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東京大学駒場リサーチキャンパス公開2024を取材して @生産技術研究所

東京大学 生産技術研究所・先端科学技術研究センターは、2024年6月7日(金)、8日(土)の2日間、未来の科学者のための東京大学駒場リサーチキャンパス公開2024を開催した。

レアメタル研究会で名刺交換させていただいた、大内研究室、八木研究室を訪問した。

 

写真下 受付風景:受付で入定証を呈示すると、会場案内の入った手提げをもらうことができた。

 

東京大学駒場リサーチキャンパス公開2024が開催される@生産技術研究所 | MIRU (iru-miru.com)

 

公開された専門分野は16分野に及んだ。

化学技術コミュニケーション・STEAMS教育

デザイン・アート

交通

都市・建物・建築

バリアフリー

数理・物理

健康・バイオ。・医療

IT・AI・ロボット

生物医化学

ナノ・マクロ

社会科学

材料

機械・ものづくり

情報・知覚

環境・エネルギー

 

6月7日に、環境・エネルギー分野では、めっき体験~メタルをとかしてつける~大内研究室 及び、 考えよう!蓄電池の科学 八木研究室を、

 

材料の分野では、レアメタルをコモンメタルに!岡部徹研究室を訪問した。

 

岡部教授による、日本チタン協会での講演会の記事もお読みください。

2024年度講演会 溶けたチタンから直接酸素を除去する製錬法 @日本チタン協会  | MIRU (iru-miru.com)

 

 

<大内研究室>

 

非鉄金属のリサイクルプロセスを研究されている。

 

非鉄金属におけるリサイクルは金属資源循環において重要な位置を占める。特に銅製錬は銅を中心として、貴金属・白金族を高い実収で分離精製できることと、製品の金属は精鉱原料と同等品が得られることから有効なリサイクル方法と言える。

 

貴金属の回収は理論的には99%を超えると推定されており、実際のプロセスでは、銅よりも電気化学的に貴な金属はスライムとして電解層に落下し、金属原料として回収される。

 

この際、都市鉱山からどのように貴金属を選択的に回収するかが鍵となる。

鉄鋼材料は磁石に付くことで、これにより回収が容易となる。

この“磁石に付く”方法を利用しようとしているのが、大内研究室だった。

 

写真下 展示品 

左 チタンとステンレスのパイプ(軽さ比べ)

中央左、チタンの円柱 自動車の排ガス浄化触媒 中央右 プリント基板類

写真右 後ろ シリコン単結晶、白金、ニッケル鉱物など

 

自動車の排ガス浄化触媒からは、白金族金属、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などを回収。

⇒排ガス浄化触媒には、天然資源に対して白金族金属は1000倍もの濃度で存在する。

 

プリント基板からは、金(Au)を回収する。

⇒プリント基板には金が、天然資源に対して10倍もの濃度で存在する。

 

そこで、大内研究室では、これら貴金属を物理的に選別するプロセスの一つとして、磁石による分離を検討している。

 

都市鉱山の原料を破砕・粉砕し、

スクラップ中の貴金属が含まれる箇所に選択的にニッケルめっきを施すことにより磁性を付与して、物理的選別技術により、貴金属を回収する。

その後、製錬/ 精錬にいより高純度金属とする。

 

実験室では紙にニッケルめっきをすることで、紙が磁石に付く実演実験がされていた。

 

大内研究室では、東京大学大学院 工学系研究科 マテリアル工学専攻の院生による

溶融塩電解法による金属カルシウム製造プロセスの高効率化に関する考察

気相を介するチタンの脱酸に希土類金属であるCeを利用する実験

を紹介していた。

 

自動車のEV化により、排ガス浄化用触媒に用いられているCeの需要が減少することが想定され、チタンの脱酸にCeの利用を検討しているとのことだった。

 

 

<八木俊介研究室>

 

研究室では、まず、ノーベル賞を受賞したリチウム電池の開発の歴史を説明していただいた。

 

2019年、吉野彰博士、Stanley Whittingham博士、John Goodenough博士は、携帯機器への電力供給に使用する小型エネルギーシステムであるリチウムイオン電池の開発を推進した功績により、ノーベル化学賞を受賞した。それまでリチウム金属を負極材としていたのに対して、グラファイトを負極材としたことで、安全な二次電池の原型が完成した。

 

アイアールユニバースでは、「バッテリーサミット」にて、吉野先生をお招きしてご講演いただいていますが、筆者は全くの素人。

 

電気がなくなれば終わり(使いきり)の電池を“一次電池”、

充電することで何度も使える電池を“二次電池”ということも、知らなかった(皆様は既にご存じだと思いますが、研究室でお聴きした内容を書き留める。)。

 

院生の説明によれば、

リチウムが電極材料に適している理由は、イオン化傾向が大きいので、金属リチウムがリチウムイオン(陽イオン)になるとき、大きなエネルギーが取り出せることと、原子番号3で、最も軽い金属元素であり、つまり、軽くてエネルギー密度の高いコンパクトな電池ができるである。

 

1972年イギリス出身の化学者マイケル・スタンリー・ウィッティンガム氏は“金属リチウム電池”(一次電池)を発明した。負極活物質には金属リチウムを用いた。正極活物質には層状構造のTiS2を用い、リチウムイオンは層間に挿入される。

 

John Goodenough博士は、化学的に安定な層状構造酸化物を研究し、コバルト酸リチウムLiCoO2が充放電可能な正極材料として機能することを発見した。

 

しかし、二次電池を開発するにあたり、負極に金属リチウムを用いると、充電時に負極にリチウムデンドライト(樹脂状?ピント来ない。イメージは針状りウイスカーか?)が成長する。このリチウムデンドライトはセパレータの微細孔を貫通して正極に達して、内部短絡を引き起こし、発火事故等、電池の安全性を低下させる要因となる。

 

負極に金属リチウムを用いるのではなく、正極と同様に層状構造にすればよいと思いついたのが、吉野先生ということ。そして負極にグラファイト、正極にLiCoO2用いるリチウムイオン電池の原型が完成した。

 

ここまでが、導入編であり、受付でご説明していただいた内容。

 

八木研究室では、マグネシウム(Mg)二次電池の研究を行っている。

 

Mgは原子一つあたり二つの電子を蓄えることができ、空気中で取り扱える金属の中で最も負に大きな標準電極電位を示す特徴を持つ。

取り扱い易さと高エネルギー密度を両立させた蓄電池の実現を目指している。正極活物質の候補はMgCo2O4

研究室では、実際にボタン電池の試作体験ができた。

 

もう一つの研究紹介は、効率のいい水素製造を可能とする触媒材料の研究である。

 

水素は水の電気分解でつくることは、知っていたが、この“水”は、わたしたちが普段使用する“水”ではなく、強アルカリ水だった。Fe

触媒の候補は色々あるようであったが、価格を考慮するとFe系触媒も候補となるかもしれない。

 

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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