セネガル新大統領。鉱物分野での監査強化を表明 「資源は我々のもの」搾取警戒
西アフリカのセネガルで4月2日、バシル・ジョマイ・ファイ氏(44)が新大統領に就任した。ロイター通信などの外電によれば、同氏は就任と同時に石油、ガス、鉱業分野について「資源は我々のものだ」として監査実施を表明。西側諸国や中国による資源争奪戦が激しさを増す中、資源国側が搾取を警戒する流れが強まっている。
■就任演説で汚染との闘いを表明
(出所:セネガル政府HP)
ファイ新大統領は4月2日に国民向け演説を行った。演説では、同国として雇用創出や腐敗撲滅、資金洗浄(マネーロンダリング)の一掃などを掲げた。選挙は3月24日に行われたが、一時は現職大統領が選挙の実施を延期し、反発した民衆による激しいデモが起きるなど混乱があった。それだけに、アフリカでの民主的な選挙で選ばれた新大統領として、ファイ氏の言動には世界的な注目が集まっている。
■豪資源大手が海底油田を開発
(出所:bring.map)
セネガルはリン酸の原料となるリン鉱石の生産国。ただ、エネルギー部門の監査が行われるとして、差し当たって影響を受けそうなのは原油関連だ。セネガルは2014年に隣国モーリタニアにかけての沖合で海底油田が発見され、欧米などの資源大手が開発に乗り出してきた。英フィナンシャル・レビューの4月3日報道によれば、現在もオーストラリアの資源大手ウッドサイド・エナジーグループがセネガルのサンゴマール鉱区に約50億ドルをかけて建設したプロジェクトが稼働開始を控えているという。
関係者は、政治体制の変化によりこうしたプロジェクトが影響を受けることを警戒している模様だ。報道によれば、サンゴマール鉱区の権益は、ウッドサイド社が82%、セネガル国営石油会社ペトロセン社が残りを所有する。同鉱区の設備は日本の三井海洋開発も供給しており、けして他人事ではない。
■外資を「歓迎している」とはいうものの…
資源国の間では、これまでの歴史への反省もあって他国に搾取されることへの警戒が強まっている。インドネシアがニッケル鉱石を輸出禁止にしたのが1つの例で、脱炭素の流れで鉱物資源への注目が高まる中、鉱物を含む資源を武器化する流れは強まっている。
ファイ新大統領は、外資の投資について「歓迎している」と述べたとは伝わる。それでも、鉱業分野に政策の変化の影響が及ぶことへの関係者の警戒は続きそうだ。
(IR Universe Kure)
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