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浜井産業(6131)24/3期説明動画有報メモ ポジティブ継続

24/3期26.6%増収42.2%営利増も受注47.3%減で、25/3期は2.9%減収9.2%営利減予想

株価1244円(7/5)   時価総額43億円   発行済株3462千株

PER(25/3DO予6.7X)PBR(1.24X) 配当(25/3予)35円  配当利回り:2.8%

 

要約

・24/3期26.6%増収42.2%営利増で3期連続最高益更新も受注は半導体不振で47.3%減

・25/3期前期受注不振を受け2.9%減収9.2%営利減予想、下期に受注急回復期待

・26/3期は改めて300mmウエハ、化合物半導体関連の拡大など寄与し収益急回復期待

 

 

23/36.8%増収14.6%営利増、受注13.2%増、受注残58.9%増は2期連続最高額更新

 

 半導体ウエハ、HDD用ガラス基板、LED等の電子部材のラップ盤、歯車加工のホブ盤を2本柱とする工作機械メーカー。

 

 24/3期は売上高87.55億円(期初計画比2.55億円増額、2/13増額修正比0.55億円増額、26.6%増)、営業利8.59億円(同1.19億円増額、同0.09億円増額、42.2%増)、受注60.43億円(47.3%減)、受注残高95.84億円(22.1%減)となった。

 

 部門別ではラップ盤が売上高58.24億円(74.7%増)、受注34.43億円(56.1%減)、受注残75.90億円(23.9%減)に。受注は300ミリシリコンウエハ加工設備需要が一巡、明細の開示はないがシリコンウエハ需要の停滞で受注の見合わせが生じている模様。なおサファイアデバイス研磨技術の応用で22/3期よりSiCパワー半導体ウエハ加工設備の受注を獲得、金額は少ないものの売上に寄与し始めたとみられる。売上は豊富な受注残(期初99.73億円)の消化がグリーンフィールド向け300mmウエハ用に本格売上計上されたと見られる。

 

 ホブ磐は売上高9.87億円(32.5%減)、受注9.89億円(5.0%増)、受注残6.58億円(0.3%増)。売上面では国内外の釣り具関連や電動工具部品加工用装置の販売の反動減が影響、受注は中国市場の各種減速機やEV向けの歯車加工設備需要など低調な伸びにとどまる。

 

 部品消耗品売上は19.11億円(8.4%減)、受注15.75億円(40.8%減)と、半導体シリコンウエハ加工用の消耗部品が堅調に推移も、ガラスHDD基板などの光学関連部品加工用の部品•消耗部品が減少、受注ではシリコン向けも停滞し大幅減に。

 

 全体地域別売上開示がなされたが、日本が39.78億円(24.7%増)とパワー半導体向け、300mm向けの売上が寄与し大きな伸びに。また中国も41.52億円(2.2倍)と300mmウエハやSiCウエハ加工用の中大型ラップ盤が好調に推移し大幅増に。ちなみに中国向けにラップ盤を扱う友松商事向け売上高は38.59億円(3.1倍)と伸張している。一方、東南アジア向けは1.35億円(81.2%減)とHOYAラオス向けHDDガラス基板向けの納入完了が影響している模様。中国を除く東アジアも3.26億円(67.8%減)と、おそらくSUMCOとFPG合弁のFST向け300mmウエハ向けの反動減、水晶デバイスの投資低迷などが影響しているとみられる。

 

 利益面では増収効果が大きいものの、MIX悪化で売上総利益率は1.0ポイント下落し20.6%に止まったが、増収効果で販管費比率が2ポイント下がり10.8%となったことで営業利益率が9.8%まで高まり、前回のグリーンフィールド時08/3期の11.0%(ピークは07/3期14.8%)以来の水準に達した。なお今回、部門別に限界利益が開示されているが、ラップ盤の限界利益が19.11億円(55.6%増)、ホブ盤・フライス盤では4.67億円(30.6%減)となっており、限界利益率の高い(45.8%)ホブ盤の売上減、ラップ盤の限界利益率が36.8%から32.8%に低下する中でラップ盤の売上が大幅増となったことが総利益率の低下につながったとみられる。

 

25/3期前期受注不振を受け2.9%減収9.2%営利減予想、後半受注回復で26/3期再浮上へ

 

 25/3期会社予想は前期受注不振を受け2.9%減収9.2%営利減予想とした。25/3期受注残高でグリーンフィールド向け売上が寄与する見通しも、24/3期受注が大幅減となり、収益が伸び悩むとした。

 

 

