また資源大手が生産見直し 加ファースト・クォンタム、豪ニッケル生産を一部停止へ
カナダ資源開発大手ファースト・クォンタム・ミネラルズは1月15日、自社ホームページ上で発表した2026年までの生産計画で、西オーストラリアで手掛けるニッケルの採掘事業を縮小すると発表した。製品価格の低迷を受け採掘コストがかさんだため。利益率を改善しながら価格回復を待つとしている。
■ザンビア注力で生産量全体は増加へ
発表によると、ファースト・クォンタムは豪レイヴンズソープでのニッケル生産目標について、2024年の1万2000-1万7000トンから2025年、2026年の両年は1万1000-1万6000トンに引き下げる。同鉱山のうち、シューメーカー・レビィ地区での採掘は中止し、既存の鉱石備蓄の処理のみ行う。備蓄は18ヶ月分の加工分に相当する量を保有している。在庫処理が済んだ後で鉱山内の別の地区での採掘に着手し、鉱床はニッケル価格の回復時まで温存する。2023年のレイヴンズソープのニッケル生産量は2万2000トンで、同年の同社のニッケル生産総量(2万6000トン)の8割超を占めた。
もっとも、同社はニッケル全体の生産目標は2024年に2万2000-3万7000トン、2025年に2万6000-4万1000トン、2026年に3万6000-5万1000トンと順次引き上げる予定だ。レイヴンズソープを引き下げる代わりに、ザンビアでの採掘量を引き上げる。
■パナマの閉鎖で銅生産は半減
ファースト・クォンタムは2023年11月末、パナマ政府から所有するコブレ・パナマ銅山の閉鎖を命じられたばかり。環境面などを巡り住民の反対運動が激化する中、パナマの最高裁判が所同鉱山を巡るファースト・クォンタムとの契約を認めた法律について違憲との判断を下した。
関連記事コブレ・パナマ銅山 閉鎖へ――大統領が閉鎖命令 違憲判決受け | MIRU (iru-miru.com)
このため、同社は銅の生産目標も大幅に減らしている。2024年は37万-42万トン、2025年と2026年は40-46万トン。2023年の銅生産量は70万8000トンで、このうちコブレ・パナマの生産量は33万1000トンと半分近くを占めていた。コブレ・パナマでは金も生産していたため、生産目標は金も大幅に引き下げた。
■価格低迷でコスト高、豪州事業の停止目立つ
金属価格の低迷による生産コストのひっ迫を受け、世界の資源大手が生産計画を変更し、施設の閉鎖や減産に踏み切る動きが相次いでいる。
米アルミのアルコアは1月8日、豪州のアルミナ精錬所の閉鎖を発表した。2023年には欧州鉄鋼のアルセロール・ミッタルが11月に南アフリカの長鋼工場の閉鎖計画を発表。英豪リオ・ティントも同月に豪アルミ精錬所を閉鎖、施設解体を開始した。日本でも、9月にJFEスチール東日本製鉄所京浜地区(川崎市)の第2高炉が閉鎖した。
関連記事: 米アルコア、豪アルミナ精錬所を閉鎖へ 従来型金属の設備閉鎖、24年も続く | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/08/01 タイトル:2025年7月LME銅相場&国内銅建値の推移 50%関税控えLME逆さや・NYプレミアム解消
- 2025/08/01 インドネシア、ニッケル減産相次ぐ 青山集団など4社が一部生産ラインを停止・外電
- 2025/08/01 ドル高と50%関税控えLME銅相場軟調も円安急進でスタート銅建値は据置の1,490円に、亜鉛・鉛はDOWN
- 2025/08/01 欧州からの風:July 2025 「BASF・CATL、正極活物質の共同開発で提携強化」
- 2025/08/01 欧州からの風:July 2025 「EU電池サプライチェーンの現状と中国への依存」
- 2025/08/01 日新工業、ナゲット事業の歩み加速へ――アルミナゲットライン更新、投資額は約4千万円
- 2025/07/31 住友電工:26/3期1Q決算説明会を開催。関税影響等を加味して業績見通しを修正
- 2025/07/31 愛知製鋼:26/3期1Q決算を発表、出足好調で上期見通し上方修正するも、通期は据え置き
- 2025/07/31 JEPLAN、田中貴金属グループと脱炭素・循環型社会実現に向け事業提携発表
- 2025/07/31 タングステン価格の急騰で中国の各企業の注文が急に増えたが高原市況はいつまで続くのか?