チタン原料市場市況2024年2月 中国春節で値動き乏しい 二酸化チタンが小反発
2024年2024年2月のチタン原料市場は静かな値動きとなっている。中国が2月10日から春節の8連休に入り、中国内ではその前から操業を停止する企業が多かった。他国の関連業者も本格的な受発注を春節後に見送る動きが強く、値動きは微調整の域を出ていない。
チタン精鉱
過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)
チタン鉱石はじり安。2月8日に仲値で$393.5/tonと1月半ばから維持していた$394.5から小幅に値下がりした。1年前は$430を超えていたことを考えると、さえない動きと言える。
中国の景気減速も重荷だ。FerroAlloyNetによると、中国メーカーが海外からのチタン原材料の購入に慎重になっているといい、国際価格は様子見気分が続いている。
過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)(us/ton)
ルチルは2023年4月から値動きなし。
二酸化チタン
過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)
チタンの原材料全体の9割近くを占める塗料向けの二酸化チタンは小幅に値上がりした。2月5日に仲値$2250/tonと2023年11月以来の高値を回復し、底打ち感が出ている。ただ、世界的な製造業需要の回復には慎重な見方も多く、上値は重い。
チタンスラグ
動きの乏しい時期だった。FerroAlloyNetによると。チタンスラグはほとんどの注文価格は膠着状態で、1月の注文価格で取引された。
チタンスポンジ
過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)
金属チタンは中国の一般産業向けで2月8日に$7.039/kgと1月下旬時点から3%下げた。2023年に酸化チタンなどに比べ堅調だったが、中国の春節休暇入りを前に売りが出た格好だ。
2023年の好調でバイヤーが在庫を抱えていることも指摘されている。FerroAlloyNetは「中国では以前にスポンジチタンの供給がひっ迫した際に川上企業が生産を増やしたため、現在は川下企業が在庫を十分に抱えている」と指摘した。
航空機向けスポンジチタンの価格は高値横ばい。2023年に兵器向けなどの需要拡大で堅調だった勢いが続いている。
過去3年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)
四塩化チタン
過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)
2月8日に仲値RMB6200/mtを付けた。1月初旬にやや上げたもののその前の水準に戻した。
フェロチタン
過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)
唯一、明らかに好調。仲値は1月下旬に心理的節目の$7/kgを回復し、2月8日には$7.475と2023年6月以来の高水準に戻した。
中国の製鉄所の需要が活発化している。ただし、ロシアやインド、米国などの需要は弱く、上値は限られている。
(IR Universe Kure)
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