FullDepth、国産水中ドローン新機3種を発売―洋上風力施設の点検にも

取材に対応してくれた吉賀社長(機体は「DiveUnit KAI」)
水中ドローンメーカーのFullDepth(茨城県つくば市、吉賀智司社長)は、水中デジタル化の高度化を想定して用途別に進化した新型の水中ドローン3機種を7月に販売開始した。特に軽量化や船行速度に焦点を当てた「DiveUnit HAYATE」に注目が集まっており、港湾施設や洋上風力発電設備の点検など幅広い分野での活躍が期待される。
「HAYATE」は1人で運べるよう小型化したボディに、先進の水中計測技術を搭載した機体。最大3ノットの高速度と機体制御技術で潮流がある現場でも安定的な稼働を実現する。重量は15kgで潜航深度は50m。ただし、オプション仕様であれば100mまで機能の拡張が可能だ。機動力に優れており、港湾管理やエネルギー、ダムや上下水道など多彩な分野での調査・点検に利用できる。「一人で持ち運べる期待が欲しい」「流れがある水域でもしっかり動けるものが良い」といったユーザーのニーズを製品化したという。
軽量化や船行速度に焦点を当てた「DiveUnit HAYATE」
吉賀社長は、「動作姿勢が安定しており、水中におけるデータ計測にかなり向いている機体。ソフトウェアとしての強みもあり、音響測深データの取得や画像のデジタライズ化などにも適性が高い」と強調する。
軽量性や速度を重視した半面、潜航深度は50mと割り切っているが、海洋インフラや河川などの構造物の点検においては全く問題のない性能といえる。
価格は他の2機体と比べて抑えられており、導入しやすい点も強みといえる。すでに複数の契約が決まっており、現在は年内の出荷に向け準備を進めている。なお、ユーザーの利用目的に合わせた受注生産のため価格は非公開。
空中のドローンと同様にその有用性に対する関心が高まっている水中ドローン。とある調査によれば、日本国内の産業用水中ドローンの市場規模は、2025年に62億円(販売金額ベース)に達するといわれている。しかしながら、現状では中国を主とする海外製品の普及が目立ち、国内メーカーはFullDepthを含めごくわずかだ。
同社の従来機「DiveUnit300」は潜航深度300mをはじめとする機能性が高く評価された一方、中国製と比べると価格が高いということもあり、導入に慎重になる潜在的なユーザーも多かったと思われる。「HAYATE」の投入により、学術や研究分野だけでなく、産業用途においても国産水中ドローンの価値が評価されることが望まれる。
(IRuniverse K.Kuribara)
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