レアアース市場近況2024#4 横ばい、中国春節で動きなし
2023年2月中旬~下旬のレアアース市場全体は横ばい。中国が2月10-17日に春節の大型連休となり、アジアを中心に連休となって取引や操業を停止する国々が多かった。国際市場でもいずれの鉱種も価格が動かず、静かな時期となった。
■中国のレアアース指数、2月下旬は160台に
中国のレアアース業界団体である中国稀土協会が日次で発表しているレアアース指数は2月21日に166.8を付けた。2月初旬の170台から水準を切り下げている。中国経済の先行きに不透明感が募り、国内のレアアース需要も低迷している。
過去3年間の中国のレアアース指数の推移
(出所: 中国稀土協会)
■国際価格は値動きなし
国際価格も主要な鉱種はすべて横ばいとなった。春節後の需要が少しでも回復するのではないかという生産者側の期待と、一巡感が出ている電気自動車(EV)需要を含め中国景気の先行きを見極めたいとする買い手側の思惑が交錯し、価格は動かなかった。
金属ネオジムと金属ジスプロシウムは1月中旬からの価格を維持。
金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)
金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)
金属ランタンも1月下旬から、金属テルビウムは2月初めから値が動かなかった。
金属ランタンの価格推移(99% FOB China)(S/Kg)
金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)
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2月17日
中国国有2社がレアアース新材料企業を共同設立 江西省カン州で
中国の国策レアアース企業である中国稀土集団と国有タングステン大手の江西タングステンが2月17日、江西省カン州にレアアース新材料企業を共同設立したことが登記資料から分かった。中国ネットメディアの毎経網は2月19日に伝えた。
新会社の資本金は5億元で、出資比率は中国稀土集団が65%、江西タングステンが35%。新会社はレアアースの精錬や磁石製品の販売、効能材料の販売、商品開発などを手掛ける。
2月16日
韓国LSエコ尖端、独VACとネオジム磁石で合弁へ
韓国電線大手LS電線は2月14日、自社ホームページ上で、子会社のLSエコ尖端素材が、ネオジム磁石大手のドイツのヴァキュームシュメルツ(Vacuumschmelze、VAC)との間で合弁会社設立に向けた覚書(MOU)を締結した)と発表した。年内に合弁会社を設立し、2027年から年間1000トン規模のネオジム磁石を完成車メーカーに供給する。
関連記事: 韓国LSエコ尖端素材、独VACと合弁設立へ 2027年からネオジム磁石を共同生産 | MIRU (iru-miru.com)
2月1日
カナダ、レアアースなど重要鉱物の開発加速へ 中国依存からの脱却目指す
カナダのウィルキンソン天然資源相は2月13日、新規の重要鉱物開発に関する許認可手続きの迅速化などにより開発に要する時間を10年程度短縮し、国家のエネルギー安全保障を強化する方針を明らかにした。ロイター通信が同日伝えた。
対象となるのはレアアースをはじめ、リチウム、黒鉛、ニッケル、コバルト、銅。ウィルキンソン氏はこの分野における中国依存が強すぎることに危機感をもっていると話したという。
(IR Universe Kure)
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