鉄鋼輸出入実績 ①輸出 2025暦年上半期 鉄鋼輸出実績概況(全鉄鋼ベース)
2025年8月29日、一般社団法人日本鉄鋼連盟が、2025年7月の鉄鋼輸出入概況を発表した。
2025年7月の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は263.0万トン、前年同月(289.8万トン)比で9.2 %減と4か月連続の減少となった。
2025暦年上半期の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は1,526万5 千トンとなり、暦年換算では3,053万トンと、2024暦年を下回り、2年連続で減少する見通しとなった。
熱延広幅帯鋼の輸出量は557万7千トンとなり、暦年換算では1,115万トンとなり、2024暦年を下回る一方、
半製品の輸出量は157万9千トンとなり、暦年換算では、315万7千トン2024暦年並又は上回る見通しとなった。
2025年7月の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)の仕向け先別では、
韓国[33.7万トン、前年同月(40.4万トン)比16.7 %減]が7か月連続、
中国[19.2万トン、同(22.1万トン)13.1 %減]が13か月連続、
台湾[11.8万トン、同(14.6万トン)比18.8 %減] が2か月ぶりの減少となった。
一方、タイ[39.6万トン、同(38.3万トン)比3.5 %増]が3か月連続、
米国[12.5万トン、同(9.5万トン)比32.3 %増) が8か月ぶりの増加となった。
2025年7月の普通鋼鋼材輸出量は186.1万トン、前年同月(197.5万トン)比で5.7 %減と4か月連続の減少となった。
主要品種別では、
熱延広幅帯鋼[102.9万トン、同(113.5万トン)比9.4 %減]が3か月連続、
厚板 [22.1万トン、同(26.0万トン)比18.6 %減] が2か月ぶり、
冷延広幅帯鋼[12.4万トン、同(12.9万トン)4.4 %減]が2か月ぶりの減少となった。
一方、亜鉛めっき鋼板[17.3万トン、同(18.2万トン)比5.4 %増]が2か月連続の増加となった。
表1に鉄鋼輸出入実績概況 輸出、仕向国:世界計を示す。
表1 鉄鋼輸出入実績概況[2025年7月分、暦年及び年度(7月までの累計)]輸出、仕向国:世界計
黄色マーカー:前月比及び前年同月比で共に増加した品種[普通鋼鋼材(棒鋼、電気鋼板、ブリキ、及び、その他表面処理鋼板)、二次製品(線類)、その他]。
年初からの累計(2025年1月~7月累計)及び年度初からの累計(2025年4月~7月累計)で共に増加した品種[銑鉄、鋼塊、半製品、普通鋼鋼材(鋼矢板、線材、冷延広幅帯鋼、電気鋼板、ブリキ、その他表面処理鋼板及び継目無鋼管)]。
<2024暦年上半期鉄鋼輸出実績概況 暦年推移:図1>
図1に、全鉄鋼・半製品・熱延広幅帯鋼の2024暦年輸出量及び金額(円ベース)の推移に、2025暦年上半期及び2025暦年換算を共に示す。
<2024暦年>
2024暦年の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は3,171万1,382トンで2023暦年(3,268万9,507トン)比3.0 %減と2年ぶりの減少となった。2001暦年の3,047万9千トンは上回ったものの、2002暦年以降で最少の輸出量となった。
金額(円ベース)は、4兆7,402億円となり、2023暦年(4兆8,401億円)比2.1 %減と2年連続で減少した。2022暦年は、2000暦年以降で最高の5兆698億円と5兆超えであった。
暦年詳細
<2025暦年上半期・2025暦年換算>
2025暦年上半期の鉄鋼輸出実績(全鉄鋼ベース)は1,526.5万トンとなり、暦年換算では3,053万トンと、2024暦年を下回り、2年連続で減少する見通しとなった。
2025暦年上半期の金額(円ベース)では、2兆1,531億円となった。
図1 全鉄鋼・半製品・熱延広幅帯鋼の暦年輸出量及び金額(円ベース)の推移
(一般社団法人 日本鉄鋼連盟 鉄鋼統計要覧及び鉄鋼需給の動きより)
2024暦年の半製品の輸出量は313万9,998トンで2023暦年(311万3,851トン)比0.8 %増と3年連続の増加となった。2000暦年以降では過去最高は2013暦年の594万8千トンであった。
2025暦年上半期の半製品の輸出量は157万9千トンとなり、暦年換算では、315万7千トン2024暦年並又は上回る見通し。
2024暦年の熱延広幅帯鋼の輸出量は1,184万6,220トンで2023暦年(1,227万6,359トン)比3.5 %減と3年ぶりに減少した。過去最高は2013暦年の594万8千トンであった。2000暦年以降で過去最高は2015年の1,300万トンだった。
2025暦年上半期の熱延広幅帯鋼の輸出量は557万7千トンとなり、暦年換算では1,115万トンとなり、2024暦年を下回る見通し。
<仕向け先別(全鉄鋼ベース)>
図2に、仕向け先別(全鉄鋼ベース)の暦年輸出量推移に2025暦年上半期及び2025暦年換算を共に示す。
<2024暦年>
2024暦年、仕分け先別では
韓国[478万3,404トン、2023暦年(564万トン)比15.1 %減]が4年ぶり、
タイ[428万4,449トン、同(467万5,719トン)比8.4 %減]が3年連続、
中国[267万2,789トン、同(284万8,622トン)比6.2 %減]が4年連続、
米国[120万9,810トン、同(122万8,514トン)比1.5 %減]が2年連続
EU[136万3,825トン、同(204万7,303トン)比33.4 %減]が2年連続
カナダ[10万8,451トン、同(11万3,647トン)比4.6 %減]が3年連続
の減少となった。
一方、
台湾[176万2,638トン、同(159万トン)11.2 %増]が4年ぶり、
中南米計[384万1,050トン、同(358万7,981トン)7.1 %増]が2年連続、
の増加した。
その他では、中国を除く東南アジア向け(台湾、ベトナム、フィリピン、インド、パキスタン及びバングラディシュ)、中東向け及びアフリカ向けが増加した。
<2025暦年上半期>
2025暦年上半期の仕向け先では、
韓国(192万9千トン 暦年換算385万8千トン)
タイ(211万8千トン 暦年換算423万6千トン)
中国(117万6千トン 暦年換算235万2千トン)
米国(53万2千トン 暦年換算106万3千トン)
EU(30万2千トン 暦年換算60万3千トン)
となり、暦年換算では、2024暦年を下回る見通し。
一方、
台湾(106万8千トン 暦年換算213万6千トン)
中南米計(204万9千トン 暦年換算409万8千トン)
カナダ(7万3千トン 暦年換算14万6千トン)
となり、暦年換算では、2024暦年を上回る見通しとなった。
図2 仕向け先別(全鉄鋼ベース)の暦年輸出量推移
一般社団法人日本鉄鋼連盟による鉄鋼需給の動き(2025年8月)表12(鉄鋼輸出総括)によると、7 月(速報)の輸出平均単価は、全鉄鋼ベースで 933.7 ドルと 2か月ぶりの低下となった。
鉄鋼連盟が公表している鉄鋼需給の動き(2025年8月)図29(全鉄鋼仕向け先別輸出推移)を下記に示す。
鉄鋼需給の動き[ 図31:全鉄鋼輸出・平均単価推移]を下記に示す。7月は速報値
図3には、全鉄鋼ベース 向け先別輸出量(四半期別)推移を示す。
図3 鉄鋼ベース 向け先別輸出量(四半期別)推移
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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