三菱マテリアル H.C.Starck Holdingの全株式取得
2024年5月14日、三菱マテリアルは「H.C.Starck Holdingの株式取得に関する基本合意について」を発表した。リリース詳細は以下。
三菱マテリアルグループ(以下「同社グループ」)は、このたび、タングステン事業を営むH.C.Starck Holding (Germany) GmbH(以下「H.C.Starck」)の全株式を取得(以下「本取得」)することについて、Masan High-Tech Materials Corporation(以下「MHT」)との間で基本合意に至った。
H.C.Starckは、100年以上の歴史を有する世界有数のタングステン製品メーカー。主にタングステン粉、タングステンカーバイド粉およびその合金を素材とする高品質粉末を欧州、北米、中国で製造・販売、日本においても販売網を有して、各地域で存在感を示していることに加えて、世界最大級のタングステンリサイクル能力を保有している。
また、MHTグループとはタングステンの中間原料であるAPTの長期調達契約を締結し、今後もパートナーシップを継続していくこととする。
同社グループは、中期経営戦略2030において、「グローバルで顧客が認めるタングステン製品のリーディングカンパニー」となることを事業戦略のひとつとし、タングステンを主原料とする超硬工具においては、グローバルでの使用済み超硬工具の回収やリサイクル能力の確保に向けた取り組みを進む。
本取得により、同社グループは、日本、欧州、北米、中国の4大市場においてタングステン事業の拠点を有することになる。日本新金属株式会社(同社100%子会社)とH.C.Starck の連携による研究開発力の強化、クロスセルの推進、リサイクル技術・能力の活用等を通じたシナジー創出と企業価値向上を目指すとともに、タングステンリサイクルのグローバルな事業展開につなげる。
同社グループは「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿と定める。タングステンリサイクル事業の拡大を含む資源循環に係る事業の拡大を通じて、目指す姿の実現に取り組んでいる。
H.C.Starckの概要(2023年12月31日現在)
(1)名称 H.C. Starck Holding (Germany) GmbH
(2)所在地 ドイツ ゴスラー
(3)代表者の役職・氏名 Dr. Hady Seyeda (Managing Director)
(4)事業内容 タングステン粉、タングステンカーバイド粉、タングステンケミカルの製造、販売およびリサイクル
(5)資本金 25,000ユーロ(約4百万円)
(6)設立年 1920年
(7)大株主および持株比率 Masan Tungsten Limited Liability Company 100%(MHTの100%子会社)
(8)売上高 約334百万ユーロ(約524億円)
MHTの概要(2023年12月31日現在)
(1)名称 Masan Hi-Tech Materials Corporation
(2)所在地 ベトナム ホーチミン
(3)代表者の役職・氏名 Craig Richard Bradshaw (CEO)
(4)事業内容 タングステンの製錬、粉末製造ならびにタングステンおよびその他レアメタルのリサイクル
(5)資本金 9兆8,924億ベトナムドン(約450億円)
(6)設立年 2010年
(7)大株主および持株比率 Masan Horison Co., Ltd 86.39%
(8)売上高 約14兆932億ベトナムドン(約817億円)
本取得の日程
2024年5月14日:基本合意
2024年5月29日(予定):最終契約書締結
本取得は必要な社内手続き及び当局の承認を経て2025年3月末までに完了することを予定。
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