工作機械工業会 受注速報 1月14.1%減1109億円と13ヶ月連続内外減少
工作機械1月受注は1109億円(14.1%減)、13ヶ月連続内外減少
1/13の15時に日本工作機械工業会の2024年1月受注速報が開示された。1月受注は1108.81億円(同月比14.1%減)と13ヶ月連続減、前月比でも年末月営業日数が少なく12.8%減となった。なお確報は1/21公表予定。
内訳は外需が803.61億円(同月比6.2%減)と中国の景気回復遅れ等で13ヶ月連続減も3ヶ月連続で1ケタ台のマイナスに止まった。但し4月以来900億円割れが続いている。内需は305.2億円(同29.7%減)と17ヶ月連続同月比減少、12ヶ月連続で2ケタ減が継続している。なお前月比でも20.2%減と11月の前年最低額から更に6.7%減少、年度で最低額、2021年2月の304.7億円以来の低い数字となった。全体として内需の低迷継続、海外は金利高でも円安継続も有り高性能な日本の工作機への需要があり、それなりの受注が確保できていると推定される。
工作機械メーカーでは中国向け、従来型国内自動車向け比率の高い企業が厳しく格差拡大
2/13現在、3月期決算の大半がQ3決算を発表、また12月本決算銘柄もほぼ本決算が開示された。総じて中国向けの比率が高い、もしくは国内自動車関連比率が高い企業が苦戦、一方でEVに絡んだバッテリーやモータ関連向けの多い企業は堅調な収益に。また工作機械周辺では半導体製造装置向けなども手掛けているため収益悪化が続いている。いずれにしても本格回復には時間がかかり、企業間格差が広がっており再編の動きも続こう。
工作機械・関連企業の収益実績と最近の増減額予想一覧
鍛圧機械1月受注は12.3%減の180億円で4ヶ月連続減
金属加工機械である鍛圧機械の12月受注(2/8発表)は180.22億円(同月比12.3%減)、4ヶ月連続減少となったが、一部海外でキャンセル影響もあったとのこと。国内が103.27億円(同月比10.6%減)。輸送、電気がマイナス、一般15.9%増、鉄鋼33.3%増に。輸出は76.75億円(同月比14.4%減)となった。同月比では北米が2.2倍、欧州20.4%増も、中国、韓国、台湾、インドが減少、一部キャンセルも影響。機種別でプレス系が97.0億円(同月比25.8%減)。同月比超大型、大型、小型プレスはプラスもキャンセル影響がある。板金系は83.1億円(同月比11.4%増)。同月比レーザ・プラズマ4.1%増、パンチング4.5%増、プレスブレーキ24.0%増と増加機種が多かった。今回、プレス系の輸出でキャンセルが見られ、世界経済の停滞の影響が出ているとのこと。ただし、板金大手のアマダ、プレスのアイダエンジニアリングなどは決算で上振れており、技術力のある企業の健闘が目立つ。
23年12月工作機器生産は25%減と13ヶ月連続減、主力のボールネジ、直動軸受低迷
工作機械に関連する工作機器は、日本工作機器工業会2/5発表の23年12月生産額が128.9億円(25%減)と13ヶ月連続同月比マイナス、前月比でも1.4%減と底這い状況続く。主力ボールネジが20.42億円(37%減)、直動軸受も34.59億円(39%減)と工作機器全体より大きな落ち込みに。特にボールネジは生産本数が90.6万本と2個月連続で10万本割れ。両製品とも工作機械に加え、受注底バイが続く半導体製造装置向けの影響を強く受けている。このような中で、長尺鍛造ボールネジを作成しているツバキナカシマがボールネジ、ボールウエイの製造販売をミネベアミツミに譲渡する事を発表(2/9)、23/12期32.53億円規模の事業。ミネベアはプレシジョンテクノロジーズ事業でシナジー効果を目指す。
工作機器の2023年生産額は1743億円(19%減)と、ピークの22年から一転、大幅減となった。主要製品のボールネジは296.30億円(31%減)、直線運動用案内511.89億円(31%減)と2製品とも同じ動き。工作機械受注、鍛圧機械受注など、2024年もほぼ横ばい予想となっており、ボトム脱出は24年度にずれ込む見通し。
(H.Mirai)
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