アドバンテスト(6857) 24/3Q3決算電話会議メモ ややネガティブ継続
24/3期メモリテスタ増額で14.3%減収49.3%営利減に増額、25/3期生成AI寄与で回復へ
株価5943円(1/31) 時価総額45532億円 発行済株766141千株
PER(24/3期DO予67.4X)PBR(10.9X)配当(24/3DO予)22円 配当利回り0.37%
要約
・24/3Q3SoCテスタ減で3.4%減収34.9%営利減もメモリテスタ好調でQ2比27.4%営利増
・24/3期SoCテスタ減もメモリテスタ増額勝り14.3%減収49.3%営利減予想に若干増額
・25/3期生成AI寄与等で回復し23/3期水準目標、26/3期SoCテスタ回復で収益上伸期待
24/3Q3SoCテスタ減で3.4%減収34.9%営利減もメモリテスタ好調でQ2比27.4%営利増
24/3Q3決算が1/31に開示され、電話説明会が同日行われた。24/3Q3は売上高1332億円(同期比3.4%減、Q2比14.6%増)、営利268億円(同34.9%減、同27.4%増)とスマホ、PC、データセンタ投資減退でSoCテスタ―不振も、メモリテスタ好調で同期比減もQ2比増益に。
セグメント別では半導体・部品テスト事業が売上高883億円(同10.4%減、同8.8%増)、営利257億円(同36.5%減、同20.9%増)となった。SoCテスタはHPC向けに加え、APU向け高性能半導体向けが需要底打ちも、車載・産業機器などの成熟プロセス品向けが投資に一服感が見られ、同期比で売上が減少、売上高633億円(同20.9%減、同1.3%同)に。メモリテスタはフラッシュの低迷があるも、DRAM向けがHBM、DDR-5向け、特にHBM向けが活発化、売上高250億円(同34.4%増、同33.7%増)と息を吹き返す。利益面では減収影響に加え高機能SoCテスタが不振でMIX悪化から同期比大幅減益も、Q2比では20.9%増と2四半期連続増に。メカトロニクス関連事業は売上高149億円(同5.7%増、同19.2%増)営利31.59億円(同6.0%増、同84.1%増)。メモリテスタ事業の増額に伴い売上が増加、利益は増収効果で大幅改善に。サービス他は売上高300億円(同18.5%増、同32.7%増)、営利24.42億円(同1.7%増、同1.8%減)と、保守サービスは129億円(11.3%増)と高水準を維持、システムレベルテスト(SLT)がハイエンドSoC向けで増収となり171億円(24.8%)と反動増に。利益面では増収効果に加えMIX良化で回復。
次に地域別では台湾が先端SoCテスタの回復、メモリテスタなども復調し422億円(同52.3%増、同2.2倍)、韓国向けは262億円(同15.8%減、同0.4%増)とメモリテスタ向けがHBMで伸長しQ2比でも堅調維持。一方中国は336億円(同26.0%減、同13.8%減)と全般に需要が一服している。
24/3期SoCテスタ減もメモリテスタ増額勝り14.3%減収49.3%営利減予想に若干増額
24/3期会社予想はテスタ減もメモリテスタ増額が勝るとして、売上高4800億円(10/31計画比100億円増額、14.3%減)、営業利益850億円(同50億円増額、49.3%減)予想とした。なおQ4は逆算し、売上高1293億円(同期比12.3%減、Q3比3.0%減)、営利229億円(同40.5%減、同14.6%減)予想と、SoCテスタの減からQ3比で減益に止まる予想となっている。
部門別売上では-半導体システム3250億円(同30億円増額19.6%減)、内訳はSoCテスタ2440億円(同40億円減額、25.0%減)、メモリテスタ810億円(同50億円増額、2.8%増)を見込む。SoCテスタは先端向けがQ2ボトムに緩やかに回復も車載・産機向けなどが低迷、年度としては先端が37%減、車載・産機他が4%減に見通しに。一方、メモリテスタではHBM向けがQ2以降大きく寄与、NANDの回復が遅れ年度では74%減予想と非常に厳しいが、HBM中心にDRAM向けは54%増と上伸予想に。なお利益面ではSoCテスタの大幅減でMIX悪化、利益の開示は無いがQ3からQ4にかけても利益率の改善は進まないとみられる。
