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中国「レアアース世界制覇」の夢 採掘から加工・EV使用まですべての主導目指すか

 中国のレアアース産業を巡る姿勢が変わってきているとの指摘が出ている。香港英字紙のサウスチャイナ・モーニングポスト(電子版)は1月22日、「中国はレアアースのバリューチェーンの上流化を進めている」と題する記事を掲載した。中国は中間加工国としての存在感を拡大し、採掘から電気自動車(EV)生産に至るすべての過程において世界を主導することを目指しているようだ。

 

 

■原材料輸出から輸入強化に切り替え、川下製品を強化へ

 

レアアース各工程における中国のシェア

(出所:JOGMEC)

 

  浮上しているのは、上記の表のうち、右2つの「中間製品製造」以降の部分で中国が存在感を高めようとしているとの観測だ。中国は既にレアアース埋蔵量では世界の4割を占め、原材料生産量でも7割を占める。また、加工分野でも前半工程を含めれば8割を占める。それを後半部分で更に向上させ、レアアース関連分野での実質的な世界制覇を目指しているのではないかとの観測がある。

 サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国の転身の具体的な例として、中国国土資源省系のレアアース生産企業である盛和資源が米国やカナダ、オーストラリアなどで展開するレアアース鉱床の買収があるという。

 

関連記事:オーストラリアのレアアース会社は中国と協力して発展を加速 | MIRU (iru-miru.com)

 

 また、中国の2023年のレアアース輸入総額は前年比33.2%増え、輸出総額が28.3%減ったのと対照的だった。中間加工や中国国内消費に向けた輸入需要が増えた一方、原材料としてのレアアースの輸出需要は減ったことになる。

 

関連記事:中国レアアース輸入額、23年は33.2%増 輸出は28.3%減 、加工向け輸入を強化 | MIRU (iru-miru.com)

 

 中国がレアアース加工国への転身を図っている証左は他にもある。中国は2023年12月、レアアースを使った高性能磁石などの製造・精錬技術の輸出を規制した。加工技術を門外不出としたわけだ。レアアースそのものの輸出規制ではないため、当時の世界での反応は小さかった。

 

中国、レアアース磁石の製造技術を輸出規制 商務省など制限リストに追加 | MIRU (iru-miru.com)

 

 しかしこれは、中国が輸入したレアアースを独自の製法で加工し、その加工品を輸出または国内生産に充てることを考えていることにならないか。

 

■採掘からEVまですべて1国で賄える

 では、その加工品の行く先はといえば、もちろんEVだろう。EV販売台数は中国が世界1位となった。EV普及率も世界首位で、この分野でも中国は世界を制したと言ってもいい。逆に言えば、これだけのEV需要があるためにレアアース生産が自国内では間に合わなくなり、加工のために海外からの調達を増やさなくてはならなくなった面もあるだろう。

 

2023年のEV販売台数と普及率

(出所:SNE reserch)

 

 この結果、形成されるのは、「生産-加工-製品化」を中国内で一貫して行うレアアースサプライチェーン(供給網)の完成である。中国は生産・加工・完成品のどの時点でも海外に販売することができる。もちろん川下に行くに従い付加価値が上がる。さらに、中国はどの時点の分野でも世界に占めるシェアが大きく、指導部は実質的に世界を制覇することもできると踏んでいるのではないか。

 

■レアアース勢力図が鮮明化する年に

 2012年に中国がレアアースそのものの輸出を規制したことをきっかけに、西側諸国は中国以外からのレアアース調達網の確立を進めてきた。また、最近も米国がインフレ抑制法(IRA)を打ち出し、欧州連合(EU)が中国産EVを規制するなどの動きがある。しかし、いずれも中国の全網羅的な計画に比べると、対処療法的な感は否めない。特に加工については盲点になってきたのではないか。

 中国のレアアース戦略がどこまで鮮明化するか。西側諸国との切り離し(デカップリング)は進むのか、中国の存在感はどこまで大きくなるか。2024年はレアアースを巡る勢力図が一段と鮮明になる1年になりそうだ。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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