 部門別売上ではラップ盤57.00億円(2.1%減)、ホブ盤・フライス盤10.36億円(1.7%増)、部品・歯車17.64億円(7.7%減)予想。ラップ盤は依然として受注残高が75.90億円と1年以上抱えており、売上はグリーンフィールド向けを含め受注残の消化が進もう。ホブ盤はHDDガラス基板向け需要についてHOYAの追加投資が当分期待薄の状況も、ロボット生産の緩やかな回復、EVも増加率は低下見通しも拡大は続く見通しで、小型精密歯車需要が拡大するとみられ、緩やかな増加が期待される。一方、受注面では同社の受注予想開示は無いが、ラップ盤では半導体の回復から、300mmウエハの在庫が減少に転じており、中国メーカーはウエハ増設投資を継続、更に化合物半導体投資は内外ともに拡大を続けており、少なくとも下期には年間生産能力に見合う受注獲得が期待される。ホブ盤はロボット生産の回復、EVも設備継続などで小型精密歯車ニーズの拡大が続くとみられ受注も前期比増が見込める。部品その他では前期好調だった半導体シリコンウエハ加工用の消耗部品が減収に転ずるとみられ、ガラスHDD基板などの光学関連部品加工用の部品•消耗部品は底打ちも受注、売上ともに伸び悩みが懸念される。

 

 現状、ラップ盤は豊富な受注残高の消化、加えて下期には半導体生産の回復で新規受注の回復が加速するとみられ、多少の増額が期待され、収益予想も下期には増収増益に転じ、収益横ばいも期待される。

 

26/3期は改めて300mmウエハ、化合物半導体関連の拡大など寄与し収益急回復期待

 

 26/3期は半導体生産が過去最高を更新、半導体設備投資も先端半導体向けでAIサーバ需要などの拡大で必要ウエハ面積の拡大が加速、改めて300mmウエハ需要が高まろう。さらには中国も投資継続が見込まれる。またSICを中心とする化合物半導体の設備投資は大きく拡大が見込める。さらに水晶振動子も改めてミリ波対応スマホ、自動運転向けに需要が高まるとみられ、設備投資実行が見込まれる。このため、同社ラップ事業はフル生産状況で過去最高売上の更新が期待される。またホブ盤も省人化ニーズの高まりで産業用ロボットの回復、EV化進展で小型精密歯車需要拡大から順調な拡大が見込める。

 

 

 さらにラップ盤ではHOYAの3.5インチHDDガラス基板向けの需要回復の動向が気になる。現在、生成AI向けデータセンタ建設が加速しつつあるが、データセンタでの「ニアラインストレージ」として大容量HDDが求められている。生成されるデータ量が年率20%成長し、2027年には291ゼタバイト(ZB:10億TB)になるとの予想があり、ニアライン向けHDD市場が2024年の5000万台から2028年には1億900万台まで拡大する見通し。2023年はAI学習でGPU投資が先行し、HDD投資が後回しとなり需要が30%近く減少したものの改めて需要回復が見込め、2025年には2022年まで回復見通しで、その後は急拡大が見込める。具体的にはHDDの大容量化が進んでいる中でアルミでは熱対応が難しくガラス化が加速、同分野はHOYAが独走いている。現在、シーゲートが「熱アシスト記録(HAMR)」の開発に成功、30TB品「ExosMozaic(3T/枚で10枚構成)」を投入、2025年には40TB、27~28年には50TB(5T/枚で10枚構成)製品も計画されている。大容量化によりデータセンタのスペースの有効活用が高まり、さらにテラバイト当たりの消費電力も40%程度カットできるメリットなど、電力問題が最大の過大ともいわれる中で、データセンタ投資が莫大な資金を必要とするだけに、HDDの大容量化は加速しよう。大容量化にはビットセル微細化での記録密度の技術革新もあるが、ガラス基板(プラッタ)の枚数増も重要。最も剛性が高いガラス基板は0.4mm板厚で1ドライブあたり12枚のプラッタが搭載可能で22TB以降に搭載採用の拡大が見込める。また厚さ0.38mmのプラッタをより薄いスペーサーなどと組み合わせ14枚のプラッタを搭載できる可能性があり、枚数増加ニーズも高まろう。このような状況から、改めてHOYAのHDD用ガラス基板能力増強投資が行われるタイミングがあるみられ、ラップ盤・ポリッシュ盤の受注の上乗せ拡大も期待される。

 

 またホブ盤もEV販売の拡大により、静音性、高速回転に耐える高精度化、また小型歯車の需要増が見込まれ、同社が強味とする小型精密ホブ盤需要の拡大が期待される。またロボット生産も過去最高を記録しているが、数量増とともに多関節化ニーズも高まっており、歯車の数量増加速が期待できる。このためホブ盤についても売上拡大が見込める。さらに部品・消耗品では稼働率アップ、難削材で研磨材の使用拡大、HDDガラス基板向けの回復などで売上拡大が見込める。全体を通じ、中計見通しとしている売上高100億円、営業利益10億円の大台が期待される。

 

 

 株価は5/15の25/3期減益予想に対し敏感に反応し急落、6/27には年初来安値1223円まで下落、現在も同水準で推移している。25/3期会社予想EPS176.71円に対しPER7.1倍と、東証スタンダード機械平均PER1511.7倍に対し岡本工作機械製作所PER8.7倍と同様に割安感が強い。しかも今後、パワー半導体向けに加え、EV用ギア加工、さらにはAIサーバ向けニアラインHDD向けなどの受注も期待され26/3期に再度収益上伸が期待されることから、悪材料を織り込みポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

 

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