メカトロ関連は売上高530億円(同50億円増額、11.5%減)とHBM向けテスタ需要に連動しハンドラの減少幅が縮小し見通しを大幅増額に。サービス他は売上高1020億円(同40億円減額、6.1%増)を見込む。内訳はSLTが520億円(同15億円増額、1.9%減)と、民生用機器需要の特定顧客の需要減退が継続も、保守サービスが設置台数の増で500億円(同25億円増額、16%増)を見込む。
全体として売上面ではSoCテスタ市場の回復の遅れで、HBM向けの寄与があるものの、MIX悪化も有り利益面で大幅減益予想。現状、為替前提が下期1$=143円(Q4は145円、1円の変動で8億円の利益影響とのことで、会社予想に対し多少利益の上積みがあると思われるが、ほぼ会社減増修正並みの収益に止まるとみられる。
25/3期生成AI寄与等で回復し23/3期水準目標、26/3期SoCテスタ回復で収益上伸期待
会社側では2024年のテスタ市場についてSoCテスタは3.3B$~3.6B$を見込む。HPC/AIなど高性能半導体向け中心に年後半に受注増を見込む。メモリテスタ市場は1.3B$~1.6B$と拡大を見込む。NANDは年後半から緩やかに回復も、高性能DRAM向けでは、HBM中心に活発な増産計画がアナウンスされテスタ需要の急拡大が継続、2026年までの拡大が見通せる状況とのこと。HBMは従来のDDR4と比較し大幅な帯域幅と処理能力持つが、複雑な構造と高い動作速度のために、より綿密なテストが求められる。テスト項目として電圧マージンテスト、タイミングマージンテスト、パターンテスト、ビットエラーレートテスト、動作温度テストなどに加え、複数のHBMメモリチップをパッケージ化したモジュールの機能、性能、信頼性の検証も必要となり、信号伝送テスト、電源供給テスト熱設計検証、シミュレーションテストが加わる。このような状況で。DDR-4などと比較し、テスト工程が約2倍、テスト時間が約3倍に増加する模様。このためメモリテスタの需要拡大、またメモリテスタの拡大に伴うメカトロ関連も拡大、売上は23/3期並に回復が見込まれる。但し利益面ではSoCが過去最高まで戻らずMIX悪化で最高益には届かないとみられるが、増収効果で営利の大幅回復が期待される。サービス事業は保守サービスが引続き拡大、システムレベルテストはスマホなどの伸びは期待できないものの、生成AI関連向けの拡大などでこちらも増収が見込まれる。
全体として収益性の高いSoCテスタの売上構成比が23/3期までには及ばず営業利益は23/3期水準に届かないものの、売上は最高額更新もあり得る。
株価は生成AI向けにテスト需要が大きく拡大するとの期待から4/26の23/3期決算説明会での生成AI事業機会の説明をスタートに株価が2600円から1/23には6104円まで駆け上がった。その後は多少熱が冷めた格好。今回の24/3期増額修正会社予想EPS87.46円に対しPER68倍は、レーザーテック69.5倍に対し同等水準、生成AI半導体検査の高い検査需要を見込んでも東京エレクトロンの41.8倍、新値更新のスクリーン22.6倍、ディスコ56倍等に対し割高感がある。また米国テラダイン22.0倍、米KLA24.5倍に対しても割高感がある。26/3期に収益上伸で最高益更新が見込まれるが、25/3期は23/3期利益に届かないとみられ、当面PER割高となるためややネガティブ継続と考える。
(H.Mirai)
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