価が定着したとして、ネガティブ継続としてきた。しかし今回の震災を受け24/8期の増額が見込まれる他、震災・防災関連として内需中心に需要が高まり収益性も大きく改善すると見られ、評価をネガティブからややポジティブに変更したい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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