鉄スクラップの高度循環利用研究会がキックオフイベントー不可避な不純物の解決へ

懇親会で挨拶した醍醐代表
鉄スクラップの高度循環利用研究会(醍醐市朗代表幹事)は4日、東京都中央区の鉄鋼会館でキックオフ会議を開催した。東京大学先端科学技術研究センター准教授である醍醐代表が研究会設立の経緯や展望を説明したほか、懇親会も実施。電炉メーカーやリサイクラー、シンクタンクなどから約103名が参加し、親交を深めた。
同研究会はその名の通り、鉄スクラップの高度循環利用に向けた学術的、社会制度的、商業的な知識を学び、議論する場を設けることを目的として設立された組織。スクラップのほか、製鋼・圧延、材料特性、政策動向に関する情報交換や交流、議論を促していく計画だ。醍醐氏は研究会の運用方針として、「課題(高度循環利用)が解決するまで続ける」と強調していた。また、同氏は講演の中で、高度循環利用への課題は「スクラップの中の不可避な不純物とそれらの元素のバラツキにある」と見解を示しており、当面はその課題解決に向けた技術開発や社会実装に関する議論が中心となりそうだ。
次回の開催は12月19日を予定しており、「国際的な鉄スクラップのフロー」のテーマの下、醍醐代表や会員企業による講演を行う。そのほか、参画企業の交流を促進するための企業紹介ブックレットの政策や限定公開ウェブサイトの立ち上げにも注力していくという。
会議の後に行われた懇親会では、醍醐代表は「鉄スクラップは不定形かつ重量物であるため、研究対象にしにくいものではあるが、研究していて面白いと思える対象。研究してきたことが研究会立ち上げという形で実を結んだことを嬉しく思う」と述べ、今後の協力を呼び掛けた。
キックオフ会議には経済産業省や環境省も来賓として参加し、経産省イノベーション・環境局GXグループ資源循環経済課の三牧純一郎課長は「資源循環経済は非常に可能性のある政策分野」と位置付けたうえで、「企業の皆様の関心が高いと我々としても心強い。しっかりと政策で後押ししていきたい」と語った。
来賓としてあいさつした三牧課長
(IRuniverse K.Kuribara)